Nさんという奥さんのお話です。
ある日のある病院でのICUでのことです。
重苦しい雰囲気が漂っています。
ご老人の容態は、予断を許せない状態で、奥さんであるNさんもハラハラしながら見守っていました。
お医者様方は、あわただしく動いていました。
脈拍、血圧共に下降していきました。
緊張感がICU全体に広がっていきました。
呆然と立っているNさんに先生は、一言告げました。
「残念でした。ご臨終です」
Nさんは、ご主人の体を揺らさんばかりにしがみつき、
「あんた~。死んじゃぁいけん!!」
「おやしきり、おやしきり、おやしきり…」(おやしきりは、PLの祈り言葉)
先生方も看護師さんたちも何が始まったのかとただ、じって眺めているだけでした。
先生もしばらくして、我にかえられたのか、
「奥さん、しっかりしてください。あなたが、喪主をするのですから、気持ちをしっかり持たないと!!」
それでも、Nさんは、祈り続けました。
しばらく、したとき、周りにいたどなたかの興奮した声が聞こえました。
「あっ、戻ってきた!!」
奇跡だったのか、なんだったのかよくわかりませんが、確かに生き返ったのでした。
あの日から、ご夫妻は、平和で穏やかな日々を病院で過ごされました。たぶん、今までの人生の中で一番充実したときだったと思います。
亡くなった後の話もできました。
そして、一年後、ご主人は、90歳を越える人生を静かに眠るが如く終えました。
あのときのあの出来事は、一体なんだったんだろうと思います。
Nさんの祈りが神に届いたのか、
偶然の産物だったのか
しかし、一つ言えることがあるとすれば、人の命は、神の領域であること。
人の力でどうこうできるものではありません。
Nさんご夫妻の人生を眺めていますと、最後の一年を考えると、あの一年があったからこそよかったと思えるのです。
あのまま終わっていたら、お互い思いを残したままの人生になったのではないかと思います。
そのような意味では、まさに、神の恵みだったのでしょう。
こんなターニングポイントもあるのだと改めて感じたわけです。