前回の続きである。

 

関西国際空港から空路で北海道入りしたものの、そのまま乗り継いで 中標津空港 を目指せば体力的にも楽なはずなのに、今は空港を出て南千歳駅のホームに立っています。

 

まあ、私が無類の鉄道好きであるからなのですが、ほどなくしてこれから乗車する釧路行き 特急おおぞら5号 が入線して来ました!

 

     

 

     

 

こちらは、JR北海道ご自慢の261系気動車で御座いまして、もちろん私とて初乗車になるのでテンションが上がってまいります。

 

     

 

 

 

さて、南千歳駅を定刻の12:17に発車しますと、胸のすくような加速でほどなくMAX120km/hに到達したのと時を合わせて、お昼ご飯といたしましょう。

 

新千歳空港の売店で購入しましたので、空弁なのか駅弁なのかは不明ですが、私は 鮭が入った幕の内風のさざなみ弁当930円 を頂きます。

 

     

 

流れ去る車窓を肴に一杯ひっかけて頬張る駅弁の味は格別で、飛行中はずっと耐え忍んでいなければならない閉鎖的な空の旅と比較して、全く真逆の解放感と旅情を堪能しつつも、列車はどんどん進んで石勝線に入りました。

 

     

 

あと、奥様と同行の子供さん(大学生)も好みの弁当を買い求めたものの、いずれもサイズが小さいため満足感を得られないだろう?と、更に2個を追加してシェアしながら頂きました。

 

蟹シュウマイ弁当に蟹めし…

 

     

 

牛肉+ハラス弁当でっか?

 

     

 

鶏の弁当も買いましたで!

 

     

 

ほんまに、燃費の悪い御三人でお恥ずかしい限りなのですが、色とりどりで、しかも地元北海道の食材をふんだんに詰め込んでいることもあって、まさしく 駅弁の宝石箱 を堪能しているようでした。

 

     

 

しかし、これまた腹が張りますと今度は睡魔が襲ってくるのは世の常でなんですが、これからの車窓で外せないポイントもありますので、必死で瞼を開けておきます。

 

 

 

 

ひとつ目は、石勝線のトンネルを抜けたところにあるΩカーブで、遥か眼下に新得の街が俯瞰できるのです!

 

     

 

画像では少し伝わりづらいのですが、一軒の家すら無い平原を右へ左へと大きくカーブを描きながら降りますと、ほどなくして 新得駅 に到着します。

 

     

 

こちらは、 映画幸せの黄色いハンカチ のラスト近くで、渥美清氏扮する警察署長の登場するシーンのロケ地でもありまして、実際にこの駅前の警察署で撮影されました。

 

 

     

 

 

 

 

で、もうひとつは音別の海岸線ですね!

 

     

 

実は、当地には過去に二度鉄道撮影で訪問していますので、ほぼ地形は頭に入っているのですが、線路際まで打ち寄せる太平洋の冬の荒波は壮大ですらあって、遮るものひとつ無い水平線の彼方にはソロモン諸島があるのです。

 

さて、南千歳駅から揺られること3時間余り…

北海道の鉄道の旅を満喫した頃に 釧路駅 に到着しました。

 

     

 


 

パラパラと四方に去っていく乗客を見ていますと、かつて昭和50年代に訪問した釧路駅の賑わいは過去の風物詩であって、いささか寂れた駅舎とだだっ広いホームが、更に侘しさをかき立てます。

 

ところで、本来でしたら嫁ぎ先の旦那さんが車で釧路駅まで迎えに来てくれる予定でしたが、どうしても仕事で遅くなるようでしたので、ここから更に 花咲線の列車 に乗り換えて、 厚床駅 を目指します。

 

     

 

乗り継ぎますのは、16:06発の根室行き普通列車です。

 

     

     

車両は国鉄型のキハ54ですね!

 

     

 

たった一両の根室行きの列車は、釧路始発の段階で乗客は10人あるか無いかの寂しい出発となりましたが、少し進みますと峠にさしかかったものの、列車が頻繁に警笛を鳴らしまくるので、何事?と思い運転室の後ろで立って見ていますと…

 

蝦夷鹿が頻繁に線路を横断するではあ~りませんか!

 

     

 

ぶっちゃけた話し…

大自然と言えばそうかも知れないけれど、二三度列車が停止する場面にも遭遇しましたので、この地は 蝦夷鹿様優先の大名行列 と言いますか、万一跳ね飛ばしてしまえば厄介ですので、運転士も細心の注意をはらいながらノッチを握ります。

 

 

 

 

さて、釧路を出て約1時間…

沿線の主要都市で かきめし弁当で有名な厚岸駅 に到着しますと、半数以上が下車しましたが、ここから更に湿地帯を通り抜けて東に進みます。

 

     

 

すでに日没が近づいていて、最初は大自然の車窓に興味津々だったものの、これとて5~6時間も同じ風景ばかり見ていますと感動すらなくなってしまい、ただぼんやりと列車に揺らけるだけになってしまいました。

 

ほぼ乗客の居なくなった車内を見ても分かるように、ここは沿線人口が極めて希薄であるのに加え、一級観光地が無いこともあって観光客の姿も無く、ゆえに同線は 超赤字のお荷物路線 になっているのが現状のようです。

 

     

 

民営分割化という荒治療の末に誕生した JR北海道 は、札幌近郊のみが唯一黒字路線であって、他の膨大な路線の全てが赤字という現状を考慮しますと、いずれ 釧路~根室の花咲線 も廃止の対象とされるのかも知れませんね?

 

     

 

しかし、やはり地域の足として道路一本でこと足りるはずでは無く、特に緊張状態にある 対ロシア との国防上の面からも同線を決して無くしてはならず、増発は必要ないにせよ路盤の整備と強化だけは怠らないで欲しいと思うのです。

 

 

 

ルパン三世 の作者モンキー・パンチ氏の故郷、茶内そして浜中駅を過ぎますと次は厚床駅ですが、釧路からここまで約2時間… 下車しますとどっぷりと陽が落ちていました。

 

     

 

ご多分に漏れず同駅は 無人駅 でしたが、それでも地元の方々の協力もあってか大変綺麗な状態を保たれた反面、ここから先の別海町行きの路線バスは早々と店じまいしていて、もしも待っていたとしても来るのは明朝ですし、もちろんタクシーなんぞは影も形も無いどころか、まず人が一人も居ません。

 

     

 

ですから、この最果ての無人駅で、旦那さんの送迎を「じっとがまんの子」で待つしか術が無いのです。

 

     

 

 

 

ただ、かつてはここより別海方面に 標津線 という路線が分岐していましたが、残念ながら平成元年に廃止されてしまいました。

 

     

 

廃止直前の時刻表を見てみますと、ここ厚床駅で今から約1時間の接続で列車があるようですから、それに乗り継ぎますと 別海駅が19:38着 ですので、もしも35年前でしたら旦那さんにご足労を願わずに、公共交通機関だけで別海町まで辿り着けましたね!

 

     

 

 

 

さて、早朝の5時に自宅を出て遠路はるばる14時間余りを費やして、もはや這う這うの体で到着した別海の街ですが、今宵のお宿はこれまた旧別海駅に隣接した マグハウス という小さなホテルです。

 

     

 

長旅の疲れをここで癒し、また明日に備えるべく羽を休めました…

 

つづく