2026年10月上旬、秋晴れの下、上毛電鉄800形電車に乗車した。
上毛電鉄では、2024年から元東京メトロ日比谷線の車両が順次導入されていることは知っていた。なかなか乗車する機会がなく、2年もたって遅ればせながら初めてお目にかかることになった。
上毛電鉄の車庫がある大胡駅で全線フリー乗車券を購入。何度も乗り降りした上毛電鉄もしばらくご無沙汰していた。最後に乗車したのはいつだったか憶えていないが、10年以上は経過している。
新車と遜色ない
11時過ぎ、西桐生行きが到着。

いきなり、東京メトロ日比谷線カラーがやってきた。上毛電鉄といえば、700形(元京王井の頭線)の顔しか思い浮かばないのでかなり違和感がある。

都会を走っていた元日比谷線の電車がわずか2両に縮小され、田舎で余生を過ごすようにも見えて、別の意味でもおもしろい。

800形は大胡を出発。滑らかに走り出した。平日の昼なので車内はガラガラ。慣れ親しんだ700形の車内より明るい。走行中も静かだ。鉄道車両に詳しくなければ、新型車両と勘違いしそうだ。

800形は赤城南麓ののどかな風景の中を走り、粕川に到着。
粕川では従来の700形と交換。

約30分で、終点西桐生に到着。実に快適だった。
奮闘する700形
800形は数分後に中央前橋行きとして折り返し発車するが、従来の700形と乗り比べるため、1本遅らせることにした。

久しぶりに乗車する700形。慣れ親しんだ車両には懐かしいという言葉しか思い浮かばない。
以前と異なるのは車両側面に派手な広告を載せていることだ。個人的には美観を損ねると思うが、広告収入も地方私鉄には貴重な収入源だと思えば、あまり文句は言えない。

先ほどの800形の車内と700形の車内を比較するとずいぶん印象が異なる。座席の形状、座り心地、開閉できる窓、そして空調も大きく異なる。この日は最高気温が25℃を超え冷房が入っていたが、800形の静かな空調と比べると700形は騒音が大きい。

膳という無人駅で下車。
次の粕川まで線路沿いに道路がある。この辺りでは赤城山を背景に列車を何度も撮影したのでよく知っている。しかし、10年以上も経過すると建物が増え、撮影不可能になった場所もある。10年という歳月の流れを感じる。

粕川から再び800形に乗車。授業が早く終わったのか、帰宅する高校生たちで座席は半分くらい埋まっていた。また、自転車をそのまま車内に持ち込む乗客もちらほら見かける。上毛電鉄ならではの光景だ。

13時半過ぎ、終点中央前橋着。
新旧の車両が並ぶ光景もなかなか見ごたえがある。
変わるものと変らないもの
このように800形に初めて乗車し、上毛電鉄の変化を見たわけだが、久しぶりに上毛電鉄を訪ねても変わらないものも至るところにあった。

まず、西桐生駅の古い駅舎。駅前の路面がきれいに整備され、以前より見栄えが良くなった。

粕川駅近くの木製の柵。

地方私鉄によく見られる鉄製の架線柱。

そして、中央前橋駅と広瀬川。
「水と緑と詩のまち」と言われる前橋らしい風情と、地方私鉄のわびしさ。個人的には、上毛電鉄で指折りの沿線風景だと思う。
今後、800形がさらに増備されれば、700形も引退するだろう。あと何回700形に乗れるだろうか。