府中市美術館で現在行われている江戸絵画の企画展「リアル 最大の奇抜」に行ってきた。府中市美術館では、江戸時代の絵画を題材とした企画展を毎年春に開催していて、いつもそれを心待ちにしている。もともと江戸時代の絵画については何の知識も無かったし、今もほとんどゼロに等しいんだけど、ここの企画展に関しては、とにかく展示の仕方が親切。初めて江戸絵画に触れる人にも楽しめる切り口を提示していて、各章ごとの説明や作品の解説を読みながら作品を順に見ていくと、誰でも作品の楽しみ方が分かるように工夫されている。また、それらの文章が可能な限り平易な表現で書かれているのも、お客さんへの配慮が感じられてとても素晴らしい。
今年の企画展も、テーマも展示されている作品も本当に楽しかった。ただ、とても残念だったのは、せっかく美術館(学芸員)が作品の楽しみ方を提示しているにも関わらず、各種の説明を全く読まず、作品を足早に眺めていくお客さんがとても多いことだ。これでは、作品の持つ魅力が理解できなかったり、ほとんど何も印象に残らなくても当然だろう。
なにか物事を楽しもうとするとき、その作品に関する情報を得ることは、作品そのものに触れる事と同じか、場合によってはそれ以上に大切な事だと思う。それはヒップホップにも当てはまる。作品やアーティストに関する様々な情報、例えば作品がリリースされた年代、アーティストの出身地、どんなプロデューサーを起用しているのか、あるいはリリックはどんな内容について書いているのか、など。そして、そのような知識の積み重ねによって、作品の中から様々な文脈を読み取り、新たな面白さや魅力を発見することが出来ると思う。
アーティストにとっても、そのような考え方は重要だ。強調するしないに関わらず、何かしらのテーマや文脈が感じられるライブ・パフォーマンスは、やはりかっこいいと思うし、DJについても、プレイする楽曲に対する知識があったり、何かしらのメッセージや狙いのある選曲ができるDJのプレイは、例えば同じ曲をかけたとしても深みや説得力が違う。楽曲個々の力に頼るのではなく、それらを繋ぐ文脈をしっかり構築すること。そしてそれを出来る限り多くの人に理解できるような形で提示すること。それが出来るようになれば、さらに魅力的で説得力のあるパフォーマンスや制作が可能になると思う。
府中市美術館での企画展は、まさにそれを体現するような内容だった。それだけに、そこに気付かない、目を向けない人が多かったことが残念でならなかった。
日々の生活において、一見ヒップホップやDJとは無関係に思えるような物事に触れていても、どこかの部分でリンクしていたり、今日のように大いに刺激を受けたり参考になることもある。自分が成長するヒントはいくらでもあることを再認識した1日だった。
Brick Records Mix coming soon !!!
