P.154 「ブルブル震える木」 ~略~

風もないのにゆっくりと葉が震え、気持のよいさざなみのような効果をあげていた。


UK版P.92 Flutterby Bushes ~略~

though there was no breeze, the leaves waved lazily, giving an attractive effect.


新しく登場したFlutterby Bushes。デラクール一家を出迎える日に、隠れ穴の裏庭の入口に

飾られた木のこと。英和辞典を引くと flutter には確かに震えるという意味がある。手元の国語

辞典によると震えるは「細かく揺れ動く」とある。

しかし、直後には the leaves waved lazily とあり、ブルブル震える木ではないことは

明らか。ゆっくり葉が震えと訳されているが…。


雰囲気を良くするために飾られた木のはず。ブルブル震える木では、まるで一時期

流行った音に反応するサングラスした花のおもちゃのようではないか。


試訳:「揺れる木(もっといい日本語あるはず!)」 ~略~

風もないのにゆったりと葉が揺れて、気持よい効果を与えている。


P.155では鉢植えとしか訳されていない。 



ハートスペードダイヤクラブ


P.155 「いいえ、何でもありませんのよ、何でも!」 ウィーズリーおばさんが、声を上ずら

せてコロコロと答えた。


UK版P.93 ' Oh, it's been nothing, nothing !' trilled Mrs Weasley.


コロコロ?

trill は音楽用語では、音譜ミソミソミソとかそういうやつ。「せん音、主要音とその2度上の補助音

とが急速に反復されること」だそうだ。音楽関係以外では(甲高い)さえずりと書かれている。なんで、

コロコロなんだろう?と思って国語辞典を開いたら、


 1)小さな物体がころがるようす。

 2)つぎつぎにたおれるようす。

 3)小すずなどが鳴る音。

 4)まるみのある太り方のようす。

とあった。あながち間違いではないのか?


試訳:「いいえ、何でもありませんのよ、何でも!」 ウィーズリーおばさんが甲高い声で

言った。



ハートスペードダイヤクラブ


P.155 マダム・デラクールがすいーっと進み出て身を屈め、またウィーズリーおばさんの

頬にキスをした。


UK版P.93 Madame Delacour glided forwards and stooped to kiss Mrs Weasley too.


すいーっと、ねぇ。別に間違ってないけど…なくてもいいのでは。

それに、ここで「また」としてしまうと、マダムがまたキスしたように思えてしまう。マダム

という意味の too だと思うのだが。


試訳:マダム・デラクールもすべるように進み出て、ウィーズリーおばさんキスをしよう

と身をかがめた。


ハートスペードダイヤクラブ


P.199 行列の先頭でガーガーしゃべっている中年の魔女たちを素早く飛ばして、

~略~ いい加減なフランス語で話しかけた。


UK版P.116 and darting past the gaggle of middle-aged witches heading the

procession he said,


gaggle は、辞書では確かに真っ先に、アヒルなどがガーガー鳴くと出てくるが。

その次に騒々しい人々(特に女性)と出ているではないか!

ガーガーしゃべっているって日本語あり?


試訳:行列の先頭にいる騒々しい中年の魔女の集団を素早く飛ばし、話しかけた。


このあとにフレッドが話したのは正確なフランス語ではないかもしれないが。

いい加減とはどこにも書いていない。



ハートスペードダイヤクラブ


P.207 ピリピリした期待感が暑いテントを満たし、


UK版P.120 A jittery anticipation had filled the warm tent,


ピリピリすると期待感って、合うのかしら?jittery は神経質なって意味が出てくるからピリピリ

なんだろうけど、結婚式の前だし。そわそわの方がよい気がする。


試訳:熱のこもったテントは、そわそわした期待感で満たされ、



ハートスペードダイヤクラブ


P.126 「どうぞ、どうぞ」ドージはかなり高いゼィゼィ声で言った。


UK版P.126 ’Of course, of course, 'said Doge; he had a rather high-pitched,

wheezy voice.


キター。久しぶりの登場!ゼィゼィ声。wheezy で辞書引くとぜいぜい言うと出てくるからね…。


試訳:「どうぞ、どうぞ」ドージは言った。ドージはかなり甲高く、(ぜいぜいと)枯れた

声をしていた。


喉を痛めている時にも使うので、枯れた声としてみた。


ぶーぶー


P.223 「虚偽じゃ!」ドージがゼィゼィ声をあげた。「まったくの虚偽じゃ!」


UK版P.129 ' Untrue ' wheezed Doge. ' Absolutely untrue ! '


同じくドージのゼィゼィ声。それから、虚偽でもいいと思うけど…。


試訳:「嘘じゃ!」ドージの声が(ぜいぜいと)かすれた。「まったくの嘘じゃ!」


ぶーぶー


P.224 「アリアナはスクイブではなかった!」ドージがゼィゼィ声で言った。


UK版P.129 ' Ariana was not a Squib !' wheezed Doge.


試訳:「アリアナはスクイブではなかった!」ドージが(ぜいぜいと)苦しそうな声で言った。


試しに、一つ一つ違うようにしてます。



ハートスペードダイヤクラブ


P.269 その下にはセピア色になった一連の新聞の切り抜きが、コラージュ風に

ギザギザに貼りつけてあった。


UK版P.155 Beneath this was a collection of yellow newspaper cuttings, all

stuck together to make a ragged collage.


ギザギザに貼りつけてが気になった。確かに辞書には出てくるが…。a piece of paper

with a ragged edge とかならギザギザなんだろうけど。ギザギザに貼り付けるって?

ragged ときくとぼろぼろの服とかを思い出す。


セピアでもいいと思うけど、yellow だから黄ばんだにしてみた。

一連ってひと続きという意味だから、いいのかな?


試訳:その下には、黄ばんだ新聞の切り抜き(を集めたもの)が、ぼろぼろのコラージュ

のように、まとめて貼られていた。



ハートスペードダイヤクラブ


P.282 クリーチャーの啜り泣きは、ガラガラと耳ざわりな音になっていた。


UK版P.162 Kreacher's sobs came in great rasps now;


すすり泣きはガラガラとした音にはならないかと…。

rasp は、名詞ではやすり、やすりをかける音とある。動詞としては、やすりをかけるのほか

しゃがれ声で言う、いらいらさせるなど。バイオリンをきしませるとかでも rasp on the violin

なんて言うようだ。ガラガラさえなければいいのね。


試訳:クリーチャーのすすり泣きは、いまや耳障りな音になっていた。



ハートスペードダイヤクラブ


ガラガラつながり。


P,292 カチカチという金属音やガラガラという鎖の音がした。


ここもガラガラ。鎖って、じゃらじゃらとかでは?と思って原書を見直したら、


UK版P.167 then metallic clicks and grinding of chain.


粉や豆をひくgrindではありませんか。ぎしぎしとかきしる音ですな。

でも間違いないけど、玄関はチェーンでもいけるんではなかろうか。


試訳:カチカチという金属音とチェーンのきしむ音がした。


ぶーぶー


ちょっとさかのぼったりした。3人が家に入った時はこんな感じ。


P.245 カチッカチッと金属音が何度か続き、カチャカチャ言う鎖の音が聞こえて、ドアが

ギーッと開いた。


UK版P.141 They heard a series of metallic clicks and clatter of a chain. then

the door swung open.


カチャカチャ言うってまた乱暴な。swung open ギーッとよりもさっとって感じ。


試訳:カチカチと金属音が続き、チェーンがカチャカチャと音を立てるのが聞こえて、

ドアがぱっと開いた。



ハートスペードダイヤクラブ


P.317 マンダンガスは、狂ったように目をぎょろつかせて階段へとダッシュしていったが、

ロンがタックルを噛まし、グシャッと鈍い音を立てて石の床に倒れた。


ひどい文章だな。


UK版P.180 Wild-eyed, Mundungus dived for the stairs: Ron rugby-tackled him

and Mundungus hit the stone floor with a muffled crunch.


試訳:マンダンガスは狂ったような目つきで階段へと突進したが、ロンが(ラグビーの

ように)タックルしたので、鈍い音を立てて石の床に倒れた。



ハートスペードダイヤクラブ


P.320 パタパタという足音がして、銅製の何かがピカリと光ったかと思うと、グワーンと

いう響きと痛そうな悲鳴が聞こえた。


マンダンガスが出てきてから、やたら擬音&擬態語が出てきます。


UK版P.181 There was the sound of patting feet, a blaze of shining copper,

an echoing clang and a shriek of agony;


試訳:パタパタという足音がして、銅製の何かが光ったかと思うと、ガーンという音が鳴り

響き、断末魔の叫びが聞こえた。