訪日観光客はもう飽和状態だというのに、これでもまだ足りないらしい。春節には恥ずかしくも安倍首相が中国人に向けて歓迎のあいさつをし、わざわざ東京タワーを赤く染めた。今年の春節で中国人は約700万人が海外旅行を楽しんだというからそれを狙ったのである。

 

そんなに中国人の財布の中身が欲しいのか。日本人は中国人に物乞いする乞食に成り果てたのか。

中国人の観光地での傍若無人は多文化共生で慣れっこになってしまったのか。いや、下等な中国人の振る舞いをも見逃すのが、日本人のおもてなしの精神、おもてなしの振る舞いというのだろうか。

墜ちた日本人、中国人への物乞いを何とも感じなくなった日本人。世も末、日本も末である。

 

こんな日本に誰がしたのか。当然安倍首相であり、安倍政権であり、観光庁であり、経団連であり、航空会社であり、ホテル・旅館業界であり、デパートであり、旅行業者であり、土産物屋等々である。

儲けられるなら誰でもいいと言うのか、日本が踏みにじられ、汚されてもそんなことはお構いなしというのか。恥ずかしくないのか。そんなもので景気が良くなって喜べとでもいうのか。

いやいや、それでも日本は少しも景気が良くならないのである。

 

景気のためなら、なぜ日本人が豊かになるような工夫や知恵を出そうとしないのか。なぜ中国人に頼ろうとするのか。なぜ日本人が豊かになることで景気を良くしようとしないのか。なぜ日本人はそんなにも卑屈になってしまったのか。

 

中国人旅行客は最近は金を落とさない、日本で消費しないという。いい傾向だ。もう金持ち中国人は日本に飽きてきたのではないか。今来ている中国人は中・下層の中国人だから消費せずに、ケチケチ観光をしているのではないか。

 

「昨年12月当たりから中国人観光客の消費に変調が見え始めている。17年の1人当たり消費額で首位だった中国が、18年は4位へ後退した。今年はさらに順位を下げる気配が濃厚になっている。ただ、観光客数では断トツで、全体の消費額は1位をキープする見込みである。

 中国人のインバウンド消費が減り始めた背景は、中国の景気が下り坂であること。やや円高に振れていることも上げられている。最大要因は、中国の電子商取引法(EC法)が、1月から改正されたことの影響という。新EC法では、海外で購入した商品を転売する者が同法の規制対象となり、転売目的の商品購入にブレーキがかかっている。いわゆる「代購屋」と言われる人たちに規制の網がかかったのだ。」

(「勝又壽良の経済時評」より)

 

しかし、中国人は日本の思惑をよそに、中国政府の考え一つで訪日客を激減させることもできる。

迎撃ミサイルシステムTHAAD配備を巡って、中国人の韓国旅行を激減させたし、ファーウェイ関係で中国政府は、カナダへの渡航注意勧告を意図的に発令し、ツーリスト激減策を取り、裏では旅行代理店に団体ツアーのキャンセルを指示していた。


 スエーデンへの観光客も著しく減少したという。直接の切掛けは、中国共産党に批判的な本を出版、販売していた銅鑼湾書店のオーナーがタイの保養先から拉致された事件だった。このオーナーがたまたまスエーデン籍であったため、スエーデンに観光客を減少させる圧力を掛けたのである。

 

中国は同様な手口でトルコに狡猾な脅しをかけ始めた。中国からトルコへの観光客は2018年に80%増えていたが、それもこれも、トルコ政府が「一帯一路」に協力する、ウィグル族弾圧には無言、かわりに36億ドルの融資を中国工商銀行から得ていたこともある。しかしシリア難民問題以後、EUとの関係がギクシャクしたばかりか、米国との対立激化によって経済が悪化し、とくにトルコ通貨リラが50%の大暴落となった。こうした経済危機を乗り切ろうと、エルドアン政権は中国にも投資を依存したのだ。

しかし、状況は変わった。エルドアン大統領は「中国のウィグル族弾圧は人類の恥」と発言した。トルコの指導者の多くは「これほどの不道徳があろうか」と訴えた。

それに対し中国はやはりトルコにも観光客を減少させる圧力を掛け始めたのである。

(以上は「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)

 

つまり日本もちょっとした中国との行き違いがあれば、即刻経済制裁の一環として中国人訪日客を激減させることができるのである。私はこういう意味では中国政府の制裁を歓迎したい。早く元を断っていただけるとありがたい。

 

それにしても不思議なのは、中国人の旅行客が減らないことだ。もちろん13億の中国人民がいる。はんぱない人口ではある。

しかし、その内の9億は農民で最貧生活を強いられ、海外旅行どころではない。残りの4億といっても富裕層、中間層、下層に別れ、下層階級はやはり食うことに精一杯で海外旅行どころではないはずだ。また中間層にしたって、半分も海外旅行ができる人々がいるわけではない。

とすると、中国人の海外旅行者は13億人が対象ではなく、また4億人でもなくせいぜい1億人が対象となろう。海外旅行ができるのが1億人でも多いのは確かではある。

 

しかしだ。いま中国は不況の真っただ中だ。6%の経済成長率でやや下がったなどと言っているが、大嘘だ。おそらく0~マイナス成長が本当のところだろう。

 

不動産の倒産や製造業の倒産が相次ぎ、株価は下がり、国有企業の負債の増加で、企業の借り入れの対GDP比は2009年には120%前後だったが、16年には170%近くに上昇した。国有企業の復活は企業幹部の間で信頼感の低下も招き、民間投資が落ち込んだ。

また金儲けのためのシャドーバンキングの一環であるP2P業者も大量倒産し、金を投資していた民衆は大損こいたはずである。

 

米中経済摩擦は今後もっと激しくなるはずだ。要は中国経済の先行きは暗いのである。それは中国人の富裕層、中間層を直撃するはずだ。

そういう見通しがあるなかで、中国人は何をのんびりと海外旅行を楽しんでいるのだろうか。あぶく銭は遊んでいれば無くなっていく。そしてバブルはもう消滅して次のバブルを待っていてもダメなのだ。

 

そんなことが目端の鋭い中国人はわからないのか。海外旅行にうつつをぬかしていていいのだろうか。金を大事にしていま節約しておかないとすぐに生活に困る時期が来ることが想定できないのか。

 

中国人よ、現実を見よ、中国経済は今下りに下っているのだ。日本で遊んでいる余裕などないはずだ。後悔するなよ、今からでも遅くはないから、日本に来るのは止めよ。

 

中国人が日本に来ないようにするには、外交において中国政府となんでもいいから問題を起こすこと。トルコみたいにウイグル自治区の人権問題を指摘するのもいい。住友商事の社員のスパイ疑惑を非難するのもいい。中国政府を怒らせてほしい。

もう一つは中国人が中国の経済先行きが暗いことに目覚め、遊んでいる場合じゃないと覚醒することだ。

 

この二つが中国人訪日観光客を減少させる希望である。

 

日本政府・観光庁の思惑がはずれるが、バカ観光庁はさらに中国人を日本に呼び込む施策、日本人の税金を使って下らない施策を考えることはやるな。

もしあくまでも数値目標を達成するためになんとかしようと考えるとするなら、最悪の役所は観光庁というしかない。