レジ袋が有料化され、特にコンビニで清算の際、マイバックに品物を店員が入れるのか、客が入れるのかで混乱しているという。
コンビニにはサッカー台を設置するスペースなんてないから、レジ台で品物を袋入れの処理をする必要がある。
コンビニ店員からすれば、マイバックなんだから品物は自分で入れろよ、と言いたいし、客からすれば、マイバックだからといって差別しないで店員が入れてくれよ、後ろの客がイラついているじゃねえか、と。
全く下らない問題を環境省は店と客に押し付けたものだ。そもそもレジ袋有料化自体が全く無意味なもので、プラスチック削減に何ら寄与しないことを客と店にやらせている訳だ。
前にもこういうことは書いてきたが、もう一度経済学者の池田信夫氏のコラムから引用する。
「…よくいわれるのは「プラスチックは分解しないから海のごみになる」という話だが、海のプラスチックごみのうち、ポリ袋は0.3%しかない。さらにプラスチックに使うのは石油の2.7%だ。それが分解しないというのも誤解である。プラスチックの成分は石油と同じだから、燃やせば分解できるのだ。
プラスチックは「燃えないごみ」なのか
この背景には海洋ごみの問題がある。「このままでは2050年には世界の海のプラスチックは魚の総重量を超える」と騒がれ、環境団体は「2050年では遅すぎる」とプラスチックごみゼロを求めている。
2019年6月のG20サミットでは、2050年までに新たな海洋プラごみ汚染をゼロにする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意され、日本政府は「2030年までに使い捨てプラスチックの排出を25%抑制する」などとするプラスチック資源循環戦略をまとめた。今回のレジ袋有料化はその戦略の一環である。
日本は国民一人当たりのプラスチックの容器や包装のごみの量が世界第2位で、レジ袋も1日1枚は使っているといわれる。これをなくす「意識変革」をしてもらおうというのが政府のねらいだ。
プラスチックごみは、廃棄物処理の最大の問題だった。1960年代からプラスチックの消費量が増えたが、当時のごみ焼却炉ではプラスチックを燃やすと高温になって焼却炉がいたむので「燃えないごみ」として分別することが義務づけられた。
燃えないごみは産業廃棄物でも深刻な問題になった。ごみ焼却場があふれて処理できなくなり、不法投棄する業者が後を絶たなかった。不法投棄には刑事罰が課されたため、プラスチックごみは中国に輸出されるようになった。しかし2018年に中国がプラスチックごみの輸入を禁止したため、プラスチックごみ処理が行き詰まった。
しかしこの話は、よく考えるとおかしい。高校でも習うように、プラスチックのような有機化合物は炭素と水素でできているので、燃やすと酸素と結合してCO2と水に分解するはずだ。
なぜプラスチックは燃えないごみとして分別するのだろうか。
この疑問に、包装資材メーカー、清水化学工業のウェブサイトは「ポリ袋は実はエコなんです」と答える。
・ポリエチレンは理論上、発生するのはCO2と水、そして熱。
・石油精製時に(ポリ)エチレンは必然的にできるので、ポリエチレンを使用する方が資源の無駄がなく、エコ。
・自治体によってはサーマルリサイクルし、ごみ焼却燃料になり、重油燃料の使用量がその分減少し、無駄とならない。
ポリエチレンのようなプラスチックは、石油を精製するときできるナフサを原料にしているので、ごみ焼却炉で完全燃焼すると、CO2と水に分解する。残るのはわずかの灰だけだから、体積は大幅に減る。これがプラスチックを減量するもっとも合理的な方法なのだ。
1960年代には、こういう処理はできなかった。プラスチックを燃やすと300~500℃の熱が出るので、当時のごみ焼却炉では耐えられず、プラスチックを分別する必要があった。しかしその後の技術進歩で、プラスチックも燃やせるようになった。さらに微量のダイオキシンが出るという理由で、1999年からごみ焼却炉の温度が800℃以上に規制されたので、今の焼却炉はすべてプラスチックを燃やせるのだ。
だから今は、東京23区は基本的にごみの分別をしていない。空き缶は分別収集している(アルミ缶は再利用するのが合理的)が、ペットボトルは燃えるごみと一緒に捨ててもかまわない。それではリサイクルできないと思うかもしれないが、実はペットボトルは100%リサイクルできるのだ。
プラスチックは燃やせば再利用できる
日本のプラスチックごみの23%は、分別回収して細かい粉にして新たに成形する「マテリアル・リサイクル」だが、56%は燃やして発電などでエネルギーを回収する「サーマル・リサイクル」である。それを含めると、日本のプラスチック廃棄物の84%は再利用されている。
「燃やすのはリサイクルではない」と環境団体は批判するが、これは誤りである。プラスチックを燃やす分だけ火力発電所で使う重油が減るので、資源の節約になる。CO2の排出量も減る。
マテリアル・リサイクルにはリサイクル工場で粉にして合成繊維などの材料にする多くの工程が必要で、コストが高い。そういうライフサイクル全体を考えると、マテリアル・リサイクルよりサーマル・リサイクルのほうがエネルギー削減効果が3倍以上高く、CO2削減効果も大きい。
つまりプラスチックごみは、燃やして熱で資源を再利用するのがもっとも効率的で環境負荷も小さいのだ。海洋ごみはプラスチックごみを海に捨てることが問題なので、生ごみと一緒にごみ収集して焼却すればいい。
「プラスチックを燃やすとダイオキシンなどの有毒物質が出る」というのは昔の話で、今は800℃以上で燃やすので安全上の問題はない。むしろ生ごみだけでは発電の温度が上がらないので、プラスチックごみを燃えるごみとして認めるようになり、それでも足りないので重油を助燃剤として加えている。
レジ袋は問題の始まりにすぎない。次は「ペットボトルを禁止しろ」という話になるだろう。(後略)」
池田氏のコラムは、プラスチック削減の現在の取り組みが如何に歴史を無視し、実態を無視し、無意味なことをさせているかについて分かりやすく書かれている。環境省の役人やマスコミはこういうことを考えたり調べたりしたことがあるのだろうか。
さて、このコラムに引用された包装資材メーカー清水化学工業の「ポリ袋は実はエコなんです」は素晴らしい。全ての主張に納得できる。
こんなに役に立つレジ袋(ポリ袋)が冤罪を被り、叩かれ、差別され、虐げられているなかでレジ袋(ポリ袋)が無罪であることを主張すべく清水化学工業は立ち上がったのである。
「ポリ袋は実はエコなんです」の主張をもっと詳しく引用してみよう。
脱プラ、脱ポリ、紙袋へ切り替えをご検討のお客様へ
いつも大変お世話になっております。脱プラスチック、脱ポリエチレン、ポリ袋から紙袋へ切り替えをご検討のお客様に一度弊社の声をお届けしたくメッセージを書かせて頂きます。切り替えの際のご参考程度でいいですので弊社の声をお聞きください。
ポリ袋は実はエコなんです。
1. ポリエチレンは理論上、発生するのは二酸化炭素と水、そして熱。ダイオキシンなどの有害物質は発生しない。
2. 石油精製時に(ポリ)エチレンは必然的にできるので、ポリエチレンを使用する方が資源の無駄がなく、エコ。ポリエチレンは石油をガソリン、重油等に精製した残り・余りもの。
3. ポリ袋は薄いので、資源使用量が少量で済む。
4. ポリ袋は見かけほどごみ問題にはならない。目に見えるごみの1%未満、自治体のごみのわずか0.4%。
5. 繰り返し使用のエコバッグより、都度使用ポリ袋は衛生的。
6. ポリ袋はリユース率が高い。例)レジ袋として使用した後ごみ袋として利用
7. 自治体によってはサーマルリサイクルし、ごみ焼却燃料になり、重油燃料の使用量がその分減少し、無駄とならない。総二酸化炭素排出量は、サーマルリサイクルしても、そうしない場合と大差ない。
8. ポリ袋は紙袋の70%のエネルギーで製造可能。
9. ポリ袋の輸送に必要なトラックの量は、紙袋の7分の1。
10. ポリ袋の製造に必要な水の量は、紙袋の25分の1。
11. ポリ袋は紙袋に比べ、ごみにしてもかさばらない。
12. 紙袋は再生できるものと再生できないものがある。ラミネート加工されているものや紐の種類によっては再生処理できない。
13. 紙袋は間伐材とはいえ森林資源を利用。
・容積ベースではポリ袋は海洋プラごみのわずか0.3%なのに、現在象徴的に非難されています。原因のウエイトと対策のウエイトが乖離しています。
・ナフサは石油精製時に必然的に生成され、その誘導品であるポリエチレンは必然的に生成され、昔は廃棄していた資源を有効利用しています。
・レジ袋有料化による海洋プラごみ削減の効果は限定的です。海洋ポリ袋ごみがすべてレジ袋と仮定しても、最大でも容積ベースで海洋プラごみ全体の0.3%の削減止まりで、実質的な削減効果は非常に小さいです。海洋プラごみ対策としてレジ袋を紙袋に代替しても同様です。
・日本のレジ袋使用量は年間一人当たり石油3リットル分です。ガソリン換算では、多めに見て普通車30km程度走行分です。
・紙袋はポリ袋の体積の7倍であり、その結果輸送車両が7倍必要となり、そのガソリン使用量の石油換算分だけで、レジ袋使用量年間一人当たり石油3リットル分は超える可能性があります。保管費も7倍かかり、それもエネルギー換算すると相当な量となります。
・日本のレジ袋年間一人当たり使用量である石油3リットル分の輸送に必要なガソリン量を仮に石油換算0.5リットルとすれば、紙袋に代替した場合、その輸送に必要なガソリンの石油換算が3.5リットルになり、レジ袋の使用量を超えます。
・インターネット上に海中でウミガメの前に浮遊するレジ袋の写真が多数ありますが、ほとんどが捏造された合成画像です。そのような合成画像を商用販売しているWebサイトもあり、まさに環境ビジネスです。捏造合成画像が、現実以上に海洋ポリ袋ごみが多いと錯覚させ、ポリ袋のみが非難されます。
・そのような合成画像の効果は強力で、世の中は、往々にして論理ではなく、イメージで動きます。海洋プラごみのうちポリ袋ゴミは、個数ベースでも0.6%です。合成画像は、確率論的に考えても不自然です。そもそも、海水の比重より1割程度低い比重のレジ袋は相当汚れ等が付着しないと海中に沈みません。
・ウミガメとポリ袋に関して、実際に調査を行った興味深い記事があります。
「本当にウミガメはビニール袋を食べて死んでいるのか調べてみた。」
・海洋プラごみのうちのポリ袋ごみの比率は低く、海洋生物への影響については、一般に考えられているよりはかなり小さいですが、その対策として、弊社は海洋生分解性ポリ袋等の開発による解決を目指します。
(引用終り)
恐らく清水化学工業の社員・関係者の方また多くの包装資材メーカーの関係者の方にとっては、レジ袋の悪者説から遂に有料化へと冤罪化が進んでいくのを日々目にして、如何に環境省や学者、マスコミが無知で勉強して実態を見ようともせずにレジ袋を犯罪者扱いするのを歯がゆい思いと怒りで過ごしてきたことか。想像するに余りありでしょう。
マスコミはどこも取材になんてこない、我々の冤罪を晴らしてくれる味方はどこにも居ない、なら少しでも私たちの主張を世間に理解してもらおうではないか、訴えようではないか、とホームページを作ったものと思われます。
でも多くの人はこのホームページを知ることはなかった。しかし、池田信夫氏のコラムによって日の目を見ることができた。これで少しは世間の人もこれを読んでレジ袋は無罪だったのだと理解を深めることでしょう。
あの頭のおかしい中国から操作されたスウェーデンのグレタを代表に世界と日本の環境問題を扱うバカ者たちは世間を無知のままに置いておくことに懸命になっています。
清水化学工業その他はそんな動きに負けずに真実を伝えるために今後も頑張ってほしいと思っています。