実家売却に際して、母のところへはハイペースを維持して足を運んでいた。

 

家族信託の検討開始から売却、引き渡しに至るまでじつに1年近く掛かることになる。その間に母が混乱して不安になったり気持ちが変わらないように心掛けてきた。大変だったのは確かだが、繰り返し丁寧な説明を重ねてきたことでねらい通りの効果はあったと思っている。

 

 

売買契約に関する手続きが一通り完了した頃、母のいる特養から連絡が入った。

 

「施設内で複数の方に新型コロナ感染が見られました。しばらく面会は中止します。」

 

新型コロナが5類になってから基本的に厳しい規制が撤廃されていたので、久しぶりに接する感覚。発生初期の緊張感を思い出す。

 

母には感染が及んでおらず一安心。今後もたぶん大丈夫だろう。かつて日常的な飲酒のせいでボロボロの野良猫のようだった母は、断酒生活の継続によってすっかり丈夫な心身を取り戻し、今では小さな鼻風邪すらひかなくなっている。

 

嬉しい…かどうかはさておき、これは良い方向への誤算だった。

 

 

今になり面会が中止となったが、母を参加させる手続きが全て終わった後だったのは幸いだった。もし多忙な時期に面会も外出させることも出来なかったら、売却手続きは中断せざるを得なかっただろう。だとすれば今の買主さんとも出会うことなく、結果は大きく変わっていたかも知れない。

 

様々な幸運が重なったからこその今。この境遇に感謝しながら、これらを無駄にしないよう進めていきたい。

 

 

特養では新型コロナに罹患した人も対応されている職員さんも、本当に大変な状況が続いていると思う。労いと敬意の気持ちを表したい。