私の故郷は、島根県の県境、中国山脈の真ん中に位置している。

スキー場があり、温泉があり、キャンプ場も何か所かある。

山の中に別荘地もあり、開発業者は「西の軽井沢」などとうたっている。

 

しかし、土地の人間は、冬は寒いし(冬は冷夏10度くらいになる)、夏は涼しくて良いが虫は多いし、熊やイノシシも出てくるし「よう、あんなところに住むのぉ。」等と言っている。

 

要するに山奥の田舎である。

およそ、日本にいる、野生の動物は何でもいる。(最も羆はいないので本州の動物は、と言うべきか)。

 

田舎では日が落ち、黄昏時からは獣の世界になる。

 

車の下から、いきなり狸が這い出したりする。

 

寝ていると、天井裏を何者かが走る(ネズミのような小動物ではない)。

下の倉庫の戸を開けるような音がする。(気味悪いのである)

 

物干し台を駆け回る音がするので、堪りかねて「こらぁ~!」と怒鳴ると、

「ギャア-」と劈くような声で鳴いて、パタッと静かになった。

野良猫か、狐か、物の怪か?

また、夜は色んな怪しい物音がする。

 

熊や、イノシシも徘徊するので、夜は決して外には出ない。

 

川のせせらぎの音は心地よく。

山の端にのぼる月は、煌々と冴えわたり、夢幻のような夜景だが、

獣達が跳梁する世界でもある。

 

人間たちは分をわきまえて、大人しくしていなければならない。