ちょうど、私の移植予定の時間ぐらいに、病棟で、妊婦さんの看護師さんを見ました。
あ、この看護師さん、何人目やろ。
結構、産んでるよな。
と、思いながら、横目で大きなお腹を見ていました。
うちの病院、看護師、多産なんですよ。
3人ぐらいは普通で、4人の人もめずらしくありません。
ふと、自分のお腹を見ました。
なんで、大きくならないんだろう。
なんで、この中に、赤ちゃんが入ってこないんだろう。
どういうことだ?
ずっと、ずっと、子供の頃から、自分は、お母さんになると、普通に、普通に、思っていました。
自分が、白髪になるんだろうな。
と、同じぐらい普通に。
それが、普通でなくなっている、今。
なんでやろ。
なんでやろ。
と、考えながら、病院の非常階段をかけ昇りました。
なんでやろ。と、考えても、答えはありません。
女、やよな。私???
女なはずだ。
13才の時から生理も、規則的にずっとあります。
今、私は子供がいないですが幸せです。
たぶん、この先も。
けれど、普通に女性が経験する、子供を産み育てる。ということが、この先もないかもしれない。
そのまま一回しかない一生を終えるのかもしれない。
今まで、意図的に消していた気持ちがふと、出てきました。
いや、こんなことをずっと考えている訳ではありません。たまたま、移植予定日に、妊婦さんを見た。という刺激が、私の母性を刺激しただけです。
今の私は、妹の甥っ子に、自分の母性を注ぐことで、癒されています。
甥っ子は、遠いところにいて、なかなか会えませんが、日々、成長している姿を見て、母親のように、いや、ええとこどりだけして、心のなかで毎日、むぎゅーって抱きしめてます。
そのうち、甥っ子に、「おばはん、うざい」とか言われそうです。
おとつい、移植中止宣言の直後に買った甥っ子の服。
こういう時は、甥っ子の事を考えるのが一番、心落ち着くんです。
甥っ子は、唯一私と血がつながった子供ですから。よけい、母性感じます。
もう少ししたら、送ってあげよ。
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