下の娘の6月からの異動転勤が決まり、せっかくの家族勢揃いも2ヶ月足らずで終了が確定したところに、先週プレゼンした案件が金曜に敗退の知らせ。
なんだかなあの気分のところに持ち帰りの仕事もあり、土日ともちょいちょいと仕事していたのだが、無事いつものペースに戻った映画秘宝の新刊を読み、以前書きかけたまま消えてしまったと思っていたブログ記事もいくつも見つけたので、仕事漬けの土日を払拭すべくアップであります(笑)。
スガラムルディの魔女(2013年)
LAS BRUJAS DE ZUGARRAMURDI/英題:WITCHING AND BITCHING
監督・脚本 : アレックス・デ・ラ・イグレシア 製作:エンリケ・セレッソ 脚本:ホルヘ・ゲリカエチェバァリア 撮影:キコ・デ・ラ・リカ 衣装:パコ・デルガド 編集:パブロ・ブランコ 音楽:ジョアン・バレント
出演:ウーゴ・シルバ、マリオ・カサス、ハイメ:オルドニェス、ガブリエル・デルガド、カルメン・マウラ、テレーレ・パベス、カロリーナ・バング、マカレナ・ゴメス
数ヶ月前にアパートでGYAO!で鑑賞。何気に見始めた冒頭、キリストやトイストーリーに出ていたような緑の兵士、スポンジボブに透明人間などの扮装をした強盗団と子どもが宝石店を襲う。
何人かが撃たれたりするが、キリストの扮装をした主犯のホセとその息子のセルジオ、そして緑の兵士のトニーは通りがかりのタクシーをジャック。巻き込まれた客も含めて何とか現場から逃走するまでのテンポが良くて見入ってしまった。
実はホセは離婚したばかり。強盗に息子のセルジオも連れて行って実行したので(笑)、警察からそれを知らされた元奥さんは激高。
あのクズ野郎!とホセたちを猛然と追撃。当然、警察も追ってくるという笑える展開なのだ。
必死で逃げるホセたち一同はフランスの国境を目指すが、国境の近くにはスカラムルディという村があって、なんとそこは恐ろしい魔女の村だったのだ!
強盗した連中が、妖魔と出会うというと、ロバート・ロドリゲスの「フロム・ダスク・ティル・ドーン」を思い出す。あちらは前半はクライムアクション、後半はホラーとはっきり分かれていたが、こにらはのっけから笑えるコメディ仕立て。
そもそも強盗にいくのに息子を連れていく時点でホセがダメ男だとすぐわかるのだが、相棒となる単純なトニーも憎めないけどやはりアホ(笑)。
巻き込まれたタクシー運転手マヌエルなどは同情すべき連中なんだが、酷い扱いをされればされるほど笑えるキャラだし。
刑事たちも相棒が自分を下に見るのが気にくわなくて文句言いあっている二人組と、揃いも揃ってダメ男ばっかりなのがいいんだ(笑)。
この情けない男どもに、色っぽい娘、恐い母親、そしてほとんど人とは言えない祖母と、三代の魔女が関わるのに加え、えらい剣幕で追っかけてくる元妻がいるんで、自然と話は「男はアホ、女は強い」というしっかりとした軸を持ったわかりやすい展開になっているのである(笑)。
教育費も裁判もうんざりだ!と強盗したはずが、元妻の更なる怒りを買って追いかけられているのに、魔女のきれいなおねーちゃんについ惹かれてしまうバカなホセ。
まあ、こんなの見ちゃったら無理もないか(笑)。ホウキの使い方がエロいんだ(笑)
「女は悪魔だ。夢中にさせるだけさせといて、ポイッと捨てるか、つきまとうか」
「女は自分が優位に立っていると知ったら容赦ない」
などなど、まあラテンの血がまったく混じっていない自分でも、ついうなづけるセリフが多いのがまたなんとも(笑)。
女性が観たらあまりにアホな男どもに笑いが止まらないだろうが、男にしてみたら、笑いながらも身につまされることが多い一本なのである(笑)。
コメディ仕立てだとは言え、そこそこホラー風味も交えている。
いかにも魔女っぽい空中浮遊とか、壁面に張り付いて壁を伝い歩いたりとかの動きもきちんと見せてくれるのはOK。ハリーポッター的な呪文を唱えての魔法ではなくて、悪魔的な魔女っていうのは個人的には大いに好みなのだ。
ホセたちは結局はとっ捕まえられ、魔女の集会の餌食になるところだったのだが何とか逃げ出し、
加えて魔女の娘(この通り色っぽいけど凶暴なパンクスみたいなルックス)のエバが、本来は生贄になるはずのホセに惚れちゃったもんだから、ややこしいというか、すったもんだの展開になる(笑)。
最後には魔女のサバト大集会に、肉のマシュマロマン的親玉まで出てきてひゃあひゃあ言っているうちに大団円となる、スパニッシュ・ジェットコースタームービーなのであった(笑)。
笑いあり、ホラーあり、テンポ良し。
男は馬鹿で
女は怖い(笑)
かみさんと2人の娘に囲まれて暮らしているとつくづくそう思う(笑)。
監督のアレックス・デ・ラ・イグレシア作品はこれが初見だと思うが、お腹一杯になる飽きさせない一編であるのは間違いなしなんで、良かったらどーぞ。