今年のドラフト会議でソフトバンクが育成1位で指名した、古川遼投手(日本学園高)が入団を拒否した事が分かった。
一応、2軍施設も訪問し、首脳陣からの説明も受けた上で、入団を辞退する事を決めた。
やはり「育成指名」という事の悔しさがどうしても受け入れがたく、これから大学に進学した上で、4年後に「支配下ドラフト指名される選手になりたい」という事のようだ。
気持ちは大変分かる。
今シーズン終了後、育成契約から晴れて支配下になり1軍の試合にも出場、そして2軍で活躍した、仲田慶介内野手(25歳)、三浦瑞樹投手(25歳)が相次いで戦力外となり、再び育成契約「降格」を打診された。
いずれも2軍での成績は考慮されず、ただ「支配下選手の枠の問題」という事になるのだろうが、ソフトバンクの場合、結局育成選手はどんなに頑張って支配下を勝ち取っても、枠の問題でまた育成に戻される可能性が高い、という事になる。
そんなチームに夢なんてないよね。
いくら「入ってからの競争だ」と言われても、入団時が支配下か育成かで、1軍へ上がる事の厳しさが格段に違う。
「やっぱり育成選手はなぁ…」と思う古川投手の気持ちは分かる。
仲田選手は西武に、三浦投手は中日に、それぞれ育成契約として入団する事になった。
どうせ常に枠数に余裕のないソフトバンクに入ったって、弾かれるのがオチだ。
早めに別の進路を選んだ方がいい。
育成選手を枠の問題で、その伸びる芽を摘んでしまうおそれがあるのなら、何のための育成制度なのか。
支配下選手に70名の枠がなければまだ分かるが、その枠に限りがあるのに、3軍だ4軍だって作って、全員が全員育ちまくったらどうするんだよ。
リチャードがなかなか1軍で使ってもらえない現状から、契約更改の場でトレードを志願して、物議をかもし出しているようだ。
日本ハムに行った水谷瞬あたりが、じっくり育てられているのを見て、あせったのだろう。
「リチャードには十分チャンスを与えたが、それをモノに出来なかった彼が悪い」という声もあるが、水谷などは日本ハムに行った際、打撃を重視するため守備に目をつぶって試合に出し、その成長を促すなど我慢の起用を行った。
選手には少ないチャンスをモノにできる人もいれば、大器晩成もいる。
巨人の岡本だって、髙橋由伸監督(当時)が我慢して使い続けたから、今の成績があると思う。
田中正義も大竹耕太郎も、ソフトバンクの所属ままだったら、少ないチャンスの中で結果を迫られ、今のような成績はあげられなかったのではないか。
ソフトバンクの育成1位を拒否した古川投手は、仮に4年後ドラフト指名されなくても悔いはないそうだ。
だったら彼の決断に誰も異論はないだろう。
もし4年後にまたプロ志望届を出す事ができた時は、堂々と「育成拒否」と言えばいい。
誰がどう考えても1年に育成選手13人というのはノーチャンスだと思うよ。
ソフトバンク側にしてみたら、「他球団なら指名すらされない選手をプロ野球選手にしてやって、豪華なファーム施設を使わせてやるんだから文句言うなよ」って事なんだろうな。
仲田や三浦なんかは絶対に「よし、来年こそ」と思っただろう。
それが「ハイ、育成に戻って下さい」って、まぁやりがい搾取の、ブラック企業の世界だな。
どんなに穏やかな選手でもキレまっせ。
中途半端に育てて3年後に捨てるんだったら、最初から指名せずに、支配下指名レベルに育つまでアマチュアに任せろ、と思うのは管理人だけだろうか。
仲田、三浦両名が早く支配下登録を勝ち取り、1軍でバリバリ活躍する事を祈っている。