深夜に録画確認していたら結局最後まで観てしまったこれ。公開時には劇場で観たけど、今の方が染みたなあ(笑)
ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場(1986年)HEARTBREAK RIDGE
製作・監督:クリント・イーストウッド 製作総指揮:フリッツ・メインズ
脚本:ジェームズ・カラバトソス 撮影:ジャック・N・グリーン プロダクションデザイン:エドワード・C・カーファグノ 編集:ジョエル・コックス 舞台装置:ロバート・R・ベントン 音楽:レニー・ニーハウス
出演:クリント・イーストウッド、マーシャ・メイソン、マリオ・ヴァン・ピーブルズ、エヴェレット・マッギル、モーゼス・ガン、アイリーン・ヘッカート、ボー・スヴェンソン、ボイド・ゲインズ、アーレン・ディーン・スナイダー、ヴィンセント・アイリザリー、ラモン・フランコ、トム・ヴィラード、マイク・ゴメス、ロドニー・ヒル、ピーター・コッチ、リチャード・ヴェンチャー、ピーター・ジェイソン、J・C・クイン、ベゴニア・プラザ、ジョン・ホステッター
想えばブログを開始してからイーストウッドのことをとことん書いたことがなかったな。
何度も記しているが、大好きなマカロニ・ウエスタンの入り口が「荒野の用心棒」だったわけで、当然主役の“名無し”を演じたクリント・イーストウッドは、当時ブルース・リーを別格として、マックィーンやアル・パチーノ以上に俺の大好きな俳優の筆頭であり、初めて「カッコいい!」と思った外国人男優だったのだ。芳賀書店の写真集まで買って大切にしていたものだったなあ(笑)。
その後初めてスクリーンで彼を見たのは76年の「アウトロー」だった。期待していた「復讐の大銃撃戦」ではなく疑似家族のように増えていく仲間の中心にいたイーストウッドの姿が頼もしかった。翌年には「ダーティハリー3」を観たが、こらも期待していた大アクションより、女刑事のタイン・デイリーとのバディものとして楽しめた。
その後も「ガントレット」や「ブロンコ・ビリー」など、イーストウッドのいつも苦虫を潰したような顔をスクリーンで観れる喜びに浸りつつも、毎回見る前の期待と違った方向で大好きなるのがイーストウッドの映画だった。
80年代までは公開作はほぼ劇場で観たし、「ダーティハリー」の1と2や「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」は名画座まで追いかけてスクリーンで観たものだった。「恐怖のメロディ」「マンハッタン無宿」や「奴らを高く吊るせ!」「真昼の死闘」「シノーラ」「荒野のストレンジャー」などの西部劇も当時テレビで放映するたびに山田康夫の吹替を堪能したものだった。
これらの映画はその後BS放送で懐かしく再見したりしていたが、そう、あの頃観たイーストウッドは常に俺の先を歩き「こうありたい男」を演じ続けていた。
87年だから、かみさんと結婚する前年に2人で観たこの映画は当時は普通に楽しんだのだった。
前の部署で酔って警察とトラブルを起こし、古巣の海兵隊部隊に配属された昔気質の古参の鬼軍曹ハイウェー。
マリオ・ヴァン・ピーブルズ他のクセ者ぞろいのリーコン(偵察小隊)の若い兵士連中を問答無用でシゴキあげるため、煙たがれ最初は敵意を抱かれる。
着ているTシャツが俺と同じじゃないと脱がされてランニングさせられるリーコンの面々。とにかくしごかれる(笑)。しかし「本当の戦場で生き残る術」を叩き込もうとするハイウェーのやり方は、机上の論理と上への評価を気にしてばかりの若い大隊長と常にぶつかる。
ほんと再見しても嫌な奴だったな(笑)
彼と彼にすり寄るエリート小隊に対し、徹底的に「現場主義」で反抗するハイウェーの気骨に、偵察小隊の落ちこぼれどもが感化され、次第に連帯感が生まれる様は今観てもやはり気持ち良かった。
朝鮮戦争・ベトナム戦争に従軍して、たった3人しか生き残らなかった「ハートブレイク・リッジ」の戦いを生き抜き、名誉勲章の受勲者ながら「0勝1敗1分」と揶揄されるハイウェー。
ケンカも強く、口が悪くて警官や上官にも悪態をつきまくって評価を下げているのだが、自分がやってきたことに自信があるから全然媚びへつらうこともない。
部下が困っていれば身銭を切って助けてやるなんてとにかくカッコいいのだ。
それでいて別れたかみさんには未練たっぷりながら、根っから不器用で女性の気持ちを汲むのが苦手なんで全然うまくいかないのも笑わせてくれる(笑)。特別美人じゃないマーシャ・メイスンが元妻。これまたいいんだよな。
実戦経験のない彼らに出撃命令が下ってのクライマックスのグレナダ侵攻シーンは「プライベート・ライアン」や「ブラックホーク・ダウン」を観てしまった今では、正直物足りなさというか、緊迫感が乏しいのは否めない。
ただこの映画は所謂「戦争映画」ではないのだ。ましてや戦意高揚映画でもない。
昔気質の男の生き方を肯定して見せたドラマだと思えばこのクライマックスはおまけのようなものなのだ(笑)
「実際に現場で戦い生き抜いた」彼の言葉に、「臨機応変」でルールをものともせず最善を尽くす彼の行動に、偵察小隊の若い兵士たちも感化され、ただの頭でっかちと思いきや、骨っぽいところを見せる眼鏡の小隊長も含め「意地」を見せてくる。
最後には「本当の戦場を知る」上官にしっかり評価され、出世ばかり気にしてハイウェイを目の敵にしていた無能な大隊長が左遷されるオチがあるのも痛快だ。
昔のように動かなくとも、その矜持はいささかもぶれない。カッコよく老けたイーストウッドが、若い兵士たちを背中で引っ張る姿が昔観た時以上に響いたなあ。
87年の公開当時はスタローンやシュワルツネッガーのド派手なアクション映画が台頭し、イーストウッドやバート・レイノルズなど、俺が映画を観だした時の「アクション俳優」は初老の域に達していた。
あの当時でもあまり動かない(最後は撃たれて死んだと思うくらい(笑))の彼に「イーストウッドも老けたなあ」と想ったのも事実だが、公開当時のイーストウッドは57歳。ありゃ今の俺とほぼ一緒だわいな(笑)。
この時すでに「過去の遺物」や「全盛期を過ぎた男」を演じつつ、俳優としても監督としてもその後全盛期を迎え、ついに映画人として最高峰のアカデミーを獲るのはまだ少し先ってのも思えば凄いものだ。
恐らく映画人としてのイーストウッドの背中を見て、マリオ・ヴァン・ピープルズなどは映画の中と同じように色んなことを教えられたのだと思う。余談だが最近は俳優としても監督としてもテレビで活躍しているピープルズの監督・主演の「黒豹のバラード」など、また観たくなってしまったよ。
うむ、今観てもやはりイーストウッドにはいつまでも「先を歩いていてほしい」と思うのだ。
負け戦の無念を胸に秘め、出来ることを全力でやる。何という頑固さ。何というカッコ良さ。
全然叶わないけど真似したくなる魅力に満ち溢れていた。
今でも、いや、今だからこそ彼の姿が刺激になったのかな?(笑)。そんなことを考えさせられた男イーストウッドの魅力満載の一本だった。未見の方は是非!








