がんの転移再発のため腫瘍内科に移って最初に実施した検査は、遺伝子パネル検査でした。
検査と言っても検体自体は手術の際に取っていたものを使えたので、患者である私のしたことは、申込書にサインをするだけ。
でも、そのあと私の検体は海を渡ってアメリカで次世代シーケンサーにかけて検査して、所要時間1ヶ月以上。その検査結果を受けてレポートが送り返されてくる仕組みです。
そのレポートは当然英語のものですが、そのレポートを日本語にした患者向け検査報告書と合わせて手渡されます。
今週は3ヶ月が過ぎたタイミングで造影剤CT検査をしたこともあり、それらの結果を総合して伝えられるための診察日が設定されました。
つまり、「ご家族も同席してくださいね。」という少し長めの診察時間も確保された家族含めた面談日です。
妻にも休みを取ってもらって、午後に設定されたその検査結果説明に向かいました。
大学病院腫瘍内科の診察室エリアの午後の時間帯は、とても静かで待っている患者の数はそれほど多くありません。でも、どの患者も家族同伴でいることからその時間帯は家族との面談に当てられるいるようであることがわかります。
面談室の中からも、具体的な話の内容までは聞き取れないものの、家族の複数と医師が時には激しいやり取りをしているような声も聞こえてきます。
大学病院というところは難しいか珍しい症例の患者が集められていることもあり、「やってみないとわからない」ような治療も多いんだろうなと思ったりもします。
そんな待合室にいるのは正直気が重たいのですが、妻とは面談後には遅い昼食をどこで食べようか?なんてことを話しながら気を紛らわせていました。
そんなこんなで、予約時間からずいぶん待たされた後に、面談室に呼ばれました。
私を担当してくれている主治医先生はとても忙しい(おそらくは人気のある)医師だということがそろそろ分かってきたので待つのは苦痛ではありませんし、ひとりひとりの患者に対しての説明は懇切丁寧にしてくれるので待たされた理由も前の患者さんへの説明が丁寧だったんだろうなと納得しています。
さて、そんな感じで通された面談室。
結論から言うと、がん遺伝子の分析結果から有効な治験は現時点ではありませんでした。
ないものは仕方ないので、これはこれで納得。
どの遺伝子が壊れて、がんになったのかということを説明してもらえました。私の場合、壊れたのは2箇所。
その2箇所のうち1箇所はとても難しい箇所である一方、もう1箇所に対しては治療の試みはされているとのレポートが付されていました。つまり、治験は開始されています。
日本国内でも1年前だかに、治験が実施されたことがあるというようなことも説明されました。
なるほど。
でも、いま現在、募集されている治験はないということが説明されて、結論は「有効な治験は現在ありません」ということです。
納得するしかありません。
遺伝子パネル検査で何か治療法が見つかればと期待していた分、ふっと力が抜けた気がしました。
その後、抗がん剤治療3ヶ月を経た時点での造影剤CTの結果からは、がんの進行は見られないとの説明書を受けました。
抗がん剤治療に「たぶん、効果があると考えて良いのではないか?」ということです。
副作用のきついのを我慢していることには、少しは意味があったのは嬉しいことです。
ということで、このまま継続してさらに効果をみていくことになりました。
4クールだとするとクリスマスまで。6クールだとすると、ひな祭りの頃まで継続かなぁ。
付き添ってくれた妻も、わたしの主治医への質問あれこれ。丁寧な答えをもらって、納得したようです。
とにかく、遺伝子パネル検査結果が終わったという、またひとつの区切りかなぁ。
妻からは、「気持ちを切り替えて、まずは、美味しいものを食べに行きましょう」と大学病院をあとにしました。