外野席からのバックホーム『新人早川のハーラートップにみえ隠れするプロサイドの指導面での課題』
楽天・早川隆久が5勝をあげ、ハーラートップに立ったとのこと。正直ある程度やれるとは思っていたが、5月中旬で5勝…今後研究もされるだろうし、スタミナの落ちる夏場をどうしのぐかという問題もあるから本当の勝負はこれからにはなる。だが正直ここまでこのペースで勝ち続けていること自体想定外、いや想定以上でもあった。
この早川、私は彼が高校3年時千葉県大会の決勝のマウンドで投げていたのを肉眼で見ている。彼以外にもチェックしたい選手は何人かいたが、私も日程的にそう何試合もみれるものではない。そんな中条件が合致して彼の試合を観戦することになったわけだが、ここまで快進撃を繰り広げてくれると喜びと同時に不思議な縁すら感じる。
まぁそれはさておき、この頃の早川だが…甲子園での実績を含めて高校時代の活躍は十分評価に値する。春の選抜では大阪桐蔭を下しているし、また私が千葉で観戦したときも4連投ということもあり直球の力はそう感じなかったが、当時から直球と大小のスライダーのコンビネーションが絶妙。同点に追いつかれても顔色ひとつ変えないふてぶてしさ…そうしたピッチャーとしての心構えも含めて、ピッチングの組み立てなど、少なくとも数字に表れない部分においては既に完成された感すら存分に漂っていた。果たして連投から解放された夏の大会でも最終的に作新学院・今井に投げ負けてはいたが、それまで2試合連続完封を成し遂げるなど存在感は十分にアピールしていた。
しかし世間では…この大会から彗星のように現れて見事優勝投手に輝いた作新学院・今井を含め、大会前から評判の高かった履正社・寺嶋、横浜・藤平、花咲徳栄・高橋昂也が『ビック4』として注目されていた。そんな中早川は球の威力が彼らほどではなかったからなのかこのビック4の影に隠れたような格好で早大進学を決めてその4年後にプロの世界に入ってきた。だが早大での実績はドラフト1位の称号が雄弁に語っていることで多くを説明する必要もあるまい。そしてプロでのこの活躍だ。
ここで問題となってくるのは、高校時代早川よりも上の位置にランクされていたはずのビッグ4の卒業後だ。彼らはまるで当然のようにプロ入りを果たした。しかしながら「プロの世界は競争が厳しい」「4年もやってればいい時期もあれば悪い時期もある。当然壁に当たることもある」とは言うものの、今井がようやくローテーションに定着してきたくらいで各自一軍で華々しい活躍を繰り広げているとは言えず、あくまで現時点での結果だがこの時点では早川にごぼう抜きにされた感もある。
まぁこんなことは過去にもあったわけで、無名の桜丘高から亜大を経て近鉄でブレイクした阿波野秀幸のケースもあるからこんな下克上みたいなケースは決して珍しくない。実際早川のケース前後でも2015年全国制覇を果たした小笠原慎之介よりも明大を経てプロ入りした同級生の広島森下の方が活躍している現実がある。そのほかにも清宮幸太郎や吉田輝星ら日本ハムの期待の星コンビの伸び悩みはファイターズファンならずとも様々な懸念を呼んでいる。また4年間二軍でも十分なチャンスを与えられずにくすぶってきた人たちと早川や森下のようにアマチュアであっても主力として絶えず場数を積み重ねてきて今がある、といった選手たちとでは選手自身を取り囲む環境の違いについても考慮にいれる必要はある。
だが…最近はことにこうした「高卒プロ入り組」と「大学社会人経由組」との格差が顕著になってきているような感じを受ける。そしてこうなってくると「プロの指導者よ、こんなことでいいのか」といいたくなることが多々出てくるのだ。
これはアマチュアの場合エースでも主軸でも「コイツが軸として頑張ってくれなければ困る」という意識が強い分、その選手をものにするために肉体面はもちろんのこと、気分的、性格的なものに至るまで慎重にならざるを得ないところがあるからそれだけ選手を観察する分指導力が上がる場合も多いというのがある。一方、プロの場合でもそうした傾向はあるが、それはほとんどが一軍のローテーションか中軸で、それ以外は「その他大勢」が競争、競争で勝ち抜く世界であり、それに敗れた選手が「アイツはそこまでだった」「所詮この程度だったんだよ」で終わるケースが多い。プロの環境なんだからその理屈自体間違いではない。だが…もし若手育成が失敗したとして、そんな感覚でごまかすかのような感じで適当な姿勢でいるようならそこは大問題である。ありがちなのが「ヤツの代わりなどいくらでもいるから」「トレードで補えばいいから」といった雰囲気を感じるが、少々こうした風潮が強くないか?そういうのが大いに影響を与えてないか?第一そこに、大事に育てていればとんでもない大物になったかもしれないのに力を出し切らせることができず、大器を無駄に潰してしまった、となったら…どうするのか。誰がどういう責任を取るのか。
(実際…そうしたもったいないケースも枚挙に暇がない)
そうしたことが早川や森下の活躍で「プロの二軍に行くより大学・社会人で主力を張った方が近道だ」の意識をより色ごくしてはいまいか?どうだろう、プロの関係者・指導者よ、あなた方はこれでいいと思うのか?
プロの、特に二軍で若手を預かる指導者は今一度このあたりを再度チェックする必要があるのではないだろうか?そこをもっと考え、見直すいい時期に来ているのではないだろうか?