漫才ブームが一段落した後、ビートたけしや明石屋さんまが出演して大暴れしていた番組だ。
その中で「ひょうきんプロレス」というコーナーがあった。
当時の売れっ子放送作家であった、これまた今は亡き景山民夫である。
その後の宗教がらみのことは・・・まあいいや。
それにしてもこんなに面白い奴も書いていたんだなあ・・・

野鼠戦線 景山民夫著 徳間文庫
「野鼠戦線」・・・このタイトルでピンと来た人には座布団10枚進呈(笑)。
そう、故岡本喜八監督の「独立愚連隊」「独立愚連隊西へ」「ドブ鼠作戦」という
日本映画には珍しい戦争アクションものがあるが、景山さん、好きだったんだろうね。
オマージュというより小説版リメイクみたいな感じの愉快痛快作でありました。
部隊も映画同様昭和19年、大東亜戦争の中国が舞台。
米軍航空基地攻撃命令を受け専念するものの、命令を出した疋田大佐の爆撃死により、
中止命令がないまま作戦を実行する輜重兵(しちょうへい=輸送部隊の兵隊)第二十七部隊所属、
その名も左文字少尉(!)以下、小暮兵長、川鍋上等兵、杉浦一等兵、車田二等兵の
5人のはぐれ部隊による局地的カッパライ作戦を描いた痛快連作短編であります!
なんせ合言葉は「敵を見たらイタダキと思え」(笑)
物資がないので米軍基地からちょろまかし、現地中国人の食料と物々交換して食いつなぎ
ちょろまかしついでに滑走路は爆破するわ、友軍を守るために敵機に関係ないとこ爆撃させるわ
食料弾薬は列車ごと奪うけど、米軍兵士の給料だけは返してやるわと
とにかく一本筋が通った、知力と度胸の逞しいはぐれ部隊の活躍が面白いことこの上ない。
しかも口径のあわない米軍のブローニング軽機7.65ミリ弾薬をこちらの九九式軽機関銃7.7ミリでも撃てるよう元鍛冶屋や車の整備士など工兵上がりの部下たちが遊庭内部を改造して
イタダイた弾薬を撃ってお返しするという律儀さ(笑)
映画「独立愚連隊」同様、物語の痛快さの中にはぐれ部隊の柔軟な考え方と
軍規に縛られない自由な活躍でもって「軍隊」という規律や面子に縛られ
硬直したアホらしい組織のバカバカしさを、しっかり認識させてくれますが
そんなのはほんの隠し味。ひたすら無駄な殺生はせず、敵に一泡ふかせる。
この痛快さを貫いてくれてるのがほんと気持ちよいのです。
戦争は悲惨だ。どんな大義名分があろうと人が殺しあうのは変わらない。
だから「フィクションならでは」・・・なのは重々承知の上ながら、
こうした「戦争アクションもの」ほんと好きなんだよなあ。
イーストウッドの「戦略大作戦」なんかもそうだったけど、
人を殺すことより、敵からイタダキ!精神で、知力を尽くして逞しく生き延びる
こんな話が映画ではめっきり減った昨今、本当にワクワクさせられました。
不覚にも存在をまったく知らずに恒例ブック○フの100円コーナーで買ったこの作品、
本当に拾い物でありました。
亡くなっている事と、彼の晩年が今ひとつだったせいか
最近はまったく話題にならないけれど彼の諸作品、もっと評価されてもいいと思うのであります!