インクレディブル・ハルク | B級パラダイス

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昨日は相棒パワーアップの間にまたもやGYAOで観ていなかったこいつを鑑賞。


インクレディブル・ハルク 2008年)  

The Incredible Hulk 


監督:ルイ・レテリエ 製作 : アヴィ・アラッド、ゲイル・アン・ハート、ケヴィン・ファイギ

原作:ジャック・カービー、スタン・リー   原案・脚本:ザック・ペン   編集:ジョン・ライト、リック・シェイン、ヴァンサン・タベロン   音楽 : クレイグ・アームストロング


出演:エドワード・ノートン、リヴ・タイラー、ティム・ロス、ティム・ブレイク・ネルソン、タイ・バーレル、ウィリアム・ハート、ルー・フェリグノ、ヒクソン・グレイシー


評判が悪いと聞いたアン・リー監督2003年版は未見。緑のでっかいのが暴れるだけってのもなあと、怪獣好きなくせにスルーしていたが、思えばこのハルク、前作をリブートしてのマーベル映画、MCUの第2弾だったんだよなあ。


冒頭からニック・フューリーの名前が出てきたり、メールの追跡にS.H.I.E.L.D.のシステムが出てきたり、ウィリアム・ハート演じる悪役というか黒幕のサディアス“サンダーボルト”・ロス将軍 が大戦中にキャプテン・アメリカを生んだ超人兵士計画を再開させた張本人だったりと、今見ると接点や伏線がいっぱい。


ただ、主役のエドワード・ノートン、ノンクレジットながら脚本まで書いたりと入れ込んでいたのに、この一作だけで「アベンジャーズ」製作時に契約せず、以降はハルクはマーク・ラファロが演じることになっているのが大きな違い。

自分はラファロの方が馴染みがあるものの、「悩める逃亡者」で、一見ひ弱なノートンのバナー=ハルクも、変身後のギャップと、ポスターなどのキービジュアルでも顕れている「望んでいなかった運命を背負う深刻な哀しさ」を漂わせていてなかなか良かったと思う。


ただ、マーク・ラファロの方が「気弱感」と「ユーモア」では軍配上がるし、彼でなければ「エンドゲーム」での、ハルクの凶暴さを理性で抑えて、あの姿のままで話し、笑う、ちょいお茶目なハルクはできなかったろうから、やはり交代は正解だったんだろうな。


さて、本作。話としては「そうなっちゃった」くだりはオープニングでチャッチャッと説明、「軍の機密事項」を持ったままブラジルに逃亡したバナーが、自らの変身に怯えながら何とか対処(ヒクソン・グレイシーが「怒りを抑える呼吸法」を伝授するインストラクターで出てきてビックリ)しているところに、居所を知られ急襲され、久々に「肉体変化」してしまうところまで、サクサクと進んでいく。

この「デカイ何か」感が、なかなかニクい演出で暗がりの工場内での閉塞感いっぱいの一戦、掴みはOKてな感じなのだ。


その後、当時のデータを求めてメキシコからアメリカに戻り、将軍の娘にして元恋人のベティ・ロス(リヴ・タイラー)との再会とまたもやの急襲&変身。

今度は真昼間に大学キャンパスの広い芝生での激戦。ブラジルシークエンスと対照的で、潰した車両を得物に、凶暴さのみならずベティを、大切なものを守るハルクの姿が描かれているのがまたいいのだ。

こうして何とかベティと共に逃亡。嵐の夜に逃げ込んだ山の洞窟で休むハルクとベティ。雷に苛立って岩を投げちゃうハルクをなだめるベティの姿はキングコングとアンのようで微笑ましい(笑)。


一方、この2度のバナー確保チャンスを逃したロシア出身の傭兵エミル・ブロンスキーが将軍と共に執拗に追い続けるのが、狂ってて良いのだな。

特にティム・ロスの演じる、力に飢え戦いにしか生甲斐を見出せないブロンスキーが、ハルク同様の力を持ちたがり、陸軍の秘密血清で超人的な力を得て確保に挑む大学での2戦目は大迫力だった。


そしてハルクであるバナーを理解したベティの協力を得て、2人はバナーがブラジル隠遁生活時からコンタクトを取っていた相手、ミスターブルーことスターンズ博士に何とか行き着き、解毒実験の結果、ブルースは元の姿に戻ることができるのだが、またもやここで襲われついに確保される。


ブロンスキー、さらなる強さを求め、ここでスターンズ博士を脅迫してハルク血清を追加したら前の血清とチャンポンしたせいか怪物化(笑)。最終ヴィラン、アボミネーション として暴れまくるのだ。

この暴れ具合も最高ながら、バナーが「狙いは俺だろう」と、これまでと違って自ら進んでハルクとなって挑むラストのサンダ対ガイラ風はた迷惑な大バトルまで、とにかく話が停滞することなく、またしっかりと登場人物の行動原理も描かれていて一気に観れたのだった。


MCU恒例エンドクレジットの終わりには「超人兵士」作りに失敗してやけ酒飲んでる将軍にトニー・スタークが接触してきて「おお、なるほど!」の仕舞い方。


他にもテレビシリーズのハルクを演じたルー・フェリグノがゲスト出演していたんで、思わずニンマリ。

テンポ良くバナーハルク化の背景を説明するオープニングも、調べたらテレビアニメのオープニングに近いらしく、こういう製作側のリスペクトも好きなんだよな。


この時点で「アベンジャーズ」構想はもうあったのだろうが、それから更に沢山のヒーロー単体映画ができて、「アベンジャーズ」として「エンドゲーム」まで行きつくとは。いやはや、最初に考えた奴は偉いよ(笑)。


自分は「エイジ・オブ・ウルトロン」まで劇場で観たことなかったし、それを観るために「アベンジャーズ」のテレビ放映の後、慌てて「ウインター・ソルジャー」借りてきて観たくらいで、アイアンマンもシリーズ全部テレビ放映でしか観てないんだよな(笑)。


「エンドゲーム」の仕事ぶりに敬意を評しながらこうして最初の方からもう一度見直すのもいいかもと思えた面白い一本でした!