県の公報というものがある。
普段は選挙や議会に関する公示の他、条例の変更、土地改良区定款変更認可、道路の供用の開始、
大規模店舗の届けなど様々な公の告知をまとめたものなのだが
時折、こんなものも公示される。
物凄く堅い公の文書に、目眩がするような文字が羅列されてるのがもう可笑しくて
最初に見つけた時は大笑いしたものだった。
もちろん反対の「青少年にとっての優良推奨映画」も公示されるわけだが
そっちは「塔の上のラプンツェル」だの・・・まあ、当たり前すぎて面白くないからいいや(笑)
ふと思ったんだが、やはりこういうのは、指定する以上は観るんだろうな。
好む好まざる関係なく仕事だからなー。しょうがないよなー・・・とか言いつつ
担当者が喜んでるんのか悲しんでるのかわからないが、俺は羨ましいぞ。
県職員になりたいと、唯一思える仕事じゃないか(笑)。
でも、まあ観てないからなんとも言えないが、「悦楽の性界 淫らしましょ!」にしても
「奴隷飼育 変態しゃぶり牝」にしても「若妻と熟女妻 絶頂のあえぎ声」にしても
意外とタイトルのイメージより「映画」としてしっかり物語があり
映画的表現に優れたりしてることがよくあるから、ピンク映画ってのは侮れないはずなんだが
たぶんそんな評論家的見方なんてしないだろうなあ…(笑)。
ピンク映画の中には本当に評価が高くて、その後もう少しまともなタイトルで
再上映されたりソフト化されるケースはあるにはあるんだろうけど
それは中央での評価なんかを踏まえているから
この段階でピンク映画でも「映画として優れているから」ってんで
この「有害映画指定」から逃れたものってあるのかな。
・・・ま、こんなタイトルじゃないだろな、たぶん(笑)。
って考えるとやっぱりタイトルだけで決められちゃってるか?
それ以前に「成人映画」ってだけで決めつけられちゃってるのかもしれないな。
あ、今気づいたが「YOYOCHU SEXと代々木忠の世界」ってあるじゃないか!
代々木忠ってまだいたんだ。ビックリ!
って、俺ぐらいしかわからなかったら、何気にに恥ずかしい発見だけど(笑)。
で、まあ、なんだ、成人映画はしょうがないとしても
俺としてはロバート・ロドリゲス&ダニー・トレホの「マチェーテ」だの
キム・ジウン&イ・ビョンホンの「悪魔を見た」だの
ラース・フォン・トリアー&ウィレムデフォー&シャルロット・ゲンズブールの「アンチクライスト」
これらまで「有害映画」にされちゃってるのはちょっと不満なのだ。
正直どれもまだ未見だが、どれも観たい映画であるのは確かなのだ。
確かにグロテスクや残虐性ってのも基準のにあるのだろうし、
ある種の「人間の悪意」を描いてるってのもあるだろうけど、
このあたり、「青少年」にもちゃんと見せておいてもいいと思うんだがな(笑)
まあ、中学生はともかく高校生ならいいだろ。
住んでいる街の映画館で上映される映画はジャンルを問わずなんでも見てた俺としては
(若きジャンゴの映画見まくり時代の話と、レイティング関連はまたいつかまとめて書いてみたい)
「有害」って括りで、そういう「チャンスの目」まで摘むのはどうかと思ってしまうのだ。
だってこの世の中、素晴らしく、希望に満ち、心震える瞬間もあるが
一皮向けば残酷で悪意にも満ち満ちてもいるんだぜ。
「そういう事実もある」ってのを映画で触れるのも悪くないと思うのだがな。
ちょうど今、町山大将の著した「トラウマ映画館」を読んでいるんだが
そうした人生についての苦さ、人間の悪意ある面に予期せず触れてしまう
不意打ちのような映画にTVで出会うのが少なくなった昨今
観る観ないは個人の自由なんだから
安易に「有害」などとレッテルを貼らずに、そうしたチャンスは残しておくべきだと思うのだ。
もちろん「残酷のための残酷」ループに陥って、そればかりしかないホラー映画や
犯罪的なポルノは、青少年って奴らに自由に見せるのは、
人の親としてどうかとも思うけど、一個人としてはそれも自由だと思うのだ。
何より、映画館に行って高い金払い、顔を晒してまで観たいっていう人は
わざわざ「有害」にしようがしまいが、そうは多くないと思うのだがな(笑)。
あ、よく見たら「サヴァイヴィング・ライフ-夢は第二の人生-」って
ヤン・シュヴァンクマイエルの映画じゃないか。
シュヴァンクマイエルまで「有害」ってのはないよな。
断固反対!やっぱダメだ。おかしいぞ、この指定は!
大体この「指定」で得するのって誰なんだ?
こんな映画、青少年に見せないざますっていうハイソな人たちは
そもそもこんな映画の存在知らないだろ?
わざわざ公示して、誰が活用しているのかホントわかんない指定だよなあ・・・。
でもって、これらが全部観れるのなら、この仕事代わってあげたいぞと、再び思うのだった(笑)