P.127 金色のパピルスの模様


UK版P.78 which was patterned with golden bulrushes.


bulrush は英和辞典では、フトイ、ホタルイ、ガマと出てくる。ネットで検索を繰り返したら、

図鑑の「沼地に生える植物で、カヤツリグサ科ホタルイ属の総称。パピルスもこの中に含ま

れる。」という表記にあたったので、パピルスと訳されても許容範囲かと思った。


ところが!よくよく調べてみると、イギリスで bulrush と言えば、やはり日本でいうガマのよう

な植物だそうだ。近くの湿地や湖、池のような所でいくらでも見られる身近なもので、イギリス

人が bulrush と聞けば、あのフランクフルトのような茶色い花のついたガマを想像する。


そんなイギリス人になじみ深い植物を使って、わざわざ papyrus を表すような書き方を

するだろうか。もし本当にパピルスなら最初から papyrus と書くのでは・・・。


なぜ、この bulrush をパピルスと訳してしまったのか?実は英和辞典には「パピルス」

書かれている。しかも、(聖書の)パピルス」と書かれているはず。


これは、旧約聖書に由来する。モーゼが幼子の頃、虐殺から救うため籠に入れられナイル

河に流された。その籠が bulrush 製だったと伝えられているから。水辺に生える葦やガマの

ような植物を総称的に bulrush と呼んでいるわけで、エジプトではそれが「パピルス」にあたる。

だから、辞書などにも(聖書の)パピルス」と載っているのだが、これは旧約聖書限定の訳

と言えるだろう。


辞書に載っているから、そのままあてはめていいわけではなく、物語の内容、設定などに

合った言葉で訳さなくてはいけないのでは?たかが靴下の模様だけど。


試しにイギリス人の友人に bulrushpapyrus と訳してもいいのか?と聞いたら、

「何言っちゃってんの?」的なリアクションをされた。見た目からして違うって(笑) 

やっぱり別モノなんですな。


この bulrush の模様が入っている靴下とは、クイディッチのパドルミア・ユナイテッドの

靴下である。しかも、見てすぐそれと分かるということは、チームのシンボルなんでしょうね。


bulrushes 複数形になってるし patterned なので、小さなガマの穂が模様として散ら

ばっている(あるいは並んでいる)靴下なのではないだろうか。サッカーのマンチェスター・

ユナイテッドにも、赤い悪魔が模様になったグッズがある!!


しかも、チーム名 Puddlemere(パドルミア) は puddle (水たまり)と mere (湖)。日本人にも

人気の高いイギリスの湖水地方にも Windermere (ウィンダミア)をはじめ、多くの mere とつく

湖や地名がある。


もしかしたら、このクイディッチ・チームは、湖水地方あたりをホームタウンとしているのでは?

そんなチームのシンボルだとしたら、やはりイギリス人になじみ深い植物ではないだろうか。


試訳:金色のガマの穂の模様が入った、金色のガマの穂を散らした柄、

    金色のガマの穂が模様として描かれた