元々、あまり本を読む人間では無いし、最近は特に スマホ で色んな情報を瞬時に見ることが出来るので、なお更読むという機会には恵まれないでいる…?

 

しかし、先日と言っても4か月ほど経つのですが、 散歩するアンドロイド という本を書店で購入し、一気に読み上げてしまったので、遅ればせながらその読書感想文などを書いてみようと思います。

 

     

 

 

 

 

著者は「SAORI」さんという若い女性でして、元は東京ゲームショーで アンドロイド・ロボット を演じていたのが実にリアルだったことから、以降はアンドロイド云々と言うのが、彼女の代名詞のようにもなっているようです…。

 

     

 

さて、いつものように文章が長くなるのですが、書店の累々たる書物の中からこれだけがピンポイントで目に留まった訳では無くて、もともとその伏線のようなものがありまして…

 

 

 

 

個人的に、仕事の合間や帰宅してからよく観る YouTube は、関連付けで似たような動画をオススメしてくるのですが、個人的には 鉄道と戦記物 が好物でしたので、ある日SAORIさんの動画がオススメとし出てきたのでした!

 

SAORIさんの本業は作家さんでは無く ユーチューバー なのですが、 「伊勢神宮に初詣してきた。」 という動画を観ていますと、いきなり近鉄鶴橋駅の改札が出てきたので驚きました!

 

     

 

あのね…

薄暗くて狭くてきちゃない超マイナーな地平の近鉄専用改札口をオープニングに持ってくるという破天荒さは、失礼ながら一瞬で私の心を掴んだと言いますか、こいつはタダ者では無いな! と思ったのです。

 

で、終夜運転の近鉄特急で伊勢神宮に詣でる訳なのですが、そんな道中のことはどうでも良くて、詣でた後に訪問した「おかげ横丁」の入口の店で甘酒を購入して暖を取るのシーンでは…

 

     

 

「数軒先の甘酒の方が安かったぁ~、やられたぁ~」 と悔しがっている様は、おだやかな流れの中のスパイスのごとく、 大阪のおばちゃん気質 を上手くブレンドしているなと、妙に感動を覚えたものでした…。

 

 

 

そんなこんなで興味を持ったからこその購入に至った訳なのですが、前述のアンドロイド・ロボットが擬人化したという設定ゆえなのかどうなのか?

 

文中でもあまり喜怒哀楽や強弱を出さず、同じペースでさらりとした文面で流されていますので、たいへん読みやすいというのが、まず最初の感想です。

 

     

 

 

 

ところで、全体的に申しますと 紀行文風 の構成なてのですが、どうやら鉄道に興味がおありのようで、特に 青春18キップ の項では、早朝の大阪から普通列車を乗り継いで、16時間もかけて九州に上陸するというくだりがありました!

 

通勤ラッシュに巻き込まれ、途中下車して食事して乗り遅れたり、はたまた下校時の学生らで混雑したりと、まんま一日中列車の中で居ることで、その他大勢の地域の日常生活をつぶさに傍らで体感できますから、寝ている間に着いてしまう新幹線とは大違いなんですが…

 

それを、短くも上手く表現されていますね!

 

     

 

 

 

 

かく言う私も、国鉄時代に乗った中央線の列車で、東京から信州に向かう普通列車は6両なのにガラガラだったので、 「何でこんな無駄なことするんや!」 と思ったのもつかの間、途中の大月駅から大挙して学生が乗り込んできて超満員に!

 

     

 

おまけに運悪くオ〇ッコを催してきたのですが、トイレは一番先頭にしか無いので、混雑する車内をかき分けて目的を達したという苦い思い出もあったり…

 

はたまた、車掌さんと仲良くなって、終点の駅の社員食堂で美味しい食事を馳走頂いたりと、普通列車ゆえの醍醐味のようなものを随分と味わった世代なので、どこか懐かしく拝見しました。

 

     

 

 

 

それと ひとり旅の宿 の項では、駅から離れた温泉地よりも駅前のビジネスホテルの方が性に合うとありました!

 

わかりますよ! その気持ち!

 

 

 

ぶっちゃけた話し、物見雄山の観光旅行であるとするのなら、適当に観光地を見て夜は温泉でゆるりとなるのですが…?

 

     

 

SAORIさんの場合は読んだり観たりする相手に発信するために、その構成やら何やらを考えたりするので、さすがに翌日にはレスポンスの良い駅前が良いと言いますか…

 

自分一人であれこれ行動していますと、体力的にも限界なので、それを楽しむ余力なんかすでに枯れてしまっていて、兎にも角にもバタンキューと寝たくなるのです。

 

 

 

 

かく言う私も若い頃…

もちろん金銭に余裕が無いので ユースホステルなんかを常宿 としていた時期があったのですが、これらの類は駅から遠くて不便な場所にあったりするのです。

 

     

 

信州方面へひとり旅をした時も、たまたま料金の安さだけで選んだ 駒ヶ根ユースホステル なんですが、空気も良いし大自然を満喫できたまでは良かったのですが…?

 

いかんせん駅から遠いだけでなく、翌日は始発のバスが10時前まで来ないとあって、その後の予定に大きく支障をきたしたため、それ以降は 単に寝るだけ なら駅前のビジネスホテルと決めていますね!

 

     

 

 

 

ところで、少し残念と申しましょうか、これは年齢差ゆえにどうしようも無いのですが、 夜行列車のロマン の項では、すでにロマンと表現しているので、SAORIさんらの世代では非日常のことなのでしよう?

 

文中の大阪~東京への夜行移動と限定すれば、今はほぼ一択で 夜行バス と、補完的に「サンライイズ」という括りになってしまいますが、私らの世代は 急行銀河 が一択で、補完的に国鉄バス「ドリーム号」しか無かった時代でした。

 

     

 

 

 

すなわち、当時はビジネスマンを含め、今は死語となった 用務客 らの日常生活の延長のようなものであって、時間を有効に利用できるツールとして、寝台列車はずいぶん利用した世代なのです!

 

     

 

ですから、よそ行きの観光客や乗り鉄の姿は少なく、仕事に疲れたサラリーマンらが臭い靴下を履いたまま咥えタバコで酒盛りするので 車内は常に煙たくて珍味臭く 、その後は大イビキで就寝しながらの屁こき合戦が続くのですから、誠に情けない空間と言いますか、ロマンの欠片も無かった時代でもありました…(汗)

 

 

     

 

 

ただ、もちろんその頃にはYouTubeなんかも存在していませんでしたし、スマホも無いので いわゆる時刻表に精通していないと一人旅なんで無理 でしたが…

 

逆に言えばタイムスリップしてその時代にワープ出来たとするのなら、それこそ人気ナンバーワンのユーチューバーになり得るでしょうが、当時はネット割引やLCCも無かった時代ですので、例えば伊丹~千歳がいつ乗っても定価38000円也!

 

ですから、どこへ行くにも定価だっただけでなく、今で言うところのポイントが貯まるなんてことも皆無でしたから、めったな事で旅行には出かけられない時代でもありました。

 

     

 

 

 

反対に緩いところはユルユルの時代でしたから、今は大半が立入禁止になっていて、文中には是非とも上陸してみたいと願う長崎県の端島こと 軍艦島 は、私らの世代では自由に上陸できた時代でした!

 

詳しくは→

 

 

 

 

そう考えますと、いつの時代にも時代にあったセオリーと申しましょうか、流儀のようなものがあってしかりなのですが、個人的には語句の使い方が柔らかいので、鉄道の旅に特化した作家 故 宮脇俊三氏 を彷彿させる感じがしました。

 

 

 

と言うことで、今の時代の中で旅する一人の女性を断片的に切り取ったようなこの書籍は、動画では決して伝わらない旅の道中あり、食事あり、風景ありを上手くミックスしつつも、あまり専門的に深く掘り下げていないところも含め、誰でも気兼ねなく拝読できることでしょう。

 

(※私のブログも専門的には記述しないよう心がけています。/弊社の今の外観です↓)

 

     

 

加えて、文で足らないところは自らで想像する楽しみをも味わえるところも、魅力といえば魅力でもあると思いました。

 

 

 

尖ったところが無い…

それがSAORIさん流と言ってしまえばそれまでなのですが、だからこそ毎日食べても飽きない かけうどん のごとく、後味がさっぱりとしてまた明日も食べたくなるような…

この本に、そんな感想を持ちましたね!

 

 

 

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