実は自分は知る人ぞ知る必殺シリーズのマニア。好きなのは「仕事人」以前の初期必殺ではあるのだが、それでもジャニーズの面々が仕事人になった2007年のスペシャルからこっち、2009年の久々のテレビシリーズはかなり楽しみ、過去何度も記事を書いていたりするのだ。
とは言え必殺シリーズの代名詞であった中村主水を演じた藤田まことが亡くなってからの年1回のスペシャルは逃さず観ていたものの、もはや必殺マニアの性というか半分「義務感」であったことは否めなかった。
昨年の「必殺仕事人2015」は、「時代劇大御所俳優が悪役を演じました!」という話題以上に観るべきものも乏しかった前年までのスペシャルよりは、遠藤憲一演ずる無頼の仕事人「瓦家の陣八郎」が魅力的でましだったとは言え、「まあ、こんなもんかな」という出来であった。
そんな中の9月25日に放映していた「必殺仕事人2016」。結論から言えば「燃えた!」(笑)
前作に登場した遠藤憲一の陣八郎は思ったより存在感が薄かったがそれが気にならないくらい話がハードだったんだよなあ。
東山紀之演ずる主人公、渡辺小五郎の奉行所の同僚、結城新之助(田口浩正)。彼はスペシャルになってからずーっと渡辺の表仕事の同僚としてレギュラー出演していて、渡辺のマイペースに翻弄されるコメディリリーフでもあったし、子どものいない渡辺家に対し11人の子沢山という設定も活きていたのだが、その人の良い彼がよもやの被害者になるというハードな展開にはビックリだったのだ。
そして特筆すべきは魅力的な悪役陣!結城の幼馴染なのに平気で手をかける鬼頭進之助の寺島進、欲に目がくらみその非道に手を貸す奉行所同僚の尾美としのり、下卑た悪党の温水洋一と、どいつもこいつも悪い奴なのだが、中でも最大の悪であるところの監察方番頭役の安田顕が最高だったのだ。結城の真面目さを利用し、彼を嵌めて罪をなすりつける悪辣冷酷さ。最後の渡辺との一騎打ちでも腕に覚えがあるので慌てず騒がずの佇まい、憎々しさは近年の悪役の中でもピカイチだったな。
まさかの人物が被害者となり、その悔しさ、無念を久々共有できた気がする。やっぱこれですよ。これがないと仕事の応援が出来ないからねえ。毎回スペシャルは脚本 寺田敏雄、監督 石原興でやっているけど今回は「当たり」だったな。
東山紀之の渡辺小五郎の鬼の形相は結構好きで、藤田まこととはまた違った昼行燈の凄腕仕事人として俺は認めるぞ。
まあ、少女たちにきれいな着物で絵師のモデルになれると嵌めて食い物にするなんていう、相変わらず中途半端な現代風俗をなぞったような設定はもうちょっと何とかできなかったかなあ、という不満はあるけどねえ。
あと陣八郎の殺しにもう少し荒々しさが欲しいとか、前から言っているが経師屋の涼次(松岡昌宏)の殺しの衣裳が派手すぎて嫌いだ!とか(笑)、何より、以前2009で関ジャニの大倉君がやってた源太を劣化してなぞったような「殺しのルーキー」ポジションの知念なんとかがやっている「リュウ」がいらん!とか文句はいっぱいあるなやっぱり(笑)。
ちなみにこいつは寺島進を仕留めようとして上手くいかず、涼次がそっとフォローしたのに「何で助けてくれないんですか!」とか甘ったれたことを言っていたのがむかついたなあ。甘ったれ具合に仕事人Ⅲからレギュラーだったひかる一平の順之助を思い出したのも大きいのだが、殺しの技と衣裳は「棺桶の錠」譲りなのにまったく迫力が無いのもすこぶる気に食わないのだ。源太の「苦悩」さえ無いのがほんとにむかつくんだよな。ほんといらないから次回はぜひ冒頭の殺しの段階で思いっきり失敗して惨殺されるか、廃人にしちゃってください(笑)。
放映から2週間もたってなんでこんなに必殺のことを書きたくなったかというと、土曜から帰省した実家の街のブックオフで探していた「必殺必中仕事屋稼業」のDVD第3巻を発見して購入できたからなのだ!これで「必殺仕置人」に続いて7巻コンプリートなり!(笑)
郡山の部屋にはこの写真に映っていないBOXで持ってる「必殺仕掛人」の下巻、「助け人走る」の上巻を持ってきているのだが、残りの巻も揃えたいぞ。