ブルーハーツというバンドの
『青空』という曲を歌うのです
ふとした時に
口ずさむのです






公民権運動のきっかけにもなったバス事件、その時のアフリカ系アメリカ人が覚えた絶望的な気持ちと
現代社会に生きる10代の若者が覚える息苦しい社会、焦燥感、憤り
それらが青い空で繋がるのです





虚しく哀しく情けない自分も
その青い空を眺めながら
その想いと繋がろうとするのです



学生の頃
被差別部落の問題について
先生から教わった
学校ではなかなか教われないことも
先生の自宅に伺って質問したら
丁寧に説明してくれた

しかし本当にわからなかった

それで差別される理由が
わからなかったのだ

穢れという概念がわからなかった

大分の片田舎に住む少年は頭を抱えた
そしてひどく憤った

スティービー・ワンダーのレコードを
聴きながら差別について考え出した





人生の中で
誰からも愛される人が
博愛を絵に描いたような人が
人種差別主義だった
ということがあった
全く思ってもなかった
側面だった

その人にはその人なりの
正義があるようだ
そう教わってきたからだと言った

やっぱりそれは
おかしいことじゃないかと
思った
でもわからなかった
だってその人の目はとても綺麗で
一点のくもりもないのだ

にわかに信じがたかった

でも時間が経つにつれて
ものすごい数の差別が
社会にはあるんだと
気づいた

楽屋で中国の人や韓国の人の
悪口をずっと言ってる先輩がいた

この人もきっと悪気がないんだろう
自分が間違ってるなんて素振りは
全く見せないもの

この人が例えば
めちゃくちゃ美味しい中華料理や
韓国料理を食べるだけでも
少し変わるんだろうか

だってきっとあんな悪口を言うってことは
触れたことがないからじゃなかろうか

いや待てよ
自分だって
わかったふりをしてるけど
そんな理解できてるのか
どんな歴史があったのだ

知りたい
知らなければいけない

想像をしなければ行けない

自分だって差別を無意識に
やっているときが
あるんではないか
知らない間に
加担しているのではないか

差別の問題は根深く
複雑でまるで当たり前の
ようにあることのような気がしてきた

だから考えた

そういうものだと
受け入れるのだけはごめんだと
やっぱり最初に思った
違和感を持って
事実を調べて少しずつ
修正していくしかないのだと

何でもかんでも知ってるわけではない
だから思い込んだり
決めつけたりするのをやめよう

想像していけよ

いったいどんな気持ちだったのか
どんな歴史があったのか

Netflixで
『憲法修正13条』





『リマスター:サム・クック』







を観た

思っていたことが
どんどん繋がっていく

なぜ自分が14歳のとき
スティービー・ワンダーの
レコードを聴きまくっていたのか

アフリカ系アメリカ人の歴史にまつわる
映画を好んで観ていたのか

あの時こんなことがあって
自分が思春期の頃に好きだったものと
繋がっていくこと

ボブ・ディランをはじめて聴いて
なんだかよくわからないという気持ちと
なぜこんなにこの人が重大な人なのか
もっと知りたいという気持ちがあったからか
繰り返し繰り返し
アルバムを聴いたこと

1985年にやっとこさ
リリースされた
サムクックのハーレムスクエアのライブ盤を部屋で爆音で聴きながら
知らず知らずに涙がポロポロ溢れてきた夜のこと





『コブラ会』の
というより
『ベストキッド』のラルフ・マッチオが
ギタリスト役として主演した
『クロスロード』という映画を
あの小さな町の小さな映画館で観た日のこと
ロバート・ジョンソンのこと
ブルースのこと
ロックンロールのこと





なんだよ
全て差別と関連してる

必ず関係してる

アメリカの歴史
日本の歴史
世界の歴史

もっと知りたい
もっと想像したい

そして自分の中で答えを探したい
なぜ
ビートルズがあの時出てきた?

なぜマイケル・ジャクソンが出てきた?

あの時
わからなかった
理解できなかったものに
近づきたい

想像し続けるのだ

なぜ差別は終わらないのか
それが人間なんだと諦めない

抗いたい
抗うべきなんだと思う




なぜなら
この青い空の下
人は平等であるべきだと
声を上げた人がいる
拳を振り上げて来た人がいる




歴史は僕に問い詰めるのだろう
青い空の真下で


か?