山尾志桜里といえばガソリーヌとか弁護士との不倫疑惑とかとかくワイドショー的な観点から揶揄されてきた立憲民主党の議員で、国会では安倍首相を鋭く追及していたが、印象操作に奔走する辻元やデマ井と違って、最近は本来の議員としてあるべき姿を示しているように感じる。

私は立憲も共産党も大嫌いだけれど、まともな考えを持っているなら意見が反対でも認めたい。

 

そんな変化を感じさせたのは、次のような記事からだった。

 

立民・枝野代表、憲法審での山尾氏の発言に不快感

2019.11.7

 立憲民主党の枝野幸男代表は7日の記者会見で、党所属の山尾志桜里衆院議員が同日の衆院憲法審査会で憲法改正手続きを定めた国民投票法改正案をめぐり、党の公式見解と違う意見に言及したとして不快感を示した。

「国会の議論の段取りは国会対策マターであり、大衆討議ものではない。党の方針は明確だ」と語った。

 山尾氏は同日の衆院憲法審で、同法改正案を念頭に「手続きの議論が終わらない限り、憲法の中身に一切入れないのもおかしい」と述べ、国会内での活発な論議を呼びかけた。

 枝野氏は同改正法案に対する党の立場について「国民投票法を変えるのであれば、CM規制をセットで結論を出さなければならない」と説明した。その上で、「『山尾氏の発言は問題ではないか』との指摘もあり、福山哲郎幹事長が議事録などを取り寄せ、本人の話もうかがっている。その結論を待ちたい」と述べた。

 

最初は立憲内の内紛のようにも思えたが、「手続きの議論が終わらない限り、憲法の中身に一切入れないのもおかしい」というのは正論であるなあ、と感じた。その時はその程度だった。

 

枝野の山尾批判の後、去年の11月14日の衆院憲法調査会で山尾志桜里議員が発言している動画がある。

そこでも政治家は議論をすべきだと正論を山尾ははっきり述べている。素晴らしいことだ。憲法についてキチンと議論をしたいという気持ちがにじみ出ているのがよくわかる。

 

それに対し、立憲応援団の毎日新聞は、この党の方針を守らない山尾を揶揄し、突き放す記事を載せている。

立憲民主党の方針はそもそも改憲論議などしない、議論自体を拒否するというものだ。

 

毎日新聞

改憲で「孤立無援」に 山尾志桜里・衆院議員 2019.12.22

「彼女は党内で孤立無援の状態です」

 立憲民主党に属す西日本選出の中堅衆院議員が語る「彼女」とは山尾志桜里衆院議員(45)のこと。

 山尾氏といえば、今春の大型連休中に国会に無断で米国出張したことが発覚。それに加え、頼みとする党内で孤立無援とは穏やかではない。

「党憲法調査会の事務局長という立場でありながら、党の方針を無視して持論を展開するスタンドプレーが目立ち、浮いた存在なのです」(前出の中堅議員)

 11月には衆院憲法審査会で、改憲に必要な国民投票法の改正案に言及した。「(改正案に関する)手続きの議論が終わるまで、憲法の中身(の議論)に入れないのはおかしい」というのが山尾氏の主張だ。これに立憲の枝野幸男代表があからさまに不快感を示した。 (後略)」

 

仲間の毎日新聞ですら山尾志桜里議員を批判するということは、逆に山尾氏の本気さを感じる。

 

そして今日のKSL-Live」ブログを見ていたら、辻元や黒いお岩のようなアホな野党議員とは違う山尾志桜里議員の姿が紹介されていた。今日の衆院予算委員会のこと。

表題は「野党がまた委員会退席!山尾志桜里議員「ちゃんとした議論がしたい」 抵抗むなしく理事に連れ出される」である。

 

19日の衆議院予算委員会でまた野党共同会派が一時退席する騒ぎがあった。答弁を不服としての退席は10日と17日に続いて3回目の退席となる。
 質問に立っていた立憲民主党の山尾志桜里議員が、人事院給与局長の答弁が曖昧であったため「私はちゃんとした議論がしたいんです」と訴え、速記を止めて整理するよう委員長に要望した。

棚橋委員長は給与局長に確認したうえで速記を止め、給与局長に答弁整理する時間を与えたが、その瞬間に突然野党が退席を始めた。

 野党議員が一斉に退席するなか、山尾議員だけは質問席を離れず委員長席に向かって何かを訴えていたが、大串博志理事に何度も退席を促され渋々退席をした。動画の後半(省略)に注目してほしい。

 

 当初、山尾議員の質疑は18日に予定されていたが、野党共同会派が朝から審議開始を拒否していたため予定が大幅に遅れ翌日(19日)にスライドする形となっていた。

山尾議員としては東京高検検事長の定年延長について議論したかったらしく審議拒否の間も資料を整理して待っていたようだ。

 

山尾議員は憲法改正議論を巡って党と意見が対立することもあり、憲法審査会を拒否して議論もしようとしない野党の姿勢にフラストレーションが溜まっているのかもしれない。昨年の1114日に開かれた憲法審査会でその思いを語っている。

(引用終り)

 

どういうきっかけで山尾志桜里議員はこうなったのか。

直接的には憲法改正議論を巡って党と意見が対立しても、なかなか自分の思いが伝わらないこと。大事な憲法改正についてはキチンと論議すべきではないかと思い始めたこと等がある。

 

もうひとつは、昨今の立憲の国会運営への不満ではないか。議論して追及するのでなく、パフォーマンスで大向こうに受けるような審議中断を頻発させて、党の頑張りを示すという子供じみた党の国会運営。

そういうものに飽き足らず、政治家として堂々と政府と議論し、追及する本来の野党のあり方にどこかで目覚めたのではないか。

 

立憲民主党にとっては、枝野にとっては、こんな真面目な正論を突きつけられるのは困るのである。山尾志桜里は立憲民主党にとって危険な存在なのである。

 

政治はパフォーマンス、ワイドショー。政局作りが一番大事。それは国民のレベルに合わせればそうなるのであり、バカな国民はキチンとした議論など求めていない。首相を立ち往生させ、アホな大臣のしどろもどろな答弁を誘発し、それを叩き、謝罪させ、あわよくば辞任に持ち込む。こういうパフォーマンスが国民に一番喜ばれるのである。だから、新型コロナウイルス対策より桜を見る会で安倍首相を叩くほうが国民は喜ぶのである。

…という国民をバカにした枝野立憲民主党の方針に従って、辻元やデマ井、今井、黒いお岩などが演ずるのである。

 

そういうものが国民の本当の気持ちからドンドン離れてしまっていると山尾志桜里議員は見抜いたのではないか。議論をしたいのだ、と。

 

だから、今日の予算委員会でも山尾氏は審議拒否をしたのではなかった。中断させたのは山尾議員だが、回答を待っていたのである。それを勝手に審議拒否、退席といういつものテレビ向けパフォーマンスを始めた立憲の理事に退席を促されても退席を拒否する素振りをみせたのである。

 

これはいい傾向である。真面目に論議が始まったら、至るところで政府は立ち往生するに違いないのである。いま政府はどうでもいい野党の質問に胡坐をかいている。勉強する必要がないと胡坐をかいているのである。政府がダメになっているのは、ダメな野党のせいなのだ。

 

まともな山尾議員のような議員が5人も出てきたら、政府はこれまでと違った立ち往生の仕方をするだろう。

それを枝野は分かっていない。まずは枝野や安住を幹部から追放すべきだろう。

そうすれば新生野党が出来上がるかもしれない。

 

KSL-Live」ブログは次のように締めくくっている。

「この人はもう離党して自分が思う政治をやればいいと思う。これまで様々なことで批判を浴びてきた人物であるが、今の野党のやり方では山尾議員の能力は潰されてしまう。」