テレビの情報番組は小室圭スキャンダルを扱えば視聴率が取れると見ているらしい。最近の小室圭を巡る留学と今後の行方について、各局ワイドショーが取り上げている。とりわけフジテレビが盛んだが、ミヤネ屋でも扱っていたし、弁護士にならないかもしれないという発言から盛り上がっている。

 

しかし、どの局も小室圭の忍耐振りには負けそうで、もういいか、眞子さんとの結婚を認めてもいいか、というようなニュアンスの発言もちらほら。

何度も書いているように、ズルズルと流されているのはひとえに秋篠宮の優柔不断にあるのだから、秋篠宮が決断さえすればこの騒動は収まるのだ。

しかし、その秋篠宮の決断も下手をすれば小室圭の粘り勝ちになる可能性がすこぶる高いともいえる。

 

結婚の条件は、借金問題の解決と定職に就くことだが、この二つとも何ら解決を見ずして、秋篠宮の諦めによって、小室圭の勝利になるかもしれない。国民の祝福という条件は、抽象的だから、小室圭が適当なことを言うだけで、秋篠宮が「国民の祝福は得られた」と宣言するだけでその条件もクリアできる。

 

そうすると皇室にとって、前代未聞の婚姻が成立する。

暴力団と付き合いのある母親佳代、定職につかずプー太郎の圭、父方の親戚3人が自殺、母親の愛人彫金師、有形無形の莫大な負債を抱えた小室圭。

こういう家の息子と眞子さんは結婚するのである。女性宮家が成立すれば、小室圭は圭殿下となり皇族の仲間入りだ。

 

先日亡くなった作家橋本治は、「日本の無名な若者には、お姫様と結婚出来る幸運がない」という文を書いているが、この説を初めて打ち破る快挙をなそうとしているのが小室圭という不可解の塊の男なのだ。

 

橋本治の著書「双調平家物語ノート院政の日本人」(講談社)の第一章 后の力の始めに、の中に「日本の無名な若者には、お姫様と結婚出来る幸運がない」と題された項がある。

まさに小室圭のことではないか!

 

それでは引用。
たとえば、「笑うことをやめてしまった王女様」がいる。王様は困って、「王女を笑わせることに成功した者には、王女を妻として与える」というお触れを国中に出す。それを、一人の名もなく貪しい若者が見て、王女を笑わせることに成功する。王様は喜んでその若者に王女を与え、二人はその後、末長く幸福に暮らしましたーというようなおとぎ話が、西洋には当り前にある。

王女様の「困った状態」には様々なバリエーションがあるが、そういう王女様を相手にして、西洋の貧しい若者は、うまくすると、結婚が可能になる。このテの童話には「王女様の兄弟である王子様」はまず登場しないから、「王女様を手に入れた名もなく貧しい若者」は、当然のことながら、「次の王様」になることになる。王朝の交代があって当たり前の西洋だからこそ、こういう実力主義の出世譚(たん)はいくらでもあるのだろう。

 しかし翻って日本のこととなると、こういうおとぎ話はほとんどない。私が知るのは、室町時代の後期になって登場する「一寸法師」くらいである。

 

 主人であるお姫様のお供に出かけた一寸法師は、姫君を襲う鬼を退治し、鬼の落とした打出の小槌(こづち)の力によって大きくなり、姫君と結ばれる。姫君と結ばれる一寸法師は「領主様」のような存在になるのでなく、官僚としてそれなりの出世をする。一寸法師の舞台は王朝貴族の世界で、王朝貴族というのはみんな官僚だから、「お姫様を得た一寸法師は、それなりの出世をしました」というハッピーエンドしか用意されない。

もちろん王朝貴族が現役でいる平安時代には、こんな物語が成り立たない。王朝社会が瓦解してしまった室町時代だからこそこんな話も生まれるのだろうが、これがその後の江戸時代になってしまったら、設定自体が成り立たなくなる。「名もなく貧しい若者が知恵と勇気によって大名家の姫君を手に入れ、新しいお殿様になりました」などというのは、聞いたことがない。

 こういうことがファンタジーとしてでも成り立つのは、「名もなく貧しい若者」と思われていた人物が、実は、「由緒正しいお生まれの若者でした」という条件下のみである。

鬼を退治した一寸法師だって、原典の「御伽草子」では、「この奇跡の若者の両親は、よく調べたら、どちらも都のしかるべき家柄の出身でした」というオチがついている。まり、日本の名もなく貧しい若者には、「実力でお姫様を得てお殿様の後継者になる」という夢なんか見ようがないのである。日本の名もなく貧しい若者は、見るんだったら、「実は、自分は由緒正しい生まれの若者なのかもしれない」という夢を見るしかないのである。

(後略)」

 

この文章は13年も前のものだが、橋本治がまだ生きていたら、小室圭という「名もなく貧しい若者」をどう評価しただろうか。

「日本の名もなく貧しい若者には、「実力でお姫様を得てお殿様の後継者になる」という夢なんか見ようがないのである。」

と橋本治は書いたのだが、その説を裏切るかもしれない事態になりそうなのだ。

日本の名もなく貧しい若者小室圭が、「実力でお姫様を得て皇族のようなものに連なる」という夢を実現しつつあるのであり、たとえ誰が見ても結婚詐欺師であっても新しいヒーローが誕生しようとしているのである。

つまり橋本治が付けた「日本の無名な若者には、お姫様と結婚出来る幸運がない」という題は書き換えられなければならないかもしれないのである。

 

「実は、自分は由緒正しい生まれの若者なのかもしれない」という夢を見るしかないはずが、夢ではなく、実現させてしまった小室圭。(まだだけれど、可能性はかなりある)

そのマジックは、用意周到に準備された眞子さん篭絡計画、皇室背乗り計画なのだが、若い小僧の単純なナンパが皇室のお姫様相手でも成功してしまうという、皇室側の守りの拙さ、薄さがこんな大問題、スキャンダルを起こしてしまった。

 

もし圭殿下が令和時代に誕生すれば、後世に長く語り継がれることだろう。

「由緒も何もない無名な若者はお姫様と結婚出来ないはずが、結婚してしまった最初の男」として。

これは皇室、いや日本人にとって恥ずかしい、とても恥ずかしい汚点の歴史となるに違いない。

 

昔流行った禁煙パイポCM「私はこれで会社を辞めました」を文字っていえば、

小室圭&眞子の結婚で、

私はこれで皇室崇敬をやめました!」