ちょっと戻って、
P.414 ハリーとロンは、キャンプしたことがわかるような跡を地上から消した。
UK版P.234 while Harry and Ron obliterated all the marks and impressions on the
ground that might show they had camped there.
これを読んだとき、3人は敵からの逃避行なのでキャンプしたって言い方もどうかな?と思った。
どうしても夏休みのキャンプみたいなのを思い出す。
でも、自衛隊とかでもキャンプっていうし、野営って感じでもないからなーとスルーした。
ところが。
P.424 毎朝、野宿の跡を残さないように消し去ってから、
UK版P.239 Every morning they made sure that they had removed all clues to
their pretence,
P.457 二人は、いつもなら野宿を引き払っていたであろう時間より、
UK版P.256 ...after they would usually have departed their campsite.
と、いつのまにか野宿になっていたんだな。野宿?って屋根ないとこじゃない?って思って。
辞書で調べたら、やっぱり”野外に寝て夜を明かすこと(大辞泉)”とある。テントがあるし、
キッチンやバスルームもついてるんだからちょっと野宿のイメージと違うんじゃないかな?
試訳:ハリーとロンは、ここで三人がテントを張ったと分かるような痕跡全てを地面から
消した。
試訳:毎朝、自分たちの存在の手がかりとなるものを全て消したことを確認してから、
試訳:二人は、いつもならテントを張った場所(キャンプ地、滞在地)から移動を始めていた
時間より、
最後はちょっとぎこちないか。
P.535 自分たちが野宿をしている場所の
UK版P.299 where they are camping
やはり野宿になってます。
P.459 フィニアスは、自分が学校を牛耳って以来のスリザリン出身の校長を崇めていた
ので、スネイプを批判したり、校長に関する生意気な質問をしたりしないように気をつけ
ないと、たちまち肖像画から姿を消してしまうのだった。
校長だった時のことをさして牛耳るって言い方は、ちょっと悪役っぽいというか。辞書でみたら、
牛耳るは「団体や組織を支配し、思いのままに動かす」とあるから、あながち間違いではないけど。
それから、校長とスネイプは同一人物なのに、この書き方では散漫というか。
UK版P.257 He venerated Snape, the first Slytherin Headmaster since he himself
had controlled the school, and they had to be careful not to criticise, or ask
impertinent questions about Snape, or Phineas Nigellus would instantly leave
his painting.
試訳:フィニアスは、自身が学校を管理して以来初となるスリザリン出身の校長スネイプに
敬意を払っていたので、二人はスネイプを批判したり、スネイプに関する不適切な質問を
しないよう気をつけた。さもないと、フィニアスは瞬時に肖像画から姿を消してしまうのだった。
あー。スネイプ3連発になってもーた。
試訳:フィニアスは、自身が学校を管理して以来初となるスリザリン出身の校長スネイプを
敬意を払っていたので、二人はスネイプに関する不適切な質問や批判をしないように気を
つけた。さもないと、フィニアスは瞬時に肖像画から姿を消してしまうのだった。
P.461 イギリス南部・・・スコットランドの湖
UK版P.258 the south of England... a Scottish loch
国中を転々としている描写なんだけど。こういう場合、イングランドがイギリスになるのは仕方ない
のかな?でも、続きにスコットランドが出てくるので、私的には違和感だなー。
P.261 には魔法史の文章の中に the south coast of England (UK版P.261)が南部海岸沿いと
訳されている。ここも魔法使いの住む村の紹介でいろんな地方が紹介されている。
なぜかそのあとは英国西部地方ってなってるんだな。( the West Country )
P.461 イギリス南部だけに留まれるなら、せいぜい霜くらいが最大の問題だったが、
一カ所にあまり長く滞在することはとうていできず、あちらこちらをジグザグに渡り歩いた
ため、二人は大変な目に遭った。
UK版P.258 They did not dare remain in any area too long, so rather than
staying in the south of England, where a hard ground frost was the worst
worries, they continued to meander up and down the country,
問題ないかもしれないけど、読みにくいし、微妙に違うと思ったので。
meander は曲がりくねって歩くと辞書にあるから、ジグザグにしたのかもしれないけど、
ニュアンスは違う気がするよ。
試訳:二人は、どの場所にもあまり長く滞在することはとうてい出来なかった。最大の心配
は、霜が降りて硬くなった地面ぐらいのイングランド南部にさえ留まらず、国中をあてどなく
渡り歩いた。
さらにその続き。
P.461 あるときは霙(みぞれとルビ)が山腹に張ったテントを打ち、あるときは広大な湿原
で冷たい水がテントを水浸しにした。また、スコットランドの湖の真ん中にある小島では、
一夜にしてテントの半分が雪に埋もれた。
あるときは、あるときはってするなら、同じ語順にするとかうまいこと韻をふむとかすればいいのに。
ここの braving が二人は大変な目に遭った。と訳されているんだね。
UK版P.258 braving a mountainside, where sleet pounded the tent, a wide flat
marsh, where the tent was flooded with chill water, and a tiny island in the
middle of a Scottish loch, where snow half buried the tent in night.
試訳:果敢にも山腹に挑めば、みぞれが激しくテントをたたき、広大な湿原では冷たい水が
テントを水浸しにした。また、スコットランドの湖の中ほどにある小島では、一夜にして
テントの半分が雪に埋もれた。
P.465 「あのね、あの村は、彼の名前を取って命名されたの。そういう結びつきだっていう
ことに、あなたが気づいたのかと思ったのに」
UK版P.260 ' Well, as the village is named after him, I'd have thought you might
have made the connetion, '
原書みて、ちょっと違う?と思った。
試訳:「あのね、あの村は、彼にちなんで名付けられたの。あなたはそれを結びつけて
考えたのかと思ったのに」
あれ?同じか?
ここ数ページ、ハーマイオニーは彼ってよく使う。彼はあえて使わないようにしてるんでは?
P.466 彼らは、寛容な、または『錯乱の呪文』にかけられたマグルたちとともに暮らしてきた。
UK版P.261 who lived alongside tolerant and sometimes Confunded Muggles.
魔法史の一節に、ゴドリックス・ホロウのようなところでは、魔法使いがマグルと共存していることを
説明している。 Confunded とは、Confundus Charm という魔法にかけられた状態で、
嘘や幻が真実だと確信してしまうようだ。元になったのは、ラテン語の confundo(「当惑させる」「まご
つかせる」の意)と言われており、英語の confound も同様の意味を持つ。
魔法使いは同じ村で暮らしているマグルにこのような魔法をかけ、自分たちの正体を隠しているの
だろう。それなのに「錯乱」というのは、人が自分の判断に自信がなくなり混乱して取り乱している
ことを言うので、おかしい。
ここは「幻惑呪文」、「錯覚呪文」などとした方がいいのではないか。
試訳:彼らが共に暮らしてきたのは寛容な、ときには『錯覚呪文』にかけられたマグルたち
だった。
同じ魔法はP.10にも出てくる。
P.467 きわどかった。ハーマイオニーは、ロンの名前が見え隠れするのに気づいていた。
ハリーは先を急いだ。
ロンが出て行ってしまった後。ハリーはロンの名前を出したくなてロンの大おばの名を出す時に
ジニーの大おばさんと言ったハリー。その直後の表現なのだが、いきなりきわどかったってのも
意味わからないなーと。ハーマイオニーがロンのことを思い出すんじゃないかって、ひやっとした
瞬間なんだろうから、意味的にはきわどいでもいいのかもしれないけど…。
UK版P.262 It was sticky moment: Harry knew that she had sensed Ron's name in
the offing. He rashed on.
sticky はねばねばするとかいう意味の他にやっかいな、面倒なという意味もある。
in the offing 近い未来に、やがて起こりそうな。
試訳:面倒なことになりそうな瞬間だった。ハーマイオニーは、ロンの名(が隠れていること)
にすぐに気付くだろう。ハリーは先を急いだ。
P.461 ハーマイオニーが突然息を飲んだ。あまりの大げさな驚きように、ハリーは腸(はら
わたとルビ)が飛び出しそうになった。
腸が飛び出すなんてあまり聞かないなと思って、検索かけてみたら病気しかヒットしなかったよ。
腸が飛び出す重傷とか、脱腸とか。
UK版P.262 She gasped so dramatically that Harry's insides turned over.
試訳:ハーマイオニーが(突然)息を飲んだ。あまりにも大げさだったので、ハリーは胃が
口から飛び出しそうになった。or 胃がひっくり返りそうになった。
P.468 ハーマイオニー説に疑義(ぎぎとルビ)を差し挟むべきときではない。
なんでこんな難しい言い回し?
UK版P.262 Now, was not the moment to cast doubt on Hermione's theory,
試訳:ハーマイオニーの説を疑う時ではない。
P.470 心臓が喉元で激しく打つのを感じながら、
直訳なんだろうけど、日本語ではこういう言い回しないから、せめて
まるで心臓が喉元で激しく脈打っているかのように感じながら、とかってした方がよくない?
UK版P.264 Heart beating in his throat,
試訳:のど元が脈打つのを感じながら、鼓動ののど元に感じながら、
P.474 墓地の入口には、一人ずつ入る狭い小開き門があった。
UK版P.266 There was a kissing gate at the entrance to graveyard.
小開き門なんて耳慣れないなと思って、yahoo で検索したら!何と6件しかヒットしなかった。
元は kissing gate で、一人しか通れない小さい門のこと。説明してるんだから
狭い門とか小さい門とかでいいのにね。
ささいなことだけど。P.474 からの墓地でのシーン。墓石のルビがぼせきだったり、はかいしだった
り。あえてかえるほどのものか?それとも深い意図があるのか?
P.474 6行目 ぼせき
11行目 はかいし
15行目 ルビなし
P.475 1行目 ルビなし
P.476 2行目 はかいし
13行目 ルビなし
P.477 9行目 ルビなし
P.478 15行目 ぼせき
P.474 「声を低くしてちょうだい」ハーマイオニーが哀願した。
UK版P.266 ' Keep your voice down, ' Hermione begged him.
間違ってないけど、哀願するというのは…。微妙に違う気も。頼んだとかじゃダメ?
ちなみに国語辞典では、同情心に訴えて願うとあるし。
そんなわけで、その続きなんだは
P.474 雪に黒い溝を穿ち、屈み込んでは古い墓石に刻まれた文字を判読しながら、
UK版P.266 gouging dark tracks into the snow behind them, stooping to peer at
the words on old headstones,
gouging はえぐりだすとかいう意味だから、雪に黒い溝を穿ちで間違ってないと思うけど。
分かりにくいっていうか。雪の上に黒い足跡を刻みながら、とかじゃダメなのかな?