月刊WILL最新号(7月号)は完全にアメリカ・ウクライナプロパガンダに支配されてしまった。単なるウクライナ頑張れの宣伝雑誌に。まだ先月号にはアメリカプロパガンダに懐疑的な記事が残っていたが、最新7月号には何もない。わずかに渡辺惣樹氏の対談にその痕跡が残っているだけだ。それは連載だからしようがなしに載せただけだろう。

 

 

月刊WILL最新号 特集「プーチン敗北に王手!!」

「駐日ウクライナ大使インタビュー ロシア軍は愚連隊」セルギー・コルスンスキー/有本香/通訳ナザレンコ・アンドリー

「暗殺狂プーチンの連続“見せしめ殺人”」中村逸郎

・「惨殺・強姦・略奪 ウクライナ激戦地の凄惨」門田隆将/宮嶋茂樹

「ロシア軍“負け戦(いくさ)”―これだけの理由」岡部俊哉(元陸上幕僚長)/村川豊(元海上幕僚長)/福江広明(元航空総隊司令官)

戦わなければ殺されるだけ グレンコ・アンドリー
・プーチンは地獄の制裁に耐えられるか 北野幸伯

 

まあ壮観と言うしかない。

よくここまで偏った記事を並べたものである。全てアメリカ・ウクライナの放つ腐ったプロパガンダそのものである。

有本香と駐日ウクライナ大使のインタビュー記事は、ウクライナ大使の嘘話(役割上仕方がないが)を黙って頷くか大いに賛意を示すだけの中身ゼロ、情報量ゼロというひどいものだ。立ち読みだけど。

プロパガンダを無邪気に信ずる有本香らはもう病気ではないのか。半側無視という病。

 

池田清彦「生物にとって時間とは何か」(角川ソフィア文庫)という本に次のように書いてある。

世界の半分が脱落する「半側無視」

神の存在のように、普通の人が実在していないと思っているものを実在すると主張する人がいるのなら、普通の人が実在すると思っているものを実在しないと主張する人もいるに違いない。これもラマチャンドンの本に書いてあることだが、半側無視という症例がある。例えば卒中が右の頭頂葉に起こると、患者は時々左側にある対象や出来事に無関心になる
左側が見えていないわけではない。見えていても全く関心を示さなくなるのだ。これを、半側無視という。…半側無視の患者は、視覚や側頭葉には異常がないのだから、ものは見えているのである。しかし、頭頂葉の空間的配置の識別に関与している領域が損傷すると、見えているものに注意を払わなくなるのだという。」

 

一応ジャーナリストのはずの有本香のこの体たらく。「片側が見えていないわけではない。見えていても全く関心を示さなくなるのだ」という「半側無視」という病と考えないと説明が付かない。

なぜこんな余りにも明らかなプロパガンダにいいようにやられてしまうのか不思議でしょうがないのだ。

有本香の横にはいつも工作員ナザレンコ・アンドリーがいる。余程親密になって嘘話を聞かされたのだろう。

 

いまテレビでは「東部ルガンスク州制圧迫るロシア軍、州の95%を占領」とウクライナ軍が殲滅されるーとゼレンスキー始め絶叫が聞こえてくる。

少し前まではウクライナ軍が優勢で反攻し始めたと言っていたが、それは何だったのか。

「ゼレンスキー大統領は、21日「われわれはセベロドネツクなどでロシアの進撃を阻止している。今後も勝利に向かって戦い続ける必要がある」と国民に抗戦を呼びかけ、ウクライナ軍による反撃で戦闘は長期化する見通しとなっています。
一方、イギリス国防省は23日に発表した分析で「ロシア軍は軍事作戦の最初の3か月間で、旧ソビエトがアフガニスタンに侵攻した9年間で経験したのと同様の死者数が出ている可能性が高い」と指摘しました。
そのうえで、要因として戦術の貧弱さ、航空戦力が限定的であること、柔軟性の欠如、そして失敗とミスを繰り返す指揮などをあげ、ロシア軍の損害がさらに増え続ければ、ロシア国内で軍事侵攻に対する市民の不満が強まり、それを表明する社会の機運が高まるかもしれないと分析しています。」

 

ウクライナ、大敗北を認める ゼレンスキー最高顧問、ドンバスの主要なウクライナ拠点であるリマンでの敗北を認める 2022.5.27

ロシア軍がドネツク州北部のリマンという町を占拠したことを、キーウ政府が24日夜、明らかにした。ウクライナ軍は西南西のスラビャンスク方面に撤退したとされる。

 ウクライナ大統領ゼレンスキー氏の重要なアドバイザーであるアレクセイ・アレストビッチ氏は、木曜日のライブストリームで、「我々はリマンの町を失った」と認めた。

 アレストビッチ氏は「未確認の報告」を引用したが、ロシアの軍事通信員アレクサンドル・コッツ氏はその直後、「リマンは我々のものだ」というキャプションを付けて、ロシア軍がこの街にいる映像を投稿した。コッツ氏は、ウクライナ軍は西と南西に「逃げ」、その退路を砲撃でカバーしたと付け加えた。

 リマン襲撃は1週間足らずで終わり、ロシア軍は5月23日に同市に入った。テレグラム・チャンネルでは、500人ものウクライナ軍が降伏したとの未確認の報告があった。」

 

「ロシア軍“負け戦(いくさ)”―これだけの理由」なんて元自衛隊のお偉方が書いているが、今となっては恥ずかしくて外を歩けないのではないか。

 

元自衛隊軍事アナリスト西村金一も「「鶴翼の陣」の弱点突かれたロシア軍の末路-戦術では取り戻せない戦略の失敗、戦術でも見事なウクライナ軍」とか「データが弾き出した、ロシア地上軍は7月末までに瓦解する」なんてバカげた恥ずかしい文章を書いている。何と言い訳するんだろうか。プロパガンダに騙されましたとでもいうのか。言ってほしいけど。

 

ネットが面白い。ネットをみると、ウクライナプロパガンダの嘘がばれ始め、また必ずしもプロパガンダの嘘を信用していなかったことが分かる。

・あれ?ウクライナが優勢でロシアに反撃してるんじゃなかったの?

・ロシアが負ける、東部を抑えるのは無理と高橋さんや小泉悠さんがテレビでついこの前言っていたよね?ロシアが負けるんじゃなかったの?

・ロシアが南部も取るの無理って高橋さんや小泉さんがテレビで言ってなかった?どーすんの?

・メディアはこれまでウクライナ優勢!プーチン癌で余命わずか!とか全部嘘っぱちやったんや

・アゾフの降伏を作戦終了やら、22年以前はネオナチ扱いしていた連中を突然英雄だの、西側メディアも人民日報や、かつてのプラウダと違わないんだと言う事が分かったのは収穫だったな

ウクライナ信者「あれ?何で占領されるんですか?」

 御用専門家「ロシアは弱い!ロシアは弱い!」

 ウクライナ信者「ロシアは弱い!」

・おいおい誰だよ、ウソライナの反撃ガ―だの、ロシアの士気ガ―だの言ってた馬鹿は。ごめんなさいしろよ

・ウクライナの敗北が確定した瞬間報道しなくなるとか本当にメディアは腐ってるよな

ロシアが撤退したとか兵力を損耗したとかいう大本営発表は何だったんや。このまま戦争が続いたら全土占領される。ウクライナ分割で和平すべき

 

「ロシア軍“負け戦(いくさ)”―これだけの理由」を書いた元自衛隊の将軍たちは情報源をプロパガンダの大元から取っていたということになる。

プロパガンダというのは、情弱者に向けて嘘を垂れ流されたもの。専門家がそんな素人向けの嘘を信じてロシア軍は負けるなんて分析して恥を掻いてしまった。

 

それは軍事専門家に限らない。有本や中村逸郎、門田隆将らもみなプロパガンダを信じてしまった「片側が見えていないわけではない。見えていても全く関心を示さなくなるのだ」という「半側無視」という病に罹っていたというわけだ。治りたければそんなに難しくはないのだが。

 

もうアメリカですらこの腐ったプロパガンダを疑い始めているようだ。

ワシントン・ポストが見捨てられたように感じている東部のウクライナ志願兵という題の記事を書いたという。ケイトリン・ジョンストンが紹介している。

 

ウクライナ軍にとって、いかに事態がまずいかという主流メディアによる希な一瞥

2022年5月27日
ケイトリン・ジョンストン

 皆アメリカでの最近の銃乱射事件に注目しているが、ワシントン・ポストが掲載したのは、ロシアに対するウクライナの戦争が、彼らが国民に信じさせていたような楽勝でなかったのを主流欧米メディアが初めて認めた記事かもしれない。

 「見捨てられたように感じている東部のウクライナ志願兵」という題のワシントン・ポスト新記事は、欧米世界に吹き込まれている勝ち誇る言説に反し、一日ジャガイモ一つで生き延びている東部ウクライナの兵士の多くは、幹部は自分たちを見捨てており、自分たちは死に追いやられていると感じて、持ち場から脱走しつつあると報じている。

 「ロシア軍が大砲とグラート・ロケット砲弾を打ち込む中、重要な東部前線で、ウクライナ志願兵は塹壕で立ち往生し、一日ジャガイモ一つで生きている。劣勢で、訓練されておらず、軽火器をつかんで、兵士は砲撃が終わるよう祈っていた」と複数情報提供者を名出しで引用してワシントン・ポストが報じている。

 「ロシアの猛攻に、勝ち誇って立ち向かう志願兵と職業軍人の不死身のイメージを、ウクライナ指導部が作り上げ、推進している」と記事にある。

「だが、志願兵のラプコと仲間の経験は、この紛争とドンバス地域でロシアの前進を止めるウクライナ人の苦闘の希な、より現実的な姿だ。ウクライナは、ロシア同様、死者や負傷や軍装備品の喪失についての情報提供は乏しい。だが3カ月の戦争後、120人のこの隊は死者、負傷者と脱走のため54人まで減っている。」

 

 ワシントン・ポストは、ウクライナのその地域の志願兵部隊は「素早く、自身が戦争の十字照準線を当てられていることに気づき、軍幹部に見捨てられたように感じ、生きるのに苦闘している」と報じている。

 「我々は死に追いやられている」と、ある志願兵が言った。「これは我々だけではない、多数いる。」

 「ポストがラプコとフルスにインタビューした数時間後、ウクライナ軍治安部隊隊員が彼らのホテルに到着し、脱走のかどで、それら男性の一部を拘留した」とワシントン・ポストが報じている。「男たちは自分たちは見捨てられたのだと主張している。」

 一部の解説者が、ようやく主流報道機関で、この戦争の多少現実的報道が見られるようになった事実について意見を述べている。

 「私が初めて見た、ウクライナ軍の壊滅的状態、前線でのウクライナ人の士気喪失を報じる主要アメリカ・メディア報道だ。我々の政府が深く関与している戦争について、我々が知るべき明白に思われる真実だ」とウクライナ軍の状態に関するマスメディア報道管制をしばしば批判しているジャーナリストのマーク・エームズがツイートした

 「これはアメリカが助成している外国軍のPR歪曲と秘密に穴を開ける主流メディアの最初の記事かもしれない。ワシントン・ポストに極めて厳しい様子の話をした後、二人の指揮官は逮捕された」とジャーナリストのマイケル・トレーシーがツイートした

 これは、情報源が完全にイギリス政府と軍産複合体が資金供給するネオコン・シンクタンクの戦争研究所による根拠の無い主張で「ロシアが間違いを犯すなか、殲滅されるプーチンのエリート兵士たちとイギリス」というという題のこの最近のニューズウィーク記事と通常一致するはずの標準的主流メディア報道からの大きな変化だ。(後略)」

どうだろうか、有本たちはこの記事も「嘘」と一蹴するかもしれない。「半側無視」!

 

別の記事も。

ウクライナ軍も不平を言い始めている。

「我々は大砲、グラッド、迫撃砲に対して サブマシンガンで立ち向かう 誰も助けてくれないし、いい武器もない、何もない。自分たちのことを気にかけてくれない国のために、どうやって戦えばいいのか。」と、ウクライナ軍第71ヘラルド旅団の兵士は言う。

 

ゼレンスキーは二言目には「武器くれ、武器くれ」としか言わないが、その武器も篠原常一郎氏に言わせると、英米から送られた武器はウクライナ政府の役人その他によって横流し(中東テロリストか)され、換金されて得た金で国外に逃亡しているという。さすが腐敗国家ウクライナである。これでは、前線の兵士に必要な武器が届く訳がないのだ。

 

つぎの小文を有本香たちに読ませたい。それも嘘というか?

櫻井ジャーナル 2022.5.29

「…今年2月24日にロシア軍がウクライナを攻撃した当初から、キエフ政権の治安機関であるSBU(ウクライナ保安庁)はロシアと話し合いで問題を解決しようと考える市長を処分している。ウクライナ国民から信頼されていないことを自覚しているのだろう。

 例えば、ルガンスクのボロディミル・ストルク市長は3月1日に誘拐され、拷問された上で胸を撃たれて死亡。3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上でSBUの隊員に射殺され、3月7日にはゴストメル市長だったのユーリ・プライリプコの死体が発見された。ウクライナでは11名の市長が行方不明だとも言われている。

 ウクライナの治安機関でCIAの下部機関でもあるSBU(ウクライナ保安庁)は反クーデター派を誘拐したり、拷問したり、暗殺してきたが、元SBU将校のバシリー・プロゾロフによると、​SBUには「死の部隊」がある​。

 SBUのチームによる「国賊狩り」が行われる中、4月21日にはウクライナの南部にあるミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組に登場、​「全ての裏切り者を処刑する」と語った​。そうした処刑を実行するための秘密部隊を編成、すでに作戦を遂行しているともいう。キムにとって「裏切り者」とはゼレンスキーの政策に同意しない人びとだ。そのゼレンスキー政権は2022年3月19日に11の野党を禁止、政府の政策を支持する放送局以外のメディアは消えたと言われている。これが西側支配層の考える「民主主義体制」なのだろう。

 そして西側の有力メディアはゼレンスキー政権の宣伝を垂れ流してきた。ロシアは残虐であり、ウクライナは勝利するというハリウッド好みの「勧善懲悪」的なシナリオだが、事実が伴っていないことは情報を分析していれば明白だった。シナリオが荒唐無稽すぎるのだ。」

 

最後に先に引用したケイトリン・ジョンストンの記事の終りの言葉を掲げる。

「青と黄色の国旗を振る人々の多くは善意で、本当に自分はウクライナの自由と主権を擁護していると思っている。だが彼らが実際声援しているのは、帝国へのウクライナの服従と奴隷化、ウクライナ人の苦難と、地球上の全員の命を脅かす核保有超大国間の危険な代理戦争の継続だ。」