2021年12月17日に起きた「北新地クリニック放火殺人」を覚えていますか?
私は出張先でランチにうなぎを食べている最中、あのニュースがテレビから流れてきて衝撃を受けました。
なぜそんなに衝撃を受けたのか。
梅田という身近な場所で起きた事件だから。
方法が無敵すぎたから。
色々あるんですが、シンプルに「この病院に通院したことがあるから」なのです。
被害にあった病院は
西梅田こころとからだのクリニック
という名前の、いわゆる診療内科です。
事件の2年ほど前。私は大変メンタルを病んでいました。
のどのつかえを感じたり、諸々、鬱の初期症状的な状態です。
退職したいと申し出てもうやむやにされるし、
ここはもう、メンタル系の診断書を提出して強引にやめるしかないのでは?
※法的に、メンタル系診断書を出してきた社員は直ちに休職させなくてはなりません。
という気持ちも有り。話を聞いてほしいという気持ちも有り。
もしかして何か良い薬がもらえるのではないかという気持ちも有り。
メンタルクリニックの受診を心決めたのです。
ただ、すぐに診察してもらえるメンタルクリニックって少ないんです。
私が住んでいるのは都会の田舎。
市内にあるわずかなメンタルクリニックは完全予約制で、予約は結構先まで埋まっているような状況。周りの市も大体そんな感じです。
通える範囲にあって、仕事帰りに寄れる時間まで空いている。
その条件にヒットしたのがこちらのクリニックでした。
おそるおそる行ってみると、狭いながらも綺麗なホワイト系のインテリアで整えてあって素敵な空間でした。記憶の中ではちょっとラグジュアリーなネイルサロンみたいな内装。
受付のスタッフ、看護師さんも優しくて穏やか。
そして何より先生が優しくて穏やか。
診察室に入るなりぽろぽろと涙を流す私に、箱ティッシュを差し出して「うんうん。それは辛いね」と話を聞いてくれました。
抗うつ系のお薬を何種類か処方してくださったのですが、私の中で「これを飲んだらもう最後」という謎の気持ちがあり「つらくなったらこの薬がある!飲まずにもう少し頑張ってみよう」というお守りとして持ち歩いていました。
※この考え方は正解ではないと思いますが、当時の自分はそういう気持ちだったという話です。もし同じ様な状況の方が読んでおられたら、処方薬を飲むのが正解な場合も多いので私の経験談などは無視してください…!
お守りの薬を手に、少しづつ頑張ってみた結果
いつの間にかメンタルがめちゃくちゃ強化され、強メンタルで諸々に挑むことで何やらうまく回り始め、2度目の通院をすることなく現在に至るわけです。
あの時、この病院に行っていなければあのまま悪化していた可能性も高く、
自分の「今、一回病院で話聞いてもらおう」という判断は大正解だと思います。
そんな恩人の院長とその病院があんなことに。
っていうか、私みたいなにわか1回こっきり患者はまだしも、がっつり先生に頼ってる患者さんは本当に本当に支えを失った気持ちやん…。
しかももし私が行った日にこの事件が起きてたら確実に終わってたよね。
(報道にあったとおり、逃げるのは難しい構造でした)
いろんな気持ちが一気に交錯して、大きな衝撃となったのでした。
病院のジャンルがジャンルだけに
まわりの人に「私この病院にお世話になったからショックやねん」と大っぴらに言うこともできませんし、ここでその思いを皆様にお話させていただきました。
私はこの病院や先生のことを忘れないよう
これからも診察券を大切に保管し続けるつもりです。
犠牲になられた皆様のご冥福をお祈り申し上げます。