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アンバーは どうしても歩きたい子で、
急に具合が悪くなった最後の日に
自分で歩くんだと すがるような目で言うので
バッグから そっと下ろしたら
歩けなくなった自分に一瞬びっくり戸惑い、しばらく考えたあと、
やっぱり入ると私を見上げた 
なにか悟ったような その顔が
今も悲しい。


小さい子供のころ、すぐに足が痛くなって「もう歩けないから抱っこ」とお願いしたのに、「がんばりなさい」と母。
それでもどうしても足が痛くて、もう一度お願いしたら、やっと抱き上げてくれた、
頬に当たる母の揺れる肩の安心感を
今でも時折 思い出す。


アン=ロワは小さいわりにスタスタ早足が得意だけど、成長期に怪我をさせてしまって関節が変形しているせいか、途中でカバンに入ると言いだす。
風を受けた耳がたなびいて、高みの見物で景色を楽しむ満足げな顔を見てると、

もうほとんど落ちかけた日の、不透明な景色が、眠りに落ちる寸前の安堵感のようで

終わりのようでいて、また巡ってくる
深く深く吐いた寝入りの息の
心地よさのように…

溶け入るように満たされる