僕と写真と世界平和
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >> まだ内緒にしてるけど
赤い糸のあっち側が
あなたの望む何かに
ちゃんと繋がってる
そんな夢を見たよ
河原を散歩をしていたら
ほぼ黒ずくめの男が
身体に似合わない
小さなテーブルに
腰掛けていました
考え事でもしているのか
上半身がゆらゆらと
揺れていたので
答えが導き出される前に
こっそりと写真に収めました
北風からの便りによると
最近冷え込んだせいか
太陽も風邪を引いたらしく
いつもより体温が高いみたい
「なるほど」と
空が燃えてしまっている事に
妙に納得しながら
恐る恐る
かなり遠くから
写真に収めました
ある日の夕暮れ
散歩をしていたら
軍手やらゴム手袋が
多数棒に刺してあった
その光景はまるで
「哀願する民衆」
と題を付けたくなるような
ルネサンス絵画の様だったので
世界が闇に飲み込まれる前に
写真に収めました
廃墟の窓硝子の向こう側に
紅色に染まった葉っぱが
閉じ込められていました
時間の停まった建物が
特別な時間を出来るだけ
留めようとしている姿が
いじらしく感じたので
全てが枯れてしまう前に
写真に収めました
寄せては返す波に揉まれて
誰かが落とした赤い毛糸が
ぐちゃぐちゃになっていました
他人事とは思えなくて
解いてあげようとしましたが
悪化してしまいそうだったので
この状況を少しでも
留めてあげられたらと思い
写真に収めました
下水管から放出された
汚れている水が
黄金色の夕日に照らされて
まるでガラス細工みたいに
キラキラしていました
もう二度と出会えない
この名も無き名作を
記憶と一緒に
写真に収めました
もっと上から飛んだら
もっと遠くまで行ける
もっともっと上から飛んだら
もっともっと遠くまで行ける
もっともっともっと上から飛んだら
もっともっともっと遠くまで行ける
もっともっともっともっと・・・
そんな彼を見守り続けたら
夕方になってしまったので
日が暮れてしまう前に
写真に収めました
流されて、漂って
流されて、漂って
根を張って大事に芽を育てる
なんて余裕は無いけれど
それでもまだ藻掻きたい
そんな彼の思いが
波音に消されてしまう前に
写真に収めました
扇風機が男性ならば
サーキュレーターは女性
だからって訳じゃないけど
別れを惜しみつつ
再会を約束した後で
写真に収めました
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