引き渡しはまだもう少し先。待っている時間は本当に長く感じる。

 

やるべき作業はいよいよ減り、実家に行く機会もだいぶ減った。それでも綺麗な状態で気持ちよく買主様に引き継げるよう、月に2〜3回は風通しと掃除をするために通い続けた。

 

誰もおらず締め切った室内でも、10日も空けておけば結構な汚れが溜まる。窓のわずかな隙間からは想像以上に砂埃が侵入し、水の循環が止まった水回りにはあっという間にカビが繁殖。誰かが住んでいるときよりも格段に早く汚れていくように見える。『空き家は痛みが早い』と言われる所以がわかった。

 

 

いつものように掃除をしに行ったある日のこと。

 

作業の終わりにトイレを使おうとして、久しぶりに便座の電源を入れた。すると…

 

ビューーッ!!

 

いきなり温水洗浄の水が勢いよく飛び出した。そして驚いた拍子にフタを開けてしまい、思いがけず全身びしょ濡れになってしまった。

 

 

機器が正常に作動していればまずあり得ないこと。これは故障だ。

 

母が設備屋にボッタクられながらトイレを交換したのが、今からおよそ10年前。そこから長らく使ってきた便座が、引き渡し直前という絶妙すぎるタイミングで故障した。

 

売買契約時、設備一覧表のトイレ・温水洗浄便座の欄には

 

☑設備あり

☑異常なし

 

と記載したため、引き渡し時には該当設備が使える状態でなければならない。つまり、これを修理するか新品に交換する必要があるということ。

 

説明書上の寿命は過ぎている。たいてい寿命を過ぎた製品の修理は出来ないことが多い。メーカーへの問い合わせも面倒なので、ここは手っ取り早く新品に交換することにした。今後自分が使うことは無いが、こればかりは仕方がない。『契約』は責任を持って果たさなくてはならない。

 

 

家電量販店で見積もりをもらうと、同等品への交換は約5万円。

 

出費は少しでも抑えたいところ。調べた結果、同じ製品でも製品購入と交換作業を別々に発注することで安くできることが分かった。

 

・量販店:工賃込み約5万円

 対して

・ネット通販:製品本体約3万円

・職人さんに工事を依頼:約1万円

 

1万円も安くできるではないか!

 

発注の手間は掛かるが、それを十分に回収できるほどの節約。ちなみに職人さんは『くらしのマーケット』で探して依頼した。

 

 

築30年超。これくらいの故障は『想定内』ということにして納得しよう。

 

すんなりと終わらない。もうこれ以上の不具合が出ませんように…。