松本清張氏の 点と線 、そして西村京太郎氏のトラベルミステリーに代表される昭和の小説は、その犯行計画段階で必ず 時刻表 が用いられているのである。
すなわち、元来時刻表は 鉄道旅行には欠かせないアイテム でもあったのですが、近年はスマホの発達により、現在地と目的地さえ入力すれば誰でも乗換や接続の案内などが瞬時に表示されるので、確かに便利でもあるのです。
ただ、やはりと言いますか…
今回の日帰り旅行のお供として、今年の3月ダイヤ改正まで数ヶ月しか活用できないのだけれど、結果として今回購入したこの時刻表が大いに役立ったのです!
さて、先の 能登半島地震と津波警報 の影響を受けて、本来であれば城崎回りで豊岡を目指していた普通列車は 東浜駅 で抑止(運転見合わせ)になってしまい、微動だにせず既に15分ほどが経過してしまいました…💦
しかし、乗客が四の五の言おうが、指示を出す 列車指令 が判断を下さなければ動くことは出来ないので、急きょこれから先の行程を組み直してみました!
A案
当初の行程通りに城崎経由のルートを選択する場合。
私達の乗車している列車は鳥取16:21分発で、終点の豊岡で福知山行きに乗換え、更に福知山~篠山口経由で帰阪するのが当初の予定でした。
なので、出来れば遅れたとしてもこのルートを選択したいのはやまやまなのですが、この列車はこの先の 浜坂駅で約15分停車 しますから、今すぐに出発して浜坂を1分停車とすれば予定通りに進めるんですね!
あと、最悪の場合…
城崎駅をこの列車の30分後に出る 特急こうのとり に接続できたとすれば、福知山で本来乗るべしの列車に追いつくので、 課金 を惜しまぬのなら予定通りに福知山を経由して進めるのです。
ですから、先の浜坂駅での15分と城崎での30分を合算した45分後、すなわち17時40分までにここを出発することが出来たのなら、後は上手く繋がるのです!
ルイ! ルイ!
平常運転時 東浜16:15→城崎18:20/18:53-こうのとり→福知山
ところで、駅前に人家がほとんど無い 無人駅の東浜 で、なぜ長時間停まっているのか? と、素朴な疑問を乗務員に問うてみますと…
実はこの駅が鳥取と兵庫の県境に位置しているらしく、辛うじて鳥取県側の東浜駅は 米子指令所 で、以東の兵庫県側は 福知山指令所 の管轄と言うことでした。
まあ、これを聞いて瞬時で判断しましたわ!
これより先へは絶対に進めませんと…
国鉄時代の話しになるんだけれど、旧福知山鉄道管理局は 強風警報 の中で強引に列車を発車させて、餘部鉄橋で客車落してるんですね!
ですから、警報にはことのほか敏感にかつ過剰に反応する指令所なので10000%抑止は解除しないでしょうし、事実 1本先の普通列車 は柴山駅付近で22時頃まで抑止されていましので、図らずも一本前の「やくも」に乗ってそれに乗り継いでいれば、城崎辺りで一夜を過ごすハメになってしまったのです…。
B案
以遠が福知山指令所であることから予測して、ほぼこれから先へ進むことは出来ないと予測できたので、しからば逆の鳥取側へ移動すればどのような行程が組めるのであろうか…?
時刻表の出番ですね!
現在の時刻は東浜駅に停車してから約1時間を経過した17時半頃でしたので、この時間に鳥取駅を出発して帰阪するとしたのなら、青春18キップの使用できる JR線 だけではとうてい繋がらないのです。
すなわち、因美線の途中にある智頭駅から、高速性に優れる 智頭急行線 (第三セクター)を介しますと、何とかギリで繋がりますね!
ですから、抑止が早く解除すれば
鳥取18:40-特急はくと14号→上郡19:46/20:08→
姫路20:40/20:55-新快速→大阪21:59 課金:3100円
最悪ゴデたとしてタイムリミットは、
鳥取20:35-特急いなば12号→上郡21:46/22:02→
姫路22:33/22:56-新快速→大阪23:57 課金:3100円
あと、日本交通の高速バス臨時便を利用すれば…
鳥取駅前20:00→なんばBT22:52 課金:3800円
まあ、経験上このルートは瞬時に出ました!
C案
あと、親戚の子供さんの提案では、B案のルートは智頭急行線の乗車券+特急券の他に、 JR因美線の乗車券+特急券 も必要なため、出費を少なくするルートとして…
鳥取19:07→上郡21:04/21:21→姫路21:54/21:56-新快速
→大阪22:58 課金:1320円
という案が出されましたが、5分もせぬ間にこれを提案を出してきたので、思わず 「腕上げたのぅ~」 と返してしまいました。
次に、一向に指令から指示待ちの乗務員に対してアプローチをかけてみます。
まず、米子指令管内で立地的に 一番津波の被害を受けやすい位置に停まっている のは当該列車と思われるので、トリアージで言うところの 赤 ですから最優先で移動を求むと強く要望してほしいこと。
次に、万一津波が襲ってきた被害が出た場合、これほどモタモタと判断できない列車指令は、その責任が負えるのかどうなのか?
最後に、このような無人駅では食料調達も絶望的なので、とりあえず待合室も広くトイレも完備され、上手く行けば 列車ホテル の用意も出来るであろう鳥取駅の方が安心(一夜を明かせる)ではないか?と、おだやかに提案してみました。
ぶっちゃけた話し…
ここまで試行錯誤の上で代替ルートを模索し、乗務員にも私見を提案したのですから、打てる手は全て打ったのです。
ですから、後は野となれ山となれの心境でしたが、停車して1時間余り過ぎた18時頃に 「この列車は鳥取駅に戻ります」 と放送が入りました!
バンザイ! バンザイ!
ただ、これより先の豊岡方面へ行く大半の乗客も、とりあえず最悪の事態を想定して避難するという目的でこの列車に残りましたが、お迎えのアテがある数人は下車したものの、 「くれぐれも高台などで退避してくざさい」 と告げられていました。
さて、このまま出発準備が整いますと、上手く行けばB案の特急はくとに連絡できるのですが、ここで再び思わぬアクシデントに見舞われました!
クレーマーが現れたのです!
実は、私達と同じく 青春18キップ で奈良方面へ向かっていた三人家族の一人が、ここで1時間以上ロスして計画が崩れたので、 タクシーを手配しろ とか 最悪でも特急はくとにタダで乗せろ とゴネだしたのです。
まあ、怒る気持ちも理解しますよ…
私も同じ境遇ですから…
でもね、18キップという企画乗車券ってのは、安くしているので万一の場合は不利な条件がありまして、それは 輸送約款 に記しているのです。
すなわち、 もしも災害などで予定の列車に乗れなかったとしても責任は負いません とあるんですね…
おまけに、途中介する智頭急行線は第三セクターであってJRの列車が遅れようがどうなろうが、全くもってして関係無いんです!
ですから、私から再び乗務員さんにお話しして、もしもこれ以上ゴネるのであれば私が持っている約款を提示してくださいと…
そして、ここでゴネて列車がもしも発車出来なかった場合、課金云々以前に大阪にすらたどり着けませんけど? それでもよろしいですか? と本人に直談判しました!
すると、クレーマーはあっさり折れましたね!
と言うことで、何やかんやありましたけれど、列車指令の指示があって18時10分頃に東浜を出発しまして、5ノッチ全開で鳥取には18時40分着。
列車指令の粋な計らいもあって、運よく特急はくとと同じホームに 着線変更 されていまして、接続待ちをしてくれた 特急はくと14号 に飛び乗りました。
事情が事情だけにね…
兎にも角にも津波の心配がある日本海側から離れたいのと、課金と言ってもたかだか一人3100円ですから、それで安心と速達性を買ったと思えば 安い買い物 だと思うのです。
と安心したのもつかの間…
今度は無性に腹が減ってきたので、岡山駅で余分に購入した駅弁をほおばります!
闇夜の高規格線をぶっ飛ばして約1時間ほどで上郡駅に到着。
ここから再び 青春18キップ のお世話になる訳ですが、次の姫路行きまで少し接続時間がありましたので駅を出で見ますと、綺麗なイルミネーションが!
心が少し安らぎましたね…
人間万事塞翁が馬 ですかな!
上郡から姫路へ…
まあ、姫路まで来れば新幹線もあるし、万一JRがヘタったとしても山陽電車を乗り継げば大阪までたどり着けますので、一安心ですね?
しかし、またまたここでアクシデントがありまして、本来だと接続するはずの20:55発の 新快速 が運転休止に!
実は、地震の影響は広範囲に及んでおりまして、当日の18時頃までは野洲以東の 東海道線も抑止 が掛けられていため、本来は姫路で折り返すはずだった新快速が辿り着けなかったのです。
そこで、仕方なく20:57発の快速に乗車し…
本来乗るべしであった新快速が、友人の智ちゃん家族の住む 大久保駅 で折返し運用との放送がありましたので、再び大久保駅の階段を登って降りてからの、わずか2分連絡で新快速に乗車。
ようやく、這う這うの体で大阪駅に辿り着きました。
このブログをご覧いただいている方でしたら、度々登場する紀行文(プライベートに分類)は、練りに練った計画で今までほぼ予定通りに進むのが常でしたが、人生色々、山あり谷ありってところを今回だけはまざまざと体感させられましたね!
まあ、自然には勝てませんしね…
本当に長い一日でしたよ!
でも、こうして無事に大阪へ帰って来れただけでも感謝しませんとね…
これにて、一件落着!
主に鉄道写真のツイッターXはコチラです→
https://twitter.com/c4Y2v9RCk6l5pCA