Dちゃんは、それとなくMさんの部屋へ行って、
「大丈夫、いまは、きみのところの原稿を書いている」と教えてくれた。
彼の本名は知らなかったが、みんながDちゃんDちゃんというので、
ぼくもDちゃんと呼んでいた。

最初に行ったときは、ちょうど春闘のまっさいちゅうで、ストライキが何日間もつづき、組合は出張拒否、残業拒否の指令を出していた。
こんな指令は、雑誌編集部だけをしめつけるものだった。