昨日、報道各社に公開された阪急京都線に登場予定の 有料指定席車両 プライベー の様子は、在阪地上波で広く報道されました。

 

     

 

     

 

 

 

まあ、わかりやすく言いますと、阪急電車に普通のキップだけで乗ったらコチラにどうぞ…!

 

     

 

けど、あんさんが 追加で500円払うてくれるんやったら コチラに乗れまっせ!と言うことで、単に座れるだけで無くて、車内もずいぶん豪華な雰囲気になっている車両なのです!

 

 

     

 

 

さて今回、毎日放送のリポータで登場したのは道産子の 前田春香アナウンサー でしたが、いわゆる 関西の私鉄 のことをあまり詳しく知らない一般の方にもわかりやすい内容で、老婆心ながら、 なぜ阪急にプライベースが誕生したのか? について、蘊蓄(うんちく)を垂れてみようと思います。

 

※お題のトイレに関しては後術。

 

 

 

◆ 関西は私鉄王国 ◆

 

JRの路線が多い東京圏と比較しますと、大阪を中心とした鉄道輸送はほぼ私鉄で完結してしまうほど、当地では私鉄の路線網が張り巡らされているのです。

 

     

 

ですから、例えば梅田から京都や神戸、はたまた奈良や和歌山に行くとなれば、そもそも 国鉄(JR)に乗る という発想が長らくありませんでしたし(←過去形)、そもそも昭和50年代以降は、国鉄よりも私鉄の方が圧倒的に運賃が安かったんです。

 

加えて、阪急京都線では、特急は十三~大宮間が ノンストップ で、同じく京阪本線も京橋~七条間が ノンストップ でしたしので今よりも所要時間が短く、加えて車両も国鉄より断然綺麗だったことも相まって、誰も国鉄(JR)に乗ろうとしませんでした。

 

昭和50年頃の阪急特急

 

     

 

     

 

京阪特急には車内にテレビが付いていました。

 

     

 

     

 

対する国鉄新快速は使い古しの中古車…

 

     

 

     

 

 

 

◆ JR誕生でジリ貧に… ◆

 

しかし、関西圏の輸送をほぼ独占していた私鉄各社ですが、国鉄が民営化されて 新生JRが誕生 しますと、一気に雲行が怪しくなってきたのです!

 

     

 

すなわち、複々線+高規格な線形を武器にしたJR西日本は、 新快速 に新型車両を投入して更にスピードアップしたのに加え、快速であっても阪急特急よりも速かったこと、そして格安なキップを発売したことによって、京阪神間のシェアは根こそぎJRが持って行ったのです。

 

     

 

そこで、顔面にパンチを喰らって再起不能となった阪急も京阪も、新快速にスピードでは全く勝負にならないのでノンストップ特急を全廃し、今は特急でも途中の主要駅に停車するようになって久しいのですが…

 

平成のはじめ/梅田、十三、大宮、烏丸、河原町

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現在/梅田、十三、淡路、茨木市、高槻市、長岡天神、桂、烏丸、河原町

 

 

追い打ちをかけるように沿線人口の減少によって特急でも空席が目立つようになったので、だったら有料座席を誕生させよう(少しでも売上アップしよう)という機運が高まってきたのです。

 

 

 

◆ 阪急はいつも二番煎じ ◆

 

ご承知のように、大阪~京都間の私鉄で有料座席(プレミアムシート)を先に登場させたのは京阪で、平成29年のことでした。

 

     

 

まあ、阪急としても並行路線でもある京阪の出方を見て、それが成功したのであれば自分もやってみよう踏んだのでしょうが、そもそも阪急は「他社の後追い」が好きな傾向があるようです。

 

 

 

すなわち、宝塚歌劇団は、三越北浜店の少年音楽隊のコピー。

 

私鉄初の分譲住宅といわれる池田室町は、先に売り出した阪神御影山手のコピー。

 

関西初?の女性専用車は、昭和40年代に京阪で投入された 女学生専用車 の焼き直し。

 

と、枚挙にいとまが無いのですが、京阪プレミアムカーの後だしジャンケンですから、車内のつくりなどはそれを少し高級な感じにしていますので、素人から見ますと さすがは阪急 という結果になるのかも知れませんね?

 

 

 

あと、京阪神での有料座席の素地としては、昭和55年頃まで国鉄東海道線の快速に グリーン車 が併結されていた時代がありました。

 

     

 

これは現在でも東京近郊のJRで運用されているのと同じようなもので、編成のなかほどに1両連結されていましたが、当時大阪から京都までグリーン車に乗るとなると、 700円の追加料金 が必要でしたので、今の貨幣価値にするとほぼ倍の金額でした。

 

 

     

 

ですから、そもそも 無駄な銭は使わん という大阪独特のドケチ文化の前にあえなく轟沈した歴史がありましたが、時代の変化と申しましょうか、今はわずか500円で確実に座れるなら安いととる層も増えたと見るべきでしょう!

 

すなわち、特に仕事帰りでクタクタに疲れている時や、昼間であっても例えば途中の高槻市などからではほぼ座れないので、 確実に座れる のならたまには乗ってもええんちゃう?と考えるのも自然の成り行きかも知れませんね?

 

 

 

 

◆ プライベースにはトイレが無い ◆

 

さて、ここでお題のトイレについて書いてみましょう!

 

阪急も京阪も、大阪~京都でしたら所要は一時間にも満たないので、当然どちらの有料席にもトイレの設備はありませんが、高齢化が進む今日において、特にこれらの層の需要が多いと予想されるこの車両に、 どうしてトイレが無いのでしょうか?

 

いや、有料なんだからあった方がええし、あれば安心とちゃいます?

 

 

 

 

実は、在阪私鉄でも近鉄では有料特急と長距離用の通勤車に…

 

     


そして、南海は特急サザンの指定席やラピートなどにそれぞれトイレが完備されています。

 

     

 

すなわち、ラピートの難波~関空37分に対して、阪急梅田~烏丸が41分、京阪淀屋橋~四条47分ですから、あって当然じゃあ~りませんか?

 

じゃあ何で無いの?

 

     

 

何~~~でか?

 

     

 

それはね?

阪急にも京阪にも 汚物抜き取り装置 が無いからなのです。

 

 

 

つまり、トイレを設置するのは簡単だけれど…?

 

これを設置しますと、決まった周期で車庫にある専用線に引上げ、その溜まった汚物を抜き取る装置も作らなあかんし、それの処分費もかかりますから、要は手間も費用もかさんでくる訳なのです。

 

     

 

逆に言いますと、近鉄も南海もJRもその装置が無い時期もありまして、当時は線路へそのまま垂れ流しをしていましたが、後に 黄害問題 が揶揄されるようになってからは、その設備を車庫などに完備して今に至るのです。

 

     

 

ですから、阪急も京阪も「作ってもええんやけど…」、でも相当高額な出費が嵩む反面、費用対効果が全くないのに、新たな設備投資を嫌ったとも見て取れるのです。

 

つまり、「プライベース」も「プレミアムシート」も快適は快適なんですが、こと下半身が緩くなったり漏れが心配な方でしたら、あえて有料席に座るよりも、 確実にトイレのあるJRの快速や新快速 の方が安心かも知れませんね? 

(神戸方最後尾にはトイレあり and 比較的空いていますのでほぼ着席可能)

 

ほんまに年取って緩なったら辛抱できまへんからね…💦

 

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