最近のテレビニュースで、何度か錦糸町駅前の頭のいいカラスを面白おかしく扱っている。駅自販機で戯れてカードを口にくわえて見たり、通行人の肩や頭に留まったり、菓子パンを盗んだり、果ては餌をやって餌付けするバカ女が登場したりと。

 レポーターも体を突っつかれて、困っているというより喜んでいるような。しかし、通行人や子供たちを襲うカラスは迷惑でもあり、いつか誰かが大きな怪我をさせられて問題になることだろう。

 

 そもそもカラスは街角でゴミを漁り、ゴミを散らかしたり、人を襲ったりするためにみんなの嫌われ者ではなかったか。

 錦糸町のカラスは、なんだか野良猫が見世物になった如く、愛くるしい小動物に成り代わりそうな気配である。

 

 別にカラスがそうしたわけではない。カラスの賢く面白いその動作を、人間が特にテレビがそう扱ったから人気者になりつつあるのである。

 

 馬鹿げている。全く馬鹿げている。カラスは害鳥だぞ!

カラスは鳥の仲間でも大きいほうだ。鷲や鷹と比べれば小さいし、どう猛さはないが、ワル賢く人を襲う危険な小動物だ。駆除すべきなのだが、なんだか動物愛護法というやっかいな法律にひっかかるのみたいだ

 

 飼われているカラスは動物愛護法の対象になり、

「第44条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」

と決められているからカラスを傷つけたら処罰されるんだってよ。

 

 また、飼われていなくてもカラスは鳥獣保護管理法が適用される動物でもあり、手厚く法律で守られているようだ。

 

 だからあの黒カラス、平然と人を襲っても平気なのだ。つまりあのカラス、鳥獣保護管理法で守られていることを知っているらしい。ホント頭のいいカラスだ。しかし権利の濫用じゃないのかねえ。

 

 ちょっとネットで調べたら、

「さらに注意が必要なのは、自宅の庭にカラスが巣を作ったからと言って、 それを撤去する場合においても許可が必要になる。 この法律は私有地かどうかを考慮しておらず、個人の庭にも適用されるのだ。」

と書かれていたし、もっとびっくりしたのは、弁護士ドットコムというページに、

「学校の校舎や庭の木等に巣を作ったカラスに児童が襲われ怪我をした場合、その責任は学校にあることになるのでしょうか?

という質問に、

「学校全体を公の営造物とし、その設置管理責任の瑕疵として責任を問題にできるでしょう。」

との回答。

 

 つまりはカラスには全く責任がなく、学校側の責任が問われている。まあ学校にも責任はあるが、カラスを駆除していいとは書かれていない。駆除するという学校側の責任を果たす行為は、鳥獣保護管理法で禁止されているから、カラスの責任は問えないつまりカラスの勝手放題ということになる。志村けんのカラス!

 

 人間は泣き寝入りせねばならない。なんじゃこりゃ、本末転倒じゃないのか。学校はカラスが飛んで来たら、竹竿かなんかで追い払うのはいいが、叩いて怪我させてはいけないのだ。

 ここで教師は児童たちに、カラスの命の大切さを教えなくてはならない。児童が怪我をしても、カラスの命の大切さを、ね。

つまり自分より相手のことを考えようと。興奮して相手を傷つけてはいけない、例え憎きカラスでも。これが日本の平和憲法の精神だと。

 

 これって、日本の自衛隊のようなものかな。中国が如何に日本の領土を侵犯しても、相手を傷つけてはいけないのだから、カラスへの法的配慮は日本の平和憲法に則っていることになるんだ。

 ということは、カラスをぶちのめして撃退するためには、憲法改正が必要だってことだ。

うーん、憲法改正が身近なものになってきたぞ。

 

 さて、錦糸町駅前のカラスはこれほどに守られている。だから、襲われても抵抗してはいけない。いつか目でも突っつかれて失明するかもしれないが、駆除はできないのだ。

 しかしだ。ほんとうにそんなことでいいのか。テレビのレポーターもカラスと遊んでなんかいないで、カラスから人間の命と安全を守るにはどうしたらよいかの問題提起ぐらいして欲しいものだ。

 

 私はこの悪ガキカラスの勝手な振る舞いとそれに右往左往する人達を見て、不法移民を際限なく入れてしまって人道対処したと誇らしげなドイツ政府と、迷惑移民については何も言えないで困っているドイツ国民のことを思わせた。そして、このことは遠からず日本でも顕著な問題になるであろうことを憂えたのであった。

少子化対策に失敗すれば、もっと移民をになるからだ。もう十分日本には移民が入っているというのに。

 

 夕方のニュースでは、誰かがこのカラスを捕獲したとか言っていた。傷つけて捕獲したなら、この善意の人は逮捕されるかもしれない。そしてカラスは無罪放免され、錦糸町駅前に舞い戻るだろう。さらにカラスは我が物顔で振る舞うだろう。何せ日本では、人間よりカラスのほうが大事なんだから。日本の逆さまがここにある。