前々回、前回と音読・黙読について書きました。
今回のテーマは「素読(そどく)」です。
素読という言葉を聞いたことが無い方もいらっしゃるかもしれません。
素読-意味の解釈を加えず、文字を声に出して読み上げること
音読が文章の意味を理解して読み上げるのに対し、素読は文章の意味を理解しません。
そんなことに意味はあるのかと思うかもしれません。
しかし江戸時代の寺子屋や藩校で行われ、明治時代の文豪や政治家など歴史の偉人達も行っていました。
・湯川秀樹(日本人最年少で文化勲章受賞、日本人初のノーベル賞受賞者)
私はこのころの漢籍の素読を、決してむだだとは思っていない。子供の頭脳の負担を軽くするためには、たしかに有効であり、必要でもあろう。
・谷崎潤一郎(日本近代文学を代表する小説家の一人、文化功労者)
毎日毎日同じ音色を繰り返し聞くために、音に対する感覚が知らず識らず鋭敏になる。
今回はそんな素読がもたらす効果について紹介します。
1.文章に強くなる
湯川秀樹氏は「子供の時に漢籍(漢文)に慣れ親しんだために、大人になって漢字の多い文章にあたっても抵抗がなかった。その後の読書を容易にしてくれた」と書いてます。
成績を上げるためには、文章の読解力が必要です。
しかし、読解力以前に文章を読むのが苦手、文章を見るのも嫌だという人が多いです。
社会人でも問題ですが、受験生にとってこのことは致命的です。
試験本番だけでなく、日々の勉強にも悪影響です。
まずは文章に対する苦手意識の克服が最重要です。
2.文章感覚が身につく
谷崎潤一郎氏は「名文を暗誦するくらい繰り返し読むと、文章感覚が磨かれる」と書いてます。
素読をすることで良い文章と悪い文章の区別ができ、文章のリズムや響きを文章内容の味わいと共に楽しむことが出来ます。
特に小学校、中学校、高校では文章を書く機会が非常に多いです。
日々の授業日誌、読書感想文、作文は内申にも影響します。
ま
た受験でも、○○字以内で書く、文章の意味を書く、本文の要約、小論文など、文章を書くということは合否に関係します。
社会人も例外ではないでしょう。
書く力をつけるにも素読は有効です。
3.勉強の初期の暗記に役立つ
どの分野、科目、資格にもとにかくこれだけは確実に覚えなければならないというものが存在します。
勉強を始めたばかりの頃は、知らない用語ばかりで、学習したことの数%しか頭に入りません。
いきなり全てを理解することなど出来ないのです。
それなのに全てを理解できないことに苦しみ、自分には才能が無いなどと感じ、勉強をストップしてしまったり勉強のペース下げてしまうことが、学び始めに多いです。
これでは、余計に理解できない→さらに勉強しなくなるという悪循環に陥ってしまいます。
特に勉強の最初の時期は、そういうものだと割り切って、覚えられるまで粘る根気が必要になってきます。
素読は確実にその助けになります。
それでは素読の活用法を紹介します。
・現代文(国語)
漢字、慣用句を文章で素読する
漢字は文章によって変化します(治める、収める、納める、修めるなど)。
文章で覚えなければ意味がありません。
また慣用句も文章の中に意味があります。
実際の用法を知ることで身につけられます。
・古文、漢文
重要文法、単語、句型を文章で素読する
文法だけを学ぶよりも、実際の文章に慣れる方が良いです。
古文・漢文は文章が現代の日本語と異なるので、敬遠されがちです。
しかし、覚えなければならないことは英語に比べれば非常に少ないです。
まずは文章の独特のリズムに慣れることが必要です。
よく古文の先生が百人一首を覚えると良いと言いますが、百人一首を素読しても良いでしょう。
また、古文・漢文は素読に非常に適しています。
独特のリズムが奏でる響きには深い味わいがあります。
勉強と考えなくても、趣味としても楽しめ、教養を身につけることにも繋がります。
・数学、物理、化学(算数、理科)
公式を素読する
とにかく公式を知らなければ、話になりません。
これらの教科が苦手な人には、そもそも公式を覚えていない人もいます。
センスだとかテクニックとか言う前に、まず公式を素読しましょう。
意味が分からなくても、とにかく素読です。
証明を理解して、覚えようという人もいますが私は反対です。
意味など後から理解できます。
まず覚えることが大事なのです。
・世界史、日本史(歴史)
戦争、条約、年号、歴代天皇・将軍の名前、中国王朝などを素読する
歴史はとにかく暗記です。
好きなアニメ、小説、ドラマなどで思い入れのあるところから始めても良いですが、必ずどこかで暗記が必要な部分が出てきます。
その時は、素読で暗記に徹しましょう。
また歴史は流れが重要です。
○○時代、○○文明とバラバラに覚えたことを繋げる必要があります。
理解よりも暗記の方が早い場合もあります。
特に歴代の天皇・将軍などは素読という方法をとった方が良いでしょう。
・地理
国名、都道府県、県庁所在地、気候を素読する
地理は自分の覚えているデータから問題を解くというセンスが要ります。
ただ、センス以前にデータを知らなければなりません。
地理が苦手な人は、センスよりもデータ不足の人の方が多いでしょう。
・倫理、政治経済、現代社会(公民)
重要用語を意味とともに素読する
公民も理解よりも暗記が必要な部分はあります。
用語を知る、馴染み無い用語に慣れることから始めましょう。
意味とともに素読するとは、「○○とは~ということだ」という文章で素読するということです。
ちょうど一問一答の逆のような感じでしょうか。
・英語
英単語、英熟語、文法を文章で素読する
英単語だけ、英熟語だけ、文法だけを覚えるのではなく、文章で覚えましょう。
漢字、慣用句と同じように文章のなかに意味があります。
また英作文の場合、一から完璧な英文を書く事は不可能です。
どうしても日本語の考え方が入ってきてしまいます。
「足を運ぶ」を「carry legs」なんて書いたって意味不明です(正しくはgo、come)。
これは英作文にも当てはまります。
まずは正しい英文を素読しましょう。
正しい英文の一部を変化させるという、英借文をすることでミスを回避出来ます。
・法律資格、資格の法律分野
条文を素読する
条文を素読することで、勉強や学習の理解が深まるだけでなく、記述問題にも強くなります。
ただ民法、憲法、行政法、商法といった比較的短い法律が素読に向いていて、会社法、手形法、刑法、訴訟法は素読には向いていないそうです。
今回は音読、黙読につづく第三の武器として素読を紹介しました。
歴史の偉人たちが行っていたと聞くと、少しは励みになるかと思います。
注意して欲しいことは、あくまで素読はサブとして使うべきだということです。
メインは問題を解くことにあります。
素読は最初のとっかかりを作るということに意味があります。
苦痛を感じたり、退屈に思えたりするかもしれません。
しかし最初の壁を乗り越えることで、勉強の成績は確実に上がります。
むしろこの困難を先延ばしにする方が危険です。
先延ばしにした困難は必ず後で立ちはだかります。
勉強は本当に最初が肝心なのです。
ぜひ素読を活用して、最初の壁を乗り越えて下さい。
以上「素読の効果と活用法」でした。
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