今日も猛暑に関連する話。

 昔のドラマでは暑い日差しの中で、男はカンカン帽を被っていた。今は爺さんは山登りのときに被る帽子などをつけていることが多い。しかしサラリーマンはほとんど帽子をかぶらない。麻生大臣のようにマフィアのような中折れを被る男はまずいない。

 

だから、男は暑い日射を防ぐ手立てをせず、ただ耐えるばかりだ。

ホントに不思議なことだ。多くの女性は日傘を差しているというのに。

 

このどうしようもない暑さから、やっとネットでも男の日傘の話題が出てきた。しかし、未だにワイドショーで男の日傘を真面目に扱うことがないのは不思議だ。

水を飲めばかりだ。

 

なぜ男は日傘を差さないのか。

あるブログが会話形式でそんな事情を書いている。(モヤピカブログより)

 

 仕事中にスーツ着て外回りするのがマジ辛いんですけど、何かいい方法ないですかね?

女性 うーん、あ、日傘差すとかなり涼しいよ!日傘男子なんて呼び方もあるくらいだから男の人でも日傘使ってもいいと思うけど?

 日傘ですか~・・・この間同期のヤツとも男の日傘ってどうよ~なんて話したんですけど・・・

やっぱりちょっと恥ずかしいし、気持ち悪いとか思われたら嫌だよねって話になったんですよね。

女性 あぁ、まあね、確かに「日傘は女性の物」っていうイメージは強いよね

 ですよね~?同期の女の子にも聞いてみたんですけど「男が日傘~?キモイ~」って笑われちゃって。

女性 あー。確かにまだ男性の日傘って一般的か?って言ったらそうでもないかもしれないよね。

でも、内勤の子には外の暑さは分からないんじゃない? 日傘男子キモイ~、とか言ってる場合じゃない位暑いよね!

 (引用終り)

 

 そうなんである。男は恥ずかしいのである。日本人だから「周りの目が気になって」恥ずかしいのである。

でもそれは不思議な言い草なんだなあ。

 

サラリーマンのくせに、背広姿でリュックサックを背負ったり、最近では前にリュックを掛けたりしているが、恥ずかしくないのか。リュックサックはピクニックや山登りの時使うものだろうが。

 

穴の開いた汚いジーパンをはいている男たちよ、恥ずかしくないのか。

 

茶髪、金髪に髪を染めて女のような格好にして恥ずかしくないのか。

 

男が日傘をして、何で恥ずかしいのか。

全く理解できない。

 

皆がやっている、流行っているなら恥ずかしくなくやるのか。

それでも男なのか。独立心はないのか。俺だけでもやってみるという心意気はないのか。

男の日傘を差してみる勇気はないのか。

(いやいや、日傘を差すのに勇気なんているんだろうかねえ)

 

お前はどうなのか、だって?

私は20年も前から、つまり40代後半から暑いときには日傘をさしている。

もう20年の年季が入っているのだ。

 

紀貫之の土佐日記の

「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」

を文字って

「女もすなる日傘といふものを、男もしてみむとてするなり」である。

恥ずかしいなんて感じたことはない。

 

私は暑いとか日射が嫌いだった。

女がする日傘をなぜ男は差さないのか。

夏のゴルフ場では、男はみんなあの派手な日傘を差してコースを回っている。その時誰が恥ずかしいという者がいるか。

 

ルース・ベネディクトが「菊と刀」のなかで、日本人を恥の文化と規定した。

恥とは他人の目のことだ。しかし、この他人の目は、本当の他人の目のことではなく、「私」が想像した他人の目を内面化したものだ。

つまりは他人の目の忖度!

 

他人が文句を言ったわけではない。「私」が恥と思っただけである。

まあこれが文化というものだろうけど。

なら、「私の見方」を変えればいいだけの話だ。

普通の理由を見つければいいだけの話だ。

 

雨が降ったら傘を差す。当たり前だ。恥ずかしことではない。

日差しの強いゴルフ場で日傘を差す。当たり前だ。恥ずかしことではない。

路上で日差しが暑ければ、死にたくないから日傘を差す。当たり前だ。恥ずかしことではない。

 

ということで、40代の後半から名古屋で暑い夏に街で日傘を差した。

通勤のときも駅まで差していった。確かに周りの歩行者は私をジロジロ見ているような気がした。

 

その時の私の感情は恥ずかしさでは全くなかった。

それは、勝ち誇ったような優越感だった。

なぜって?

貴方もやはり照り付ける日差しは暑いんでしょ。なにを我慢しているの。日傘を差せばいいのに。かわいそうに。

私は日傘でマイ日陰を作ることができる。歩けば日陰はずっと付いてくる。涼しいよ。

貴方は恥ずかしいという気持ちだけで暑さを我慢する。

下らない恥は捨てなさいよ。涼しいよ。

 

この話を会社でしたら、部下が「部長!恥ずかしいことは止めて下さい」と言いやがった。

「バカ野郎。お前もやってみろ」

と言ったが、今ほど切実感がなかったのかもしれない。誰も真似する者は出てこなかった。

 

いまやっと男の日傘か当たり前になりつつある?

いや、まだ駄目だろうね。

それほどに人間を呪縛する「心持ち」というものは強いんだ。

日傘を差して笑われるより、熱中症で死んだほうがまし、というのが人間のさがなんだろうね。

 

因みに、私の日傘はいわゆる日傘ではない。折り畳みの雨傘だ。この雨傘で十分いける。

むしろ男用の日傘にしないほうがいいだろう。それこそ、男のくせに、といわれそうだから。