東海地方の方にはショッキングなお知らせがあります。「ドベ」は方言です。大分でも同じ使い方をするそうですが、基本的には全国では意味が通じません。
先日、愛妻が東京から来た照明家さんたちと話をしていて「ドベ」が通じなくてびっくりしたそうです。
「ドベってどういう意味ですか?」
と聞かれたので、
「最後って意味です」
と説明したそうです。
誰だって、新しく覚えた言葉はすぐ使いたいですよね。早速、東京の照明家さんたちは使い始めました。
「このシーンのドベの照明をください」
愛妻たち地元照明家たちは首をかしげました。ドベはそういう使い方はしないのです。
厳密にはドベは最後という意味ではありません。映画のラストシーンはドベシーンではありません。ファイナルアンサーはドベアンサーではありません。結びの一番はドベの一番ではありません。公演の楽日はドベ日ではありません。トリを務める真打の落語家はドベ落語家ではありません。アンカーはドベランナーではありません。大みそかはドベ日ではありません。最後の晩餐はドベの晩餐ではありません。最後の審判はドベの審判ではありません。
競争、競技など、順位を争うシチュエーションで最下位になることをドベといいます。関東の言葉で言えばビリです。今季の中日ドラゴンズはドベでビリです。中日ドベゴンズです。でも、来期は「アレ」します。
その東京の照明家たちはドベの意味を勘違いしたまま東京へ帰ってしまいました。今頃、東京でドベの間違った使い方が広まっているかもしれません。
方言というのはこういうふうに伝わるのかもしれません。数年後、その間違ったドベが標準語として採用されるかもしれませんよ。
イラスト by freehand