家財道具の整理も大方が完了し、室内では最後の掃除を丁寧に進めていた。
と言っても、これまでにかなり綺麗にしてきたので大きな作業はもう必要ない。
実家へ足を運ぶ頻度もだいぶ下がってきた。
仲介業者へお任せしていた作業は、隣接する土地との境界を確定させる仕事が最後まで残ることとなった。
そもそも土地の境界が確定しているからこそ購入できたと思うし、固定資産税の額も決定されていると思っていた。ところが実際は2か所の土地境界(杭)が長年にわたり未確定のようだったのである。それは意外だった。
実際、登記には正式に土地面積が明記されている。その数字を正として税額が計算されてきたはずだ。
もしかすると、事実と異なる面積に対して税金を払っていたのかも知れない。
しかしそうであっても微々たるものだと思うし、損したか得したかまでは分からない。今さら気にしてもどうしようもないので、あえて深掘りはしないでおこう。
この境界確定の作業、完了までに実に2か月を要すこととなった。
その理由は…
『お隣さんがなかなかピンポンに出てくれなかったから。』
これには隣地の所有者に立ち会ってもらう必要があるため、測量士さんがお隣りさんと会えない限り先に進むことができない。
測量士さんも色々な現場を抱えているし、お隣さんも若い世代なので暇ではない。確かに、タイミングが合うまで延々と時間が掛かってしまうのも無理はない。
この情報が発達した社会で、“会う”まで進められないアナログな仕事が最後まで残ることになるとは。
2か月の時を経てようやくお隣さんと時間が空い、境界の確定が完了。晴れて引き渡しへ最終の段取りを詰める運びとなった。
この時点で、実家が空き家になってからは3年が経過。