新「なるほどメモ」その2(「バトンが主人?」)
「このことは、リレー競走というものが、走者がバトンを運ぶ競技のように見えて、その実バトンに促され、バトンによって走らされる競技であることと同様であろう。
一旦走りはじめた以上、主導権を握っているのはバトンなのであり、それが誰から誰へ手渡されたかということなどは、競技全体にとって何ほどのことでもない。走者はバトンに従属するのであり、この事件においても、同様の事情が作用していたと、私には思われる。」
(「現代犯罪図鑑」別役実(岩波書店)より)
そうなんだ、バトンが主役・主人と化しているんだ。走者がバトンに従属しているんだ。なるほどね。見方を変えると別のものが見えてくる。
そういえば、そんな主客逆転の事柄は考えてみればたくさんある。身近にも。
○○中毒なんて皆そうかもしれない。アルコール中毒、覚醒剤中毒、賭博中毒、ゲーム中毒…。みな酒や覚醒剤や賭け事が主人になって、人間を従属させ、振り回してしまう。
しかし、それらの中毒症状は主客逆転の分かりやすい現象だ。
何かにのめり込んで一心不乱状態も、マニア過ぎる状態もそうかもしれない。一種の病気かも。
極端なケチも投資詐欺に引っかかるのも…。ブログを書いてアクセス数や「いいね」を期待することもかな。
まあ、病気的なのめり込みじゃなくても、見方を変えれば主客逆転は多いのではないか。
主客逆転といえば、図と地の反転。有名なものにルービンの壺というものがある。これは同時に人の顔も壺も認識できる簡単なものだけど、片方を見ているときはもう片方を見ることのできないものもあるという。
ルービンの壺
ロシアのウクライナ侵攻問題ですら、一方的な面しか見せられていない可能性がある。ルービンの壺を見るように、図と地の反転を意識的にしないと真実は見えてこないかもしれない。