苫小牧CCS実証実験と去年の北海道大地震とは無関係ということで、昨年末からCO2圧入を再開した。

このCCS実証実験では3年間30万トン以上を目指して、CO2を苫小牧港の海底約1,000mの地層へ圧入しており、既に20万トンの圧入が終わり、更に10万トンを圧入して計画が終了する。

 

(注)CCSとは?

CCSとはCarbon dioxide Capture and Storageの略であり、火力発電所や製油所、製鉄所など大規模工場から排出されるCO2Carbon dioxide)を大気中に放出する前に捉えて(Capture)、地中に貯留する(Storage)技術のことだ。

確かに、化石燃料を燃やすことで発生するCO2を地下に埋めてしまうことができれば、エネルギーの利用と温暖化対策の両立が可能になるというもの。

 隣接する製油所から送気されるCO2含有ガスからCO2だけを分離回収し、回収したCO2を苫小牧港港湾区域内の地層へ圧入する。回収したCO2は最大228気圧まで圧縮されたうえで3000メートルの地中深く送り込まれる(圧入)。

 

北海道大地震は昨年の9月6日に発生したが、818日にCO2の地下への貯留量の累計が20万トンに到達していた。

 

このブログでは、地震爆発論提唱者石田昭氏の警告つまりCCSによるCO2地下圧入が地震をもたらした可能性が高いということを何度かに分けて紹介してきた。

 

幾つか紹介する。(もう読んだ方には煩瑣なものでしかないが勘弁して下さい。)

「地震爆発論は、活断層が動いたり、プレートにひずみが溜まったりして地震が起きるのでは全くないという理論だ。

 地下深くでの解離ガスの発生による地震は自然にも起きるが、人為的にも解離ガスの発生を促進することもある。アメリカでは滅多に地震が起こらない場所で群発地震が発生しているそうだ。

オクラホマやアラスカでの群発地震が起きているのだが、オクラホマでは水圧破砕法による廃液の地中圧入処理、アラスカでは石油採掘にやはり水圧破砕法を用いている。

石田氏は「何度も言いますが、フラッキング工法(水圧破砕法)で出る廃液を地中に圧入することは大変危険です。地下水をマグマの高熱に近づけて、熱解離を起すからです。熱解離した酸水素ガスは可燃ガスであり、爆発もします。この爆発が地震現象の原因です。」と指摘する。

  要するに、地下に不用意に高い圧力を掛けて、液体その他を圧入することは、解離ガスを不安定化させ、爆発し、地震を引き起こす元になる危険があるということだ。」

 

苫小牧でのCCSによる地震・津波を警告する 2013.7.18

 CCSは現在苫小牧で計画が進行中です。CO2の圧入はもっと先のことかと思っていましたが、中間報告書を読むとすでに前段階として、水の注入を行っているようです。水であれ、液化炭酸ガスであれ、液体を圧入することは解離ガスの発生を促進する危険性、つまり人為的な地震発生の危険性が高まる可能性がありますので、地震爆発論学会として、警告を発しておきます。

 

中越地震、中越沖地震と云う二つの地震を起こした疑念のある新潟県長岡市でのCCS、岩手・宮城内陸地震を起こした疑念のある秋田県雄勝実験場でのCCS、そして東北大震災の津波災害を引き起こした可能性のある福島県いわき市沖でのCCS、これらを検証することなく、苫小牧でのCCSを進行させることは、日本国民の悲劇を繰り返す危険性があることを強く警告します。

また、地震学者や日本地震学会、またマスコミ各社もこの危険性を何ら把握していないことをも、警告しておきます。」(石田氏「新・地震学セミナー」より)

 

中越沖地震から10年、教訓は何なのか?(2017.7.17

  昨日は中越沖地震の発生から10年ですので、合同追悼式が行なわれたそうです。中越地震が起きたときには私も、CO2圧入作業の実態(長岡市深沢・岩野原実証試験)を知りませんでした。年が明けた20051月にCO2の圧入作業を読者から知らされびっくりしました。
中越地震(2004.10.23)は圧入(2003.7.7)から13ヶ月後に発生し、中越沖地震(2007.7.16)は圧入から4年後に発生しています。

トータル10,405トンを圧入して、中越地震後の200511112時に完了となっています。
(因みに、長岡の実証試験はデータの収集が目的であり、勿来沖、苫小牧沖、などは本格事業です。勿来沖での圧入事業も、東北大震災のあと、中止され、苫小牧沖に移っています。北九州でも本格事業が進行中です。)

長岡でCO2圧入後、4年間に2回の地震が発生した。因果関係は本当にないのか。

 苫小牧沖でのCO2圧入作業は昨年の8月に本格化しているはずですので、そろそろ一年近くになります。大きな地震が起きなければいいのですが、少なくとも、二つの中越地震の教訓という文脈でのマスコミ記事は見たことがありません。

「地震学者やメディア」は何も騒いでいなのに、「何でそんなことを心配しているの?あなたの話には興味が無いです」というのが「お上に逆らわない一般的な日本人の」心情なのでしょうが、私は心配しています。」(石田氏「新・地震学セミナー」より)

 

 「苫小牧のCCS大規模実証試験はこれまで、萌別層という浅い地層に圧入していましたが、今年2月になって、滝ノ上層という深い地層に80トン圧入しています。萌別層よりも深い滝ノ上層へ8月は65トンが圧入されています。

今年1月に紹介した時点では累積圧入量が12.3万トンでしたが、7ヵ月後の8月には20.6万トンを超えています。今年になって大量の圧入が行なわれたようです。しかも、より深い滝の上層への圧入も始まっていました。その途端に地震となったようです。」(石田氏「新・地震学セミナー」より)

 

1月の時点では、石田氏は次のように書いていました。

「…12万トンの液体が注入されると、同じ量の地下水がどこかへ押し出されます。地下水の先端部分が高熱地帯に達していた場合、たとえば近くの樽前火山の火道に連なっていたりすれば、解離ガスの発生につながり、地震を引き起こす可能性があります。地下水は全て繋がっていますから、樽前山は遠くにあるといっても、圧力をかけて移動させるのですから影響は免れません。

 昨年1月からの作業でどの程度の「地下水移動」を起こしているのかは分りませんが、私は南海トラフの地震よりも危険性が高いのではないかと心配しています。」

 (引用終り)

 

日本CCS調査会社は、CCSと地震の関係を否定しているから当然CO2の地下圧入を再開したのだ。

なにしろ、地震学者は、地震の原因は活断層のずれかプレートのひずみによるとしか考えていないから、CO2の地下圧入を止める理由がないのである。しかもこの苫小牧CCSは国が要請する実験なのだから尚更止めるわけにはいかない。

 

しかし、地震爆発論からするとこのCCSは地震を誘発する危険性が非常に高いのである。過去のCCS実証実験ではことごとく巨大地震を誘発している。そして今回の北海道大地震も苫小牧CCSが地震を引き起こした可能性が高いのである。

 

去年の北海道大地震は、CO2圧入が20万トン超で発生した。去年末から圧入を再開して、毎日200~250トン圧入しているようだ。

1月23日現在の累積圧入量は、21万3600トンに達している。あと9万トンものCO2を圧入する計画だ。またどこかの時点で地下の解離ガス状態が不安定になり、解離ガス爆発し巨大地震が起こる可能性がある。

 

石田先生は、「新・地震セミナー」(2019.1.24)のなかで、

「前回は7月25日に圧入作業を再開して、43日目(9月6日)に発震しています。今回の再開(12月27日)から43日目は28日ですが、地震爆発論学会としては、愚かな「第2苫小牧地震」が起きねばよいがと心配しています。」

と二度目の地震発生を警告している。

 

私としては、43日間CO2を圧入しても、地震が必ず起きるとは思えないが、数か月の内に地震発生の可能性はかなり高いといえる。

 

今南海トラフ地震が近々発生する、その確率がかなり高まっていると警鐘を鳴らす地震学者がいる。

立命館大学環太平洋文明研究センター教授の高橋学氏が言う。

「昨年12月以降、南海トラフが直接動いたとみられる揺れが起きています。しかも、今年になって頻度が加速している(別表)。1月8日と9日の種子島近海の地震は南海トラフの端が動いたものですが、8日の方はM6.4と規模が大きかった。南海トラフの動きが日に日に激しくなっているのです」

 

南海トラフ自体が存在しない可能性があるのですから、南海トラフ地震自体が起きる可能性はないので、心配はいらないのだ。

 

しかし、苫小牧CCSによる地震発生は理論的にも可能性が高いため、北海道大地震がもう一度来るかもしれない。

 

苫小牧近辺にお住まいの方は、ぜひとも今後の地震の備えを万全にしていただきたいと思います。