値上げラッシュが続くが、ウクライナ戦争前から石油等のコスト高の影響などでじわじわと物価が上がっていたが、ウクライナ戦争による経済制裁で制裁する側が自分の首を絞める形で更に物価高を招いている。

 

最近の値上げ品目のニュースは、特にインパクトもなくなって、単に値上げする個別商品の宣伝の場に化している感があった。中にはこの際という便乗値上げもあるだろう。

 

さて、ユニクロの値上げはその値上げ幅の大きさにみんなびっくりしたのではないか。今年の秋冬ものからだから、まだ先のことで事前通知のようなものだが、大幅値上げしても売れるという読みがあるのだろう。

少し傲慢な判断だから、消費者はぜひ買い控えをして、生意気なユニクロを痛めつけたいところだ。

 

ユニクロはその値上げ理由をどこの企業も同じような理由を挙げていた。

NHK

「値上げの理由について会社では、化学繊維をはじめとする素材の価格や物流費などが、コロナ禍からの経済の回復やロシアによるウクライナ侵攻などを背景に高騰し、企業努力だけでは吸収できないためだと説明しています。」

 

ああそうかいな、と言うしかないのだが、フジTVのイット!では、リサイクル素材比率を30%から100%にしたと言っていた。特に値上げの理由に述べた訳ではなさそうだが、私は「これが値上げの正体かも」と思いが至った。

 

ユニクロが始めた「RE.UNIQLO」活動などを紹介したネットを見ると、

「ユニクロは、「自社領域」「サプライチェーン領域」「商品領域」の3つの分野における2030年度までの達成目標を設定。商品領域では達成目標として、2030年度までに全使用素材の約50%をリサイクル素材などに切り替えることを発表。「ユニクロ(UNIQLO)」では2019年以降、段階的にリサイクル素材の導入を推進し、2021年秋冬シーズンには、全ポリエステル素材の約15%を回収ペットボトルから再生したリサイクル素材へ切り替えた。今後、レーヨンやナイロンなどといった化学繊維から段階的に環境負荷の低い素材を導入していくという。」

と書かれていた。

 

2019年以降、段階的にリサイクル素材の導入を推進し、2021年秋冬シーズンには、全ポリエステル素材の約15%を回収ペットボトルから再生したリサイクル素材へ切り替えた。」

これがポイントだ。イット!はリサイクル素材比率を100%にしたというが、この文からは去年でも15%だから、100%リサイクル素材比率というのは言い過ぎなのかもしれない。

 

しかし、ユニクロが値上げ理由に「化学繊維をはじめとする素材の価格の高騰」を挙げているのは、単純な繊維原料の高騰ではなく、自社が勝手に取り組んでいるリサイクル素材比率の拡大によるコスト高なのではないか。やらなくてもいいことをSDGs活動とかなんとかカッコつけて自分の首を絞めているのではないかと想像するのだ。

 

当たり前ではないか。リサイクルすればコストが上がるのは。

武田邦彦氏が言う。

「ペットボトルのリサイクルは、コスト・エネルギーの無駄使い

そのよい一例が、ペットボトルのリサイクルだ。ペットボトルはポリエステルで作られるが、この新品を石油から作って消費者の手元に届けるまでには、石油が約40g使われる。しかし、これをリサイクルしようとすると、少なくとも150gの石油を消費してしまうという。実に、4倍近くも石油を使うのである。 これでは、資源の節約どころか資源の浪費である。リサイクルを行うことによって資源がかえって多く使われてしまうということだ。

・リサイクル資源浪費のメカニズム

ペットボトルのリサイクルは、次のような工程をたどる。まず、リサイクルに出されたペットボトルがスーパーなどに集荷され、トラックで再生工場に運ばれる。しかし、ここに運び込まれたペットボトルはすぐに再生に回せるようなきれいなものとは限らない、タバコの吸殻が入っていたり、ごみが入っていたりさまざまである。特にホッチッキスの針などが混入していると、再生ボトルにとって命取りだ。他にも、取り出しにくいごみが入っていたりする。

つまり、事実上、使い終わったペットボトルはペットボトルとしての再生が難しいということだ。そこで、仕方なく、他の用途に回されることになる。ただし、再生原料というのはどうしても品質が悪いため、長繊維にはなりにくく、防寒服の素材としてなど、その用途も限られてくる。しかも、それは、製品として人気がない。

ここまで見ると、多くの人の善意と環境保護意識に根ざして行われるリサイクルが、一転して、非合理で非効率な営みに思えてくる。

ペットボトル入りの緑茶を150円くらいで買うとすると、そのうち、お茶そのものとペットボトルの価格がそれぞれ10円くらいを占めている。後の大部分は、輸送費などその他のコストと企業の利益に当たる。要するに、ペットボトルの品を求めたとき消費者が支払う値段の中のほんの一部を占めるペットボトルをリサイクルしようとすれば、皮肉にも、資源とコストの浪費を増幅させてしまうということなのだ。」

(引用終り)

 

上記の解説はペットボトルのリサイクルだが、リサイクルが資源とコストの浪費には変わりがない。石油を石油を化学繊維としてそのまま生産すれば無駄がないのに、脱炭素という全くバカげた非科学的な信仰を信じてSDGs企業活動をしてリサイクルを盛んにすればするほど、資源とコストの浪費を増幅させてしまうわけだ。

ユニクロもSDGsをやる企業と宣言し、尚且つお目出度いことに素材リサイクル比率拡大の目標値まで設定してしまったから、やるしかなくなった。それが現在のコスト高につながって大幅値上げすることになったのではないか。

「大幅」というのは、ユニクロの傲慢さの表れと言える。傲慢さにはお仕置きをしないといけない。