今まで数度となく、わたくしの独断で鉄道事故の検証をしてまいりましたが、今回は昨日 元町駅 で発生した人身事故を取り上げてみようと思います。

 

※過去の検証はコチラ→

 

 

 

 

まず、全国のニュースなどでも流れていましたので、多くの方々がご存知と思いますが、今回の事故の特徴としては、列車に飛び込んだ当事者が車内まで達して、乗客に怪我人が出たと言うことです。

 

 

 

※苦手な方は、以下を読まないでください。

 

          

 

まず時刻は朝の8時半頃ですので、ラッシュ時の最後の方になりますが、12両の列車の乗車率もそこそこあったと思います。

 

次に、列車種別は 新快速 で、私鉄で言うところの特急に該当するのですが、その韋駄天(高速)ぶりも有名でして、最高時速130km/hでバンバン走る列車なのですが…

 

ただ、幸か不幸か三宮駅を出てすぐの元町駅だったため、一部報道では時速100km/hで衝突とありましたが、実際には6~70km/h程度しか出ていなかったと思うのです。

 

 

 

 

さて、悲しくも発生した事故なのですが、前述の新快速は同区間を 外側線 を走行しているため、元町駅のホームは進行方向の右にありますから、そこから飛び込んで右のフロントガラスを突き破っています。

 

で、当該運転士の取り扱いなのですが、衝突後にすぐさま非常制動の手配を取ったことが、下の画像で証明されています。

 

          

 

すなわち、航空写真にしてみますと元町駅より200m越え程度の位置に先頭車両がありますので、恐らく99%速度は100km/hも出ていないので速度超過も無く、ブレーキの扱い遅れやブレーキ系統の故障も無かったと断言できるでしょう!

 

          

 

あと、元同僚の運転士の証言では、電車が物体などと衝突した場合、架線からのスパーク火災を避けるため、 パンタグラフを下げる 扱いをするそうですが、照明や空調が停止したという当該列車の乗客の証言もありますので、全ての行動がマニュアル通りであって、JR側には何の落ち度も無いのです!

 

 

 

 

ただ、列車通過の直前に線路へ降りるのが、飛び込む側の一般的な動作なのですが、今回の場合はタイミングが遅れたため、フロントガラスを直撃しているのです。

 

列車のフロントガラスは通常のものとは強度などが大きく違っていまして、ちょっとやそっとで割れませんし、本来ならは弾き返されて当然なのですが、今回は鋭角で当たったのではないかと思うほど、見事に粉砕されてしまいました。

 

加えて、乗務員室と客室を仕切るガラスも突き破っていますが、このガラスは5mmと薄いものの、当該列車には 飛散防止フィルム が貼られているのです!

 

 

 

弊社もその施工に度々携わりましたが、要は大きな衝撃でガラスが割れた場合に、その破片が飛び散らない役目を持ったフィルムなのです。

 

          

 

ですから、被害は最小限でしたし、お怪我をされた乗客に対して失礼なのですが、もしもこのガラスにフィルムが貼っていなかったとすれば、その飛び散ったガラスの破片で未曽有の大惨事になったことは安易に想像がつきましょう!

 

 

 

次に、元町駅のホームですが、前述の 外側線 は通過列車がほぼ全てですから使用することが無いので、通常はロープが張られています。

 

          

 

しかし、この現状を揶揄して 早くホームドアを設置せよ とか、「壁で塞いでしまえ…」などの声が大きくなっていますが、まず膨大な資金がかかるんですよ!

 

だったら、運賃を値上げしても良いですか? と問い返してやりたいし、もしも今回のように外側線に不測の事態が発生した場合は、このホームに降りれなくなってしまうことも想定しておきましょう。

 

と言いますか、究極のところは飛び込む輩はどんな壁があっても、よじ登ってでも飛び込むという精神状態に追い込まれている様を直視していただきたいのです!

 

 

 

 

一歩出れば何が起きるか分からない世の中は、何も今に始まったことでは無くて、太古の昔から同じですから、個々が気を付ければ済むことですし、今回の事故はたまたま特殊な結末であっただけなので、いくら頑丈に対策を施したところで、 やるヤツはヤル のですから、JRはこのままの状態でも何ら不備は無いのです。