エル・マリアッチ | B級パラダイス

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エル・マリアッチ (1992) EL MARIACHI


原案・脚本・撮影・監督:ロバート・ロドリゲス

製作:カルロス・ガラルドー、ロバート・ロドリゲス 音楽:マーク・トルエーロ、アルバロ・ロドリゲス、ファン・スアレス、セシリオ・ロドリゲス、エリック・ガスリー


出演:カルロス・ガラルドー、コンスエロ・ゴメス、ジェイム・デ・ホヨス、ピーター・マルカルド、

レーノル・マルティネス 
 
最近は「デス・プルーフ」など有名作、大作づいているロバート・ロドリゲス監督。

彼が知名度を上げることになったこのパワフルなインディーズ・ムービーのDVDは随分前に購入したが

映画づいている先週やっとこ観たのだった。


分け前の金を横取りしたかつての仲間である町のボスへの復讐のため刑務所を脱獄した殺し屋。

ボスのいるメキシコの小さな町に現れた殺し屋はさっそく街のボスの子分を血祭りにあげる。

出で立ちは黒い服に黒いギターケース。そのギターケースの中にはマシンガン他の銃器が山盛りだ。

 

ところがその町に、黒い服に黒いギターケースを持った、しがないマリアッチが仕事を求めてやってきていた。

ボスからの指令は「黒い服に黒いギターケースを持った男を消せ」(笑)。

間違えられた本職マリアッチは何もしていないのに狙われる羽目に・・・

このややこしい事態に巻き込まれた彼の運命は如何に・・・を描く小気味いい一編だ。


原案から監督までロバート・ロドリゲス、製作も主演のカルロス・ガラルドーが名を連ねているなど
7000ドルという超がつくくらいの低予算、14日という日数で作られた自主映画だが

これがまた仲間内で「いっちょやったるかい!」と心意気で作ったんだろなあというゴキゲンさ(笑)。

 

センスのいい編集で見せるテンポの良さと、最低限ながらツボを押さえた小気味いいアクション。

予算が無い故のメキシコの街でのオールロケの空気感もマッチしているが

随所に挟まれたユーモアがまたピリリと効いていて、早くも職人芸的余裕も伺えるのだ。

時折チープさと粗さは垣間見えるとはいえ、元々短い作品ということ以上に一気に観れてしまう快作。

CGと火薬でデコレートされた最近のアクション映画が置き忘れた「センス」がここにはあるのだ!

 

この作品はサンダンス映画祭で観客賞をとり評判になって、

コロムビアによって全米配給されたら、無茶苦茶ヒットしてロドリゲス大儲け(笑)。

(ちなみに前年同じくサンダンスで評判になったタランティーノ監督とは盟友になっていく)

その後、主演をアントニオ・バンデラスにして、1000倍の予算で

続編、というより再度製作されたのが「デスペラード」だ。

もっとも増加した予算のほとんどは火薬に消えたらしい・・(笑)


以前レビューしたな・・・http://myhome.cururu.jp/django/blog/article/31001047595
これも自主映画の匂い満載で大好きなんだが、自主映画っぽさはやはり今回観た前作が上(笑)。

結局このマリアッチシリーズはその後タランティーノの勧めもあって3部作の最後として

ジョニー・デップなども出演した「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」が作られる。

 

俺はまずこれを最初にDVD購入、次に「デスペラード」を購入して視聴。

そして今回の「エル・マリアッチ」とたまたま遡って観ているが

確かに予算は後の方がかかってる。火薬の量も銃弾の量もどんどん増えて、出てる役者も凄くなっていた。

だけど話の整合性、まとまりの良さはこの「エルマリアッチ」が一番じゃないのかな?(笑)

デビューしたバンドの1作目のように知恵と持てる力を精一杯つぎ込んだ潔さが気持ちよいのだ。

人間やはり初心忘れるべからずですな(笑)。

とにかく一見の価値ありの愛しい映画であります!