キングコング:髑髏島の巨神 | B級パラダイス

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健康優良不良中年が、映画、音楽、読書他好きなことを気まぐれに狭く深くいい加減に語り倒すブログであります。

うわー、3月ももう終わるってのに郡山は未明からの雪が降り止まず、久々積もってしまったよ。


今月はプレゼンにつぐプレゼン、先月獲得した仕事であわあわしているうちに、もう今年度も終わっちまうなあ。昨年末に書き逃した映画記事も含めて年度末までには書いておこうと思ったけどPCの故障が筆不精に拍車をかけてしまって、溜まる一方だわいな(笑)。


これはいかん。ぐうたら加減が加速している今こそ書かねば(笑)と一念発起、まずは土曜に走って観に行ったこいつをば!

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キングコング:髑髏島の巨神  (2017)

KONG: SKULL ISLAND

 

監督:ジョーダン・ヴォート=ロバーツ  製作:トーマス・タル、メアリー・ペアレント、ジョン・ジャシュニ、アレックス・ガルシア  製作総指揮: エリック・マクレオド、エドワード・チェン  原案:ジョン・ゲイティンズ、ダン・ギルロイ  脚本:ダン・ギルロイ、マックス・ボレンスタイン  撮影:ラリー・フォン プロダクションデザイン:シュテファン・デシャント 衣装デザイン: メアリー・フォークト 編集:リチャード・ピアソン  音楽:ヘンリー・ジャックマン

出演:トム・ヒドルストン、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・グッドマン、ブリー・ラーソン、ジン・ティエン、トビー・ケベル、ジョン・オーティス、コーリー・ホーキンズ、ジェイソン・ミッチェル、シェー・ウィガム、トーマス・マン。テリー・ノタリー、ジョン・C・ライリー、MIYAVI


いやあ、最高!期待以上に面白かった!

個人的には「怪獣は都市を破壊してなんぼ」というこだわりがあり、秘境での怪獣ものってのは昔からそれほど入れ込まなかったけどこいつは別格!


「キングコング」は33年のオリジナルや76年のギラーミン版、DVDも買って昨年レビューしたピージャク版もそれぞれ好きだし、秘境でコングに遭遇!捕まえて都会に連れてって金儲けのはずがコング脱走!惚れた女捕まえたけどビルに昇って退治されちまった(涙)…というストーリーも嫌いじゃない。


けど怪獣大好き50年の俺としては、正直33年オリジナルでも05年ピージャク版でも、本当に好きなのは前半のコングを捕まえるまで。即ち髑髏島に跋扈する巨大昆虫の類に人間が襲われたりコングとT-Rex他の恐竜とのバトルなどの「怪獣」部分なわけで(笑)。

それが今回は髑髏島に着いてからは一歩もそこを出ないという潔さ(笑)。おまけに今回のコングは女の色香に迷わないってのがいいわな。その辺りの「美女と野獣」的ロマンスが強調されたピージャク版も嫌いじゃないんだけどね(笑)。


そう、ピージャク版はコングがあまりに「ただのデカいゴリラ」ってのが不満だったのだが、今回のコングは、かつての東宝版コングみたいな人間に近い頭身=ただのゴリラじゃない感=猿人型モンスター感が強いのもポイントが高いのだ。髑髏島の生態系を守る、正に神の如き立ち姿もいいのだ。ただ暴れまわるだけじゃない、畏怖の対象であるところのコングの存在・性格付けも、さり気なく描写しているのも好感を持てたな。


とにかくその身体能力と他の怪獣より脳味噌が多いことがわかるクレバーさに、怒りの感情が露わになるファイトスタイルは、今までのどのコング映画より入れ込むことができたなあ。

同じレジェンダリー映画の「パシフィック・リム」でも、香港シークエンスでイェーガーが貨物船がなんかを得物にして怪獣に立ち向かうシーンで燃えたんだが(笑)、今回コングは鎖&スクリューを得物にするってのが最高だった。中国資本が入っているんで、カンフー映画みたいに首に巻きつけ、ビュンビュン振り回すアクロバティックな動きをしたらどうしようか…と一瞬心配になったが杞憂に終わって良かったよ(笑)。


このバトル相手の二本足の巨大トカゲ「スカル・クローラー」という悪役がいいんだよな。平成ガメラのギャオスの如き本能だけで生きてる意地汚さに、愛嬌皆無の表情の無い面構え、恐竜や現存の生物とは明らかに違う奇形的なそのフォルムは、まさに「怪獣」。

人間にとっては捕食者としての脅威、コングにとっては「親の仇」ってのも加わって「何が何でも倒した方がいい」感満載で最高だった。


監督のジョーダン・ヴォート=ロバーツが映画オタク、日本のアニメなども好きらしい影響がそこここに見えるのも楽しかった。監督自ら語っていたが「地獄の黙示録」のフォーマットってのは意表を突いてた。主人公の名前は原作者の「コンラッド」だしね。アメリカ版ポスターはモロじゃん(笑)

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こっちは「地獄の黙示録」ね
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ベトナム戦争の70年代が舞台ってのも作劇的にも正解だ。ヘリコプターからはサバスの「パラノイド」ってのも気に入ったぞ。

これにエヴァンゲリオンや宮崎駿から食人族(笑)、加えてお決まりのセリフを最後まで言わせてもらえないサミュエル・L・ジャクソン(笑)とか、もう映画的記憶に満ち溢れているのが嬉しい一本でもあるのだ。


とにかく人間側のサバイバルに絡む怪獣の多さ、そして怪獣バトルのつるべ打ちで、まったく飽きない2時間、かつての怪獣少年のおっさんには、もうニコニコするしかない一本だったのだ。こんなリブートならいくらでも大歓迎だぜ。


実は事前情報シャットアウトしてたんで、ギャレス版「GODZILLA ゴジラ」を手がけたレジェンダリー・ピクチャーズ製作と聞いて「片っ端から怪獣ものリメイクするんだなあ…」くらいにしか思っていなかったのに「モナーク」が出てきたり「原爆実験は「何か」を倒すためだった…」なんて、何とあのGODZILLA」としっかり話が繋がってるとは知らなくてビックリしてたのに、エンドクレジットのそのまた先に、マーベル映画みたいに「次の予告」が入っていてのけぞりましたな(笑)。

今後もそれぞれの映画が独立しながらもリンクした「モンスター・バース」の世界観の中での一本になるとのこと。どうやら東京オリンピックの年には、東宝では引き分けに終わった「あの一戦」がまた行われるというのも嬉しい限りではないか!

願わくば唯一気になったまったく居なくても構わない中国女優のキャスティングのように、資本に物を言わせて「変に気になる」作劇にならないことを祈りつつ、まずは次の「3大怪獣」の参戦に期待を馳せようではないか!(笑)