IRIS療法(イリノテカン-エスワン)の継続することを決め、5サイクル目を開始しました。

同時に骨転移を抑える薬ランマークの注射も受けました。こちらは通算35回目となります。


これまで4サイクル分の副作用と対処とその効果の記録を取ることができていて、想像外の副作用で大慌てすることがなくなりました。


そう、これまでのIRIS療法による治療は順調だと言えます。


あまりにも順調すぎて怖いくらい。こんな時に頭によぎるのは

「人生万事、塞翁が馬」

です。油断すると思いがけないところから、足をすくわれることにもなります。


今日の診察室では、主治医先生とIRIS療法の継続の可否というと一番根本的な判断から現状分析まで丁寧に話をしました。


採血検査結果から読み取れる数値と、その数値の背景にあるメカニズムについて教えてもらえると日常生活の中での副作用との因果関係を立体的につかめるようになります。


私の場合、短期間で現れる副作用のほかに、長い目で見ていかないといけない副作用がいくつもあります。

たとえば、貧血や糖尿病があり、その背景として増血機能や腎機能と腫瘍マーカーから読み取れる腫瘍そのものの活動との因果関係を捉えていく必要があります。


今日の主治医からの説明でなるほどと思って、質問をたくさんした結果、とても勉強になったのは糖尿病の評価に使われるHbA1cのメカニズム。


「抗がん剤治療中は、HbA1cの値は小さめに出ます」

という主治医のひとことに疑問を覚えて、つい質問をはさみました。

そうしたら、さすが大学の先生ですね。講義モードになって丁寧な回答をしてくれました。


ここから「講義ノート」風にまとめると、次のような感じになります。


HbA1cは「過去1〜2か月の平均血糖」を反映すると言われますが、その前提には

「赤血球が約120日生存する」

という条件があります。


ところが抗がん剤治療中は、骨髄抑制のため赤血球の寿命が短くなります。

また、貧血のために若い赤血球が増えます。


そうすると、赤血球が十分に糖化される前に入れ替わるためHbA1cの値は低く表れます。

赤血球の動態は、Hb, RBC, MCVの値から類推することができます。


ヤギさんの今回の採血検査結果を見てもらうと、Hb改善、RBC改善、MCV上昇となっていることがこの判断を裏付けます。


この場合、HbA1cではなく、血糖値変化そのものとGA(グリコアルブミン)の値が参考になります。

特にGAは、赤血球の過去2〜3週間の血糖を反映しますので、赤血球寿命の影響を受けません。


こうした観点から、ヤギさんのこれまでの採血検査結果の値を並べてみると、GAの値はほぼ横ばいですので糖尿病については改善したとは判断しないことになります。



はい、とってもよくわかりました、先生!


ノートをとりながら、すっかり私は学生モードになってました。


こんな風に、細かな指標ひとつひとつを評価して、

「IRIS療法を継続しましょう」

と結論づけました。


ちなみに、これ以外もたくさん質問をしました。

ビールなどアルコール摂取についても、質問を聞いた主治医先生は再度、画面にこれまでの検査結果を並べてリスク評価を丁寧にしてくれました。

アルコール摂取についての主治医の意見は、

「大きなリスクはない。危険があるとすると、タリージェなど眠気やふらつきを生じる薬の影響が正しくわからなくなること」

とのことでした。


今後、どれくらい治療が有効かはわからないのですが、こうやって丁寧な治療成績評価を受けながらですのでもう少し頑張っていけそうな気がしました。