過日、四国は香川県の観音寺市の踏切で、予讃本線の特急列車と電動シニアカーが衝突するという 痛ましい踏切事故 がありました。
だったら、お互いに落ち度は無かったのか? はたまた、どうすれば痛ましい事故が防げたかについて、老婆心ながら書いていこうと思います。
まずは、事故があった踏切の様子です。
※以下の画像等はgoogleよ拝借しました。
単線の線路と交差する、いわば市道ほどの幅員があって、さほど交通量も多いとは感じませんね?
しかし、横断中の電動シニアカー(電動車椅子では無い)
が、何らかの原因で踏切内で立ち往生してしまい、結果として列車と衝突してしまったのです!
時刻は早朝の7時前…
目撃者はひとりの中学生でしたが、 踏切は正常に作動していた との目撃証言がありましたが、だったら JR四国側 に何の落ち度も無かったのでしょうか?
運悪くと申しましょうか…
たまたまやって来た列車は、高松~松山を結ぶ特急列車でして、観音寺駅を出発した当該列車は、ちょうど直線区間の真ん中にある同踏切で、最高速度に達するのでした。
YouTubeを拝借し、同踏切通過速度を示したのが下記です。
もしも、トコトコとのんびりと走るローカル線の踏切でしたら、ここまでの事故は回避できたと思うのですが…
左下に表示があるように、観音寺駅を出て左カーブから直線に入った同区間の特急列車の当該踏切通過速度は、 126km/hという高速運転 に達するのです。
これは、並行する高速道路への対抗手段に他ならないのですが、もしも踏切事故を防ぐ目的から、時速40km/h以下でトコトコ走行せよと言うのも、これまたお角違いと言えましょう!
それと、このブログで以前よりお伝えしている列車の最高速度なのですが、国の規定で 非常ブレーキをかけて600m以内に停止する ということが決まっていますから、当該列車もその性能は備えているのです。
だったら、600m手前で発見出来れば事故は防げたのでは? という論理も分からない訳では無いのですが、実際600m手前と言いますと、この位置になるのです!
要は、画像の上にあるオーバーパスの道路を潜った辺りになるのですが、この位置での運転席からの視界はと言いますと…
こんなん、運転士からは踏切の「ふ」も見えていませんし、よしんば人ひとりが閉じ込められていたと仮定しても、10000%目視では確認できませんね?
ですから、これを補完する目的から、JRの踏切には 非常ボタン が設置されていますので、これを押せば手前にある「特殊信号機」が発光し…
※当該踏切は点滅型
それを発見目視した列車は即座に非常ブレーキ措置を取ったはずですし、当該踏切にもその設備が確認できるのです。(矢印部分)
しかし、惜しむらくは閉じ込められた方以外に目撃者がひとり居たものの、踏切近くに居なかったためか、他に誰もこれを押す者が居なかったため、列車を止める手立てが無かったという結果なのです。
まあ、都心部では交通量が多いゆえ、わざわざ非常ボタンを押さずとも 障害物検知装置 を完備している踏切もありますから、その設備さえあれば自動的に危険を知らせてくれるのですが…
設備がかなり高額になりますので、JR四国の経営基盤からしますと、現実的では無いと思うのです。
過去のブログ→
そう考えますと、ごくごく稀で数奇な 踏切の盲点 がこの事故の原因と結論づけられるのですが、現実問題としてJR四国側には何の落ち度も無いことが証明できると思うのです。
だったら逆に、電動シニアカーなどに乗る高齢者の方々が、踏切事故に巻き込まれないような 積極防衛 を取る方法とは、どのようなものがあるのでしょうか?
まず、電動車椅子と電動シニアカーは大きく違う別物でして、失礼ながら元々足が不自由な方でしたら、大半は電動車椅子を使用されていると思います。
しかし、今回の観音寺市踏切事故は、明らかに 電動シニアカーの踏切事故 であって、天下のマスコミですらほぼ全てが電動車椅子の事故と報じていますが、これは大きな間違いです!
事故後の画像からも分かりますように…
大まかに申しますと、元々は健常者だった方が高齢になって外出が困難になった時の補助として使用する道具であって、車椅子よりも重く走行距離も長いのが特徴です。
もちろん、免許も要らないですから、 誰でも乗れる 訳なのですが、元々車の運転などに精通されていない方が乗車しますと、車幅や重量があることから咄嗟の動きが鈍いので、接触した場合のダメージは大きいのです。
ですから、いわゆる感覚などを熟知しないままに大きな交差点や踏切には出来るだけ近づかないことが、まずは自己防衛の第一歩だと思います。
だとしても、もしも踏切などを通過しなければならない時は、出来るだけ一気にら渡りきるようにすべきでしょう!
ところで、今回の事故の場合は、線路にタイヤが挟まったと一部の報道がありましたが、はたしてそうでしょうか?
上の画像のように、隙間へ脱輪したのなら、鋭角にハンドルを切らなければならないはずですし、交通量がほぼ無い踏切で運悪く対向車が来たのでしょうか?
個人的には、脱輪では無くて 電気系統のトラブル もしくは、バッテリー切れなどの要因で動かなくなって、ほどなく警報機が鳴りだしたと思うのです…?
でも、機械モノですから当たり外れはありますし、こちらの思うように動いてくれないこともままありますし…
とっさの場合は誰だってパニックになって身体が硬直してしまうのですが、万一踏切に閉じ込められたとしたのなら、シニアカーは放置して 自力で這ってでも脱出してください!
参考動画→
高齢化が進む我が国ですから、シニアカーに需要が旺盛になることと比例して、こような事故も激増すると予想できるのですが、くれぐれも車両を公道で走らせているという自覚を持ってください。
そして、 電動シニアカー を販売するメーカーも売りっぱなしにせず、ルールの啓発を頻繁に行ってください。(通販で買える仕組みを止めてください。)
便利だからとすぐに飛びつかず安易に購入せず、安易な行動を避け、ハンドルを握る高齢者の方々も常に危険と隣り合わせだということを自覚していただき、常に安全走行を心掛けていただくよう、切にお願いいたします。