日付が変わってしまったが、今日、日曜は珍しく美術館に行ってきた。
思えば独りで美術館に行くのは初めてだったが、会社の人にチケットをもらったことと
貼られていたポスターの作品の美しさに惹かれて。
行ってきたのは郡山美術館の「舟越保武展」だ。
岩手出身の彼の彫刻やドローイングが展示されていたが
ポスターの図案にもなっている「聖セシリア像」をはじめとする
女性をモチーフの作品の、特にその顔の静謐な美しさは期待以上だった。
(ぜひ「舟越保武」でググッてご覧ください。)
彫刻、と言うより美術全般は素人なんだが
何というか、何かを加えるのでは無く、削りだしていく彫刻って
元に戻すことが出来ない凄い作業だと思う。
自分が中学一年の時、夏休みに友人の家に遊びに行ったら
夏休みの宿題として、彼は翼を広げた鷲かなんかの木の彫刻に挑戦していた。
それが夏休みが終わって彼が提出したのが、サイズが半分ほどになったフクロウ(笑)。
聞けば最初に翼が折れてしまい、翼をたたんだ姿に変えて削っていたのだが
くちばしも折れてしまい、結局フクロウになってしまったとのことで
それを聞いたときは死ぬほど笑ったものだった(笑)。
ギャラリー展示の中で「石の中にある、あるべき姿を探し出していく」
というような意味の舟越保武の言葉があったけど
素人は作ろう作ろうとするのに、イメージしているもののために無駄なものを削って
これだけ美しいものを「探せる」彫刻家ってのは、本当に凄いと思う。
彼は晩年右半身が不随になり。左手で活動を再開するのだが
それまでの優美で静謐な作品とがらりと違う
ごつごつとした、でも重量感と生命力を感じる作品を生み出していて、
それはそれでまたある意味凄みを感じた。
彼はカトリックの洗礼を受け、宗教的な作品を多く手掛けていて
それが美しい「聖セシリア」などや、幽鬼のような「原の城」などに色濃く表れている。
中でも長崎に設置してあるという大作、「26殉教者記念像」という作品がある。
展示では実物のFRPダミーと、下書きとも言える素描が展示されていたが
この26殉教者記念像の元になった史実を描いた戦前の日活映画が特別上映されていた。
これが今日しか上映しないと知り、予定を変えて今日にしたのだが
この「殉教血史 日本廿六聖人~われ世に勝てり~」が意外な拾いもの。
元は弁士付きで上映されていたこの作品のフィルムは長く行方不明だったもので
戦後発見されて長崎の修道士によるナレーションと音楽がつけられたそうだ。
戦国時代のフランシスコ会の神父や修道士の来日から、
秀吉の保護のもとでの活動、そして彼の命により
洗礼を受けた日本人を含めて捉えられ
長崎で処刑されるまでを描いた映画なのだが、もちろん史実と違う脚色もされていて
チャンバラあり、地震のシーンではセットを壊したり、ミニチュア?の特撮まであって
意外なほど(失礼)飽きない80分を楽しむことができた。
戦前作品とは言え(戦前が故?)結構な数のエキストラや豪華なオープンセット
果てはバチカンにまでロケもされていてお金もかかっていたのも驚いた。
日本人がフランシスコ会の神父や修道士も演じているのだが
白塗りメイクもあって全く違和感が無かった(片岡知恵蔵まででていた!)のも面白いもので。
どういう経緯でこの映画が出来たのか非常に興味深いものだった。
と、まあ何だか高尚な半日を過ごし、前の記事の通りカツ丼も食べて
この2日間の休日も実に充実していたのだった。
さて、明日からまた仕事。ヨルタモリも楽しみ、あとは一杯やって寝るとします(笑)