他国と比較して災害の多い、我が国日本。
そして、毎年のごとく 台風 などで甚大な被害をこうむる地域もあって、その一つが2023年の大雨で第6厚狭川橋梁が崩落し、今なお全線不通となっているのが、山口県を走る 美祢線 というJRの路線なのです。
ただ、同線の一日利用客は366人/日という少なさからもわかるように、完全な 赤字ローカル線 であるため、その復旧に対する費用負担と以降の路線維持を、JR西日本が単独で負うことに難色を示しているようです?
そこで過日、JR西日本と早期復旧を願う地元自治体との会話の場が設けられたようですが、予想通り 平行線のまま進展が無かった と伝えられました。
ぶっちゃけた話し…
何としてでも復旧ありきの自治体に対して、輸送密度が一日でも路線バス10台分にも満たない路線に、何十億円もの資金を投入してでも復旧する価値があるのでしょうか?
一日開けていても、客が一人しか来なくて潰れかけの店の店主に、 「おまえんとこ、赤字が理由で廃業したらあかんぞぉ~、オラァ~!」 と脅しているのと同じ図式とちゃいますか?
元々は人口が少ない地区であったんだけれど、そこから産出される石炭を運ぶために敷設された路線で、以降は 宇部興産が石灰石を運ぶ重要路線 として繁栄を極めた時期も、近年までありました。
ただ、その超お得意様が後に自前で専用道路を建設して トラック輸送に切り替えた 歴史があって、要はその時点で美祢線の存続価値そのものが終焉したと言っても過言では無かったのです。
そらね…
明治、大正から昭和30年代頃まででしたら、人々の移動は鉄道しか無かったんで、好むも好まざるも鉄道に乗らないと仕方なかったんです。
けど、今や地方はおろか大都市部であっても、ほぼ全てが マイカー移動 が当たり前の世の中に変化してしまっているので、同線を利用するのは 免許の無い高校生が主体 であるのなら、国鉄のままならまだしも、民間企業であるJR西日本がそれを全て背負うのも無理とちゃいますの?
そこで、何が何でも反対であれば民意を得られないと判断した自治体側は、 美祢線利用促進プラン を引き下げてその会話に挑んだものの、その中身はいささかお粗末な感じがしました?
毎度毎度の通勤通学定期に補助金を…
観光列車の設定を…
なんて空想論ばかりが並んでいて、最終的には輸送密度1000人以上を目指すと言うものの具体性に乏しいく、そもそも頭の中が チンチラポッポ な連中なんでしょう?
ただ、沿線人口はどんどん減り続けている反面、 打ち上げ花火的なイベント列車 を運行したところで輸送密度のアップには中々貢献しないものの、あえて乾いた雑巾を絞る覚悟があるのなら、寸分の余地があるのかも知れませんね?
すなわち、この路線は他と違って背後に湯本温泉をはじめ、青海島や萩などの観光地が点在しているので、動脈である山陽新幹線を軸とした 観光地へのフィーダー輸送 に特化した場合、わずかですが活路を見出せるのかと…?
ですから、新幹線と接続する 厚狭駅 は、毎時1本のこだま号しか停車しないので、のぞみが停車する新山口駅を起点として各観光地を一本で結ぶ列車があれば、広く京阪神地区からの需要が見込まれるかも知れないのです。
ざっくりとした私案ながら、例えば…
のぞみ3号/東京6:15 → 新大阪 8:41 → 新山口10:33着
新山口11:00発(乗車前駅弁お渡し/予約) → 厚狭 → 長門湯本 → 長門市 → 仙崎(折返し)
仙崎 → 長門市 → 東萩
東萩15:00発 → 長門市 → 長門湯本 →厚狭 → 新山口
※萩観光の後に湯本温泉で宿泊客へのアクセス
あと、車両はイベント列車でも良いんだけれど…
新たに設備投資をしなくても、古いキハ40をそのまま使用して、 ノスタルジックトレイン と称して、低価格で運行すれば良いんじゃないかな?
種別/快速(全車指定/平日キハ40単行、土日は2両)
料金/1BOX売り2000円(2名使用は1人当たり1000円計算)
ロングシートは2名分1人使用500円
アテンダント乗務で沿線案内
予約駅弁/別途1500円程度
ただ、主要目的地でもある萩などへの観光アクセスは、現在マイカーまたは、新山口駅からの「はぎ号」が主たるのが現状なんですね。
他方、年齢別で言うと同地区への観光客は40歳以上が多いことから、どちらかと言うと ゆるりと旅情を楽しみたい層に好まれる地域 (歴史遺産が多い)と分析されていますから、もしかするとのんびり回遊しながら車窓を楽しみたいという層に受けるかも知れないのです。
これを考慮しますと、主なターゲットを遠方からのマイカーでのアクセスに心配のある50歳以上と想定すれば…
京阪神~岡山地区から新幹線とのセットで販売し、通年平均して往復1日平均30人に乗ってもらえるとすれば、定期利用外で 1ヶ月約1000人の輸送増 になるので、誠に微々たる数字ではあるものの、対新幹線のフィーダー輸送としての素地は充分あるように思われます。
国鉄末期ですら、輸送密度2000人以下の路線は大半が廃止されましたから、そう言った意味では美祢線が今も存続していることが奇跡でもある反面、それに胡坐(あぐら)をかいて、己らのメンツだけで 美祢線廃止反対 とか 乗ろうよ美祢線 という掛け声だけでは、ゲームオーバーになって当然なんです。
ですから、沿線自治体も相当お金を撒かないと効果は期待できませんぞよ!
何なら橋梁の復旧費用の大半を自治体で負担し、かつJRに対してもどんどん攻めのプレゼンを行わないと後が無い現状を認識してください。
昔と違って今や猫も杓子もマイカーの利便性にどっぷりと浸かった日々が当たり前なんですら、美祢線を復旧して残して欲しいのなら、不退転の決意で挑まなければ、JR西日本としても首をタテに振らないと思うのです。