7月12,13日と
中体連(中学校の体育クラブ最後の大会)の
テニスの試合がありました。
私も中、高とテニス部に所属し
『エースをねらえ』(昔のテニスのスポ根アニメです
)級の
テニス命っ子でした。
どういうわけか
我が家の子ども達3人とも
中学に入って選んだクラブがテニス部。
長男も
私の青春時代のように
テニス大好き少年で
亡くなる2週間前に
初めてのテニスデビューの新人戦が
あったんです。
団体戦は3位
個人戦は散々でした。
団体戦は2位までが県大会に出場ということで
惜しくも、県大会出場できず
帰りの車の中で
ものすごく悔しがりました。
その時、私は…
「あなたのテニス人生は始まったばかり。
その悔しさを練習に活かして
次の大会、頑張ろう!」と励ましました。
でも…
長男には次の大会に永遠に出ることは
なかったのです。
あれから7年8ヵ月。
ちょうど
長男の月命日の日に
次男の最後のテニスの試合が始まりました。
次男は
試合に行く前に
「お兄ちゃんの出られなかった試合に
お兄ちゃんも連れて行く」と言って
長男の形見のラケットも持っていきました。
普段
そんな想いを一切口にしない次男。
その言葉に
朝から涙、涙でした。
12日の団体戦は
惜しくも4位。
賞状はいただけましたが
県大会出場はできませんでした。
団体戦が終わって
賞状を持ってみんなで
記念写真を撮っていると
まるで
7年8ヵ月前の
あの時のようで…
また涙が溢れました。
たまたま
通りかかった
私の高校のテニス部の顧問の先生が
次男の試合観戦をしてくださっていて
「長男のテニスをしている姿を見た時も
思ったけど、次男のテニスしている姿も、お前とほんまそっくりやな。
それに長男ともほんまに顔や姿、歩き方まで
そっくりやな…」と声をかけてくれました。
長男と次男。
不思議なぐらいよく似ているんです。
2人とも
テニスのことが本当に大好きで
毎日のように
テニスの話ばかり…
歩き方、走り方
しゃべり方、字の書き方…
本当によく似ている。
でも、知らなかったなぁ。
私のテニスをしていた姿と
長男と次男のテニスしている姿も
よく似ているんだ…
繋がってるんだな…と思えて、さらに涙…。
13日(日)
いよいよ、最後の個人戦。
これも偶然(いや必然!?)
だんな様が別の中学校の教師をしていて
テニス部顧問を引き受けなければならなくて
必然的に同じ大会に出ることに…。
なので、父子で大会に出発しました。
私は、家の用事を済ませて
開会式までに行こう…と思っていると
突然、だんな様から電話が…。
試合前の朝の練習中
後輩のラケットと次男のラケットがぶつかって
次男のラケットが折れてしまったから
すぐ来てやってくれ、と。
最後の最後になんていうハプニング!
急いで会場に駆けつけた。
なんとか試合までにラケットを調達しなければ…
私を待っていた次男は
ものすごい落ち込みようで
「なんで、こんなことになるんや!」
「あいつが、急に飛び出して来たんや!」
「くそ~!!」
もうマイナスのスパイラルに入り込んで
しまっていた。
時間がないので
とにかく行きつけのスポーツ店へ走った。
でも
運の悪いことに
ラケットのガット(テニス用の糸)を張ってくれる
プロの息子さんが休みで
おじさんだけしかいなかった。
事情を話したら
奈良に遊びに行っている息子さんにも
電話をかけてくれたり
最善を尽くしてくれ
次男のラケットの感触に似た感じの
ガットをすでに張ってあるラケットを
必死に探してくれ
1本見つけてくれた。
次男もそのラケットを持って
「なんとかこれならいける」と言ったら
おじさんが
「そのラケット、貸してあげる。
傷つけても、どうなっても構わん。
思いっきり、ラケットを振ってこい!」と言って
くださった。
何度もお礼を言って
急いで
店外へ出た。
すると…
な、なんと雨が強く降っていた。
天気予報では
午前中に雨の降る確率はとても低かったのに
雨が降っていた。
だんな様に確認をとると
強い雨のため
今、試合中断しているとのこと。
これで
間違いなく、試合に間に合う!
予想外のこの雨…
絶対、長男が降らせてくれた雨だ!
弟のことを想って
兄として
精一杯のことをしてくれたんだ。
試合会場に戻る車中。
私は精一杯の想いを込めて
次男に話しかけた。
あなたは、本当に今日は
ラッキーマンだということを。
ラケットが折れるのが、試合中だったら
自分に合うラケットを用意する時間もなかった。
朝で、よかった。
あなたは、ラッキー。
折れたのが、ラケットでよかった。
骨が折れていたら、交換というわけには
いかなかった。
試合ができる
あなたはラッキー。
ガットを張る人がいなかったのに
なんとか
あなたに合うラケットが見つかった。
あなたはラッキー。
雨が降ってくれたおかげで
試合に間に合うことができた。
あなたはラッキー。
今日は、あなたは
本当に最高のラッキーマンやわ。
この幸運を活かすか活かさないかは
あなた次第。
それと、みんなの想いがこもって
今、ここにあなたがいるってことを…
母ちゃんは伝えたい。
父ちゃんが、あなたを想い
急いで母ちゃんに連絡をくれた。
だから、母ちゃんは
家の用事もほったらかして
あなたを想い、急いであなたの元へ来た。
そして、家にいたお姉ちゃんは
あなたを想い
自分の思い出のつまったラケットを
もしよかったら、あなたに渡してと
母ちゃんに渡してくれた。
「家のことは、私がちゃんとするから急いで!」と言って。
あなたを想い
顧問の先生は
開会式には出なくていいから
早くスポーツ店へ行って来い、と
あなたを送り出してくれた。
スポーツ店のおじさんは
あなたのことを想い
必死にあなたに合うラケットを
探し回り
大事なお店のラケットを
あなたのためだけに
貸してくれた。
それも、あなたが気を遣わなくて
いいように
「ラケットは、どうなっても構わない」と言って。
そして…
この雨。
母ちゃんは、お兄ちゃんからの
プレゼントだと思ってる。
「俺がお前にしてやれるのは
こんなことぐらいしかない。
あとは、お前次第や。
最後の大会、悔いのないように
頑張れ!」って。
お兄ちゃんのあなたへの
想いのこもった雨。
さぁ、どうする?
ラケットが折れてしまったという
変わらない事実だけを
マイナスに捉えて
落ち込んだまま試合に出る?
それとも
折れたことは
今さら、どうしようもない。
マイナスに目を向けるのではなく
今日のたくさんのラッキーなことに
目を向け
みんなのあなたへの想いに感謝して
今、できる最善を尽くして
試合に臨む?
過去は変えられないけど
未来と自分は変えられるよ。
次男は
一つ大きな深呼吸をして
「俺、頑張るわ!」
と、言った。
私は
「そう。ラッキーマン、頑張って。
最後のテニスの試合、目一杯、楽しんでおいで」と伝えました。
試合会場に到着すると
雨は上がり
試合は再開されました。
そして
また、次男の試合が終わると
ぽつぽつとまた振り出した雨。
長男に感謝です。
さて、試合の結果は…
ベスト16。
あと1試合、勝てれば県大会…という試合で
負けました。
最後まで
あきらめずに
声を張り上げ
白球を追いかけた次男。
試合に負け
ベンチに戻ってくる時
本当は悔しくって仕方なかっただろうに
満面の笑みで
「楽しかったわ~」と胸を張った。
最高の笑顔だった。
応援していた
誰もが拍手で迎えてくれた。
もちろん
私も大泣きしながら拍手で迎えた。
あなたの
心も体も成長した姿を見られて
本当に嬉しかったよ。
帰り際
次男がつぶやいた。
「俺、高校でもテニスをする。で、今度こそ、県大会に行く!
で、大学へ行って、そこでもテニスをするわ!」
「そして…、お兄ちゃんの夢を叶えるんや」
「そのためにも、今度は勉強も頑張らんとあかんな~」
なんだか
今日1日で、一気に成長したような次男。
母からは一言
「お兄ちゃんの今の夢は
あなたがあなたらしく生きて
自分の夢を叶えてくれることが
お兄ちゃんの夢だと思うよ」
「あなたの夢が叶うように
母ちゃんは、ずっと応援してるからね」
長男とは経験できなかったけど
次男との経験を通して
長男との疑似体験をさせてもらったような
次男の最後のテニスの試合は
最高に感動しました。