イベントも無事終了、なんか観ようかとチョイスしたのは懐かしのこの映画。
幼いころ映画館で観た記憶があるが公開が1967年ってことは封切の時だったんだな。隣町の親戚の家に遊びに行った時に従兄と行ったのを覚えているのだ。その映画館も今はもうないが。
怪獣大好きなガキだったから、きっと遊びに来た俺を喜ばせようと連れて行ってくれたんだろうなあ。
キングコングの逆襲 (1967) KING KONG ESCAPES
監督:本多猪四郎 製作:田中友幸 脚本:馬淵薫 撮影:小泉一 美術:北猛夫 編集:藤井良平 音楽:伊福部昭 アクション:中島春雄(キングコング)特技監督:円谷英二
出演:ローズ・リーズン(声/田口計)、宝田明、リンダ・ミラー(声/山東昭子)、浜美枝、天本英世、沢村いき雄、堺左千夫、田島義文、草川直也、桐野洋雄、黒部進、伊吹徹、鈴木和夫、アンドリュウ・ヒューズ、北竜二、アル・クレーマー
「キングコング対ゴジラ」で得た映画化の権利が切れる前にと製作されたようだが、話は全くつながっていない。ゴジラと同サイズだった前作を考えると、今回は20mと約半分、オリジナルの「キングコング」に近くなっているし、顔もかなり愛嬌ある作り。タイトルの「逆襲」も「悪い奴ら」に向けてなのだな(笑)。
ガキの時見てトラウマ的に覚えていたのがコング対ゴロザウルスの場面。宝田明ら国連調査隊の一行がモンド島でヒロインのスーザンがゴロザウルスに襲われるがコングが助け、スーザンに惚れちゃうシークエンスのきっかけの場面だ。
オリジナルの「キングコング」のティラノサウルスとの戦いへのオマージュのようなんだなあ、と今観ると思うが、カンガルーキックで優勢だったゴロザウルスにマウントポジションとってタコ殴りという野性味溢れる闘いの果てに最期にアゴを裂いて泡吹かせて倒すシーンは、かなり強烈に覚えていたのだった。ああ、でもゴロザウルスはいつ見てもカッコいいのう(笑)。
早々とゴロザウルスを退けて、次なる相手は本当の「悪い奴ら」の手先、メカニコング。思えば平成ゴジラは様々な怪獣がリブートされて、あのモゲラでさえ登場していたけど、こいつだけは出番が無かったなあ。
こいつ実は「採掘作業ロボット」なんだよね(笑)。採掘作業に向いているのかどうなのか微妙な(笑)ユーモラスにも見えるそのフォルムと、メカ故の無機質な佇まいがミスマッチで、感情豊かなコングと対比して不気味さを醸し出すのには成功してたな。
これを作ったのが悪の天才科学者というかマッドサイエンティストのドクター・フー。演ずるは天本英世!
もう彼しかできないね、この役は(笑)。フーマンチューを意識した役名だろうけど神経質ながらカリスマ性をまとってかの「死神博士」を彷彿とさせるその姿。悪人らしい最期までもう最高なのだ。惜しい方を亡くしましたな・・・。
彼にエレメントXを採掘させて核保有国になろうと出資している某国のエージェント「マダム・ピラニア」の浜美枝。
当時はスパイ映画が流行っていたからこんな設定なんだろうけど、その名前に似合わずいやあ、美しい!「黄金の七人」のロッサナ・ポデスタみたいに出てくるたびに衣裳も髪型も変えて登場、ドクター・フーとの腹を探り合うやりとりも含めほんとカッコ良く美しかった。
美しかったと言えばコングも惚れちゃう本編のヒロイン、看護婦スーザンのリンダ・ミラー!なんというキュートさ!可愛い顔にミニスカートでもう最高!
宝田明も長身だがそれと比べても小さくてほんと可愛いのよ。コングでなくとも惚れるわ。宝田明が羨ましかったぞ(笑)
しかしガキの頃観た時には浜美枝も含めまったく覚えていなかったんだよなあ。俺もおっさんになったものだと感慨深いわ(笑)。
写真を拾おうとネット検索してたら、かのホラー映画「アリス・スウィート・アリス」の主役だったんでびっくり、またなんと今年1月にファンの集いで来日していたとのこと。現在は貫録あるお姿でありましたな。見たくなかったけど(笑)。
今観ると、子どもも一切登場しない当時の「大人の鑑賞に耐えうる特撮映画」だったことがよくわかる。まあ今観れば設定や特撮含め突っ込みたくなるところはあるけど、天本英世と浜美枝の存在感がハンパなく、二人の悪の計画遂行ドラマがストーリーを引っ張っていて飽きさせないのだなあ。あとリンダ・ミラーの可愛さもね(笑)
後にウルトラマンになる黒部進の他、堺左千夫や田島義文など東宝特撮常連の顔がフーの手下にいるのがまた嬉しいところ。
王道ゴジラ以外でも東宝特撮の懐の深さを楽しめる一本。48年ぶりでもいいねえ、やっぱり(笑)。